帽子をかぶった憲法学者、高良鉄美さん(66)が昨夏の参院選で初当選し、国会議員となった。35年にわたり憲法を教えたキャリアを生かし、この9カ月間、憲法や人権をテーマに、森雅子法相らと法務委員会で“舌戦”を繰り広げてきた。センセイ、憲法学者から見た永田町は、どんな世界ですか。 「ハイサイ!」。参院議員会館の事務所を訪ねると、黒ハット姿の高良さんが笑顔で迎えてくれた。口元には琉球絣(がすり)のマスク。十数年ぶりの再会だが、時節柄、握手は見合わせた。変わらぬ帽子姿。琉球大で教えていた頃、学生と授業で訪れた沖縄県議会で「脱帽」の規則を理由に入場を拒否され、傍聴できなかった。「傍聴は主権者たる国民の権利。規則を守ることを条件にした恩恵ではない」。以来四半世紀、高良さんはこのスタイルを貫いてきた。 「帽子が象徴するのは、国民の知る権利。今も侵害され続けています。情報は国民のもの。なのに、国は自らの都合