2020年9月4日、韓国図書館協会(KLA)が、図書定価制の改正に反対するとし、オンラインでの署名活動に参加すると発表しました。 KLAの説明によれば、7月3日、文化体育観光部が、3年ごとに見直す同制度の官民協議会での意見集約を経て決定された合意を無視して図書定価制を再検討する通知をしたことに対し、再度過度な図書の割引が行われれば出版文化の生態系の維持を担保できないとし、8月19日にKLAを含む約30の出版・文化団体により「図書定価制死守のための出版・文化界共同対策委員会」が結成されました。KLAでは同委員会と連携し、オンラインでの反対署名活動を進めるとしています。 KLAでは、図書定価制が掲げる、韓国の文化国家の道(本を企画・作成・販売し、読書する豊かな国)をあきらめないとし、政府と大統領が我々と意見を共にすることを期待するとしています。 文化体育観光部では、8月10日に、合意を破棄した
大英博物館が入手した葛飾北斎作品。同館提供(2020年9月3日公開)。(c)AFP PHOTO / THE TRUSTEES OF THE BRITISH MUSEUM 【9月3日 AFP】大英博物館(British Museum)は3日、葛飾北斎(Katsushika Hokusai)の「失われた作品」とされる103点を入手したと発表した。 北斎は、冨嶽三十六景の神奈川沖浪裏(The Great Wave)などの作品で国際的に高い評価を得ている。 今回同館が入手したのは、1829年に70歳の北斎が手掛けた未完本の挿絵。1948年に競売にかけられた記録が残っており、昨年フランス・パリで再発見されていた。 日本国外では北斎作品を世界で最も多く所蔵する同館によると、私的な問題が続いた後、創作活動が滞っていた頃の作品で、特に意義深いものだとしている。 作品群はオンライン閲覧が可能で、将来的には無
「嘘みたいな本当の話」と、新型コロナウイルス対策にポビドンヨード入りうがい薬を推奨した吉村洋文・大阪府知事の記者会見(8月4日)から10日余り。「コロナの陽性者が減っていく」「ある意味、コロナに打ち勝てる」とぶち上げた発言に対しては、既に多くの批判がなされている。 医学的根拠の薄弱さ、研究初期段階での発表、買い占めの誘発。さらには、製薬会社の株価をつり上げるインサイダー取引ではないかという疑惑も浮上し、吉村氏は名誉棄損訴訟をちらつかせて打ち消しに躍起だ。 発言内容への評価はとりあえず措く。ここでは、吉村氏の「発信力」について考えてみたい。彼はどのようにして注目を集めるのか。一連のコロナ対応で、何を意図して情報発信してきたか。それを通して、「新型コロナ対応で最も評価する政治家」(毎日新聞の世論調査)となった吉村氏の政治手法、在阪局をはじめとするテレビとの関係、そして、今も関係が深い元府知事で
電子書籍の普及やオンラインショップの増加により、実店舗を持つ書店の数は日本でも大きく減少し、1999年から2017年にかけて1万店近くの書店が閉店しています。アメリカでも例に漏れず多くの書店が廃業に追いやられていますが、本を愛する人々によって支えられる書店事情を垣間見られるドキュメンタリー「The Booksellers」の予告編が公開しています。 The Booksellers | Greenwich Entertainment https://www.booksellersmovie.com/ The Booksellers | Official Trailer - YouTube ニューヨークに店を構えるStrand Bookstoreは、1927年に創業した老舗の書店。 経営者であるナンシー・バス・ワイデン氏は、Strand Bookstoreは祖父の代から始まったと語ります。 創
2019 年10月に特任助教(人文知コミュニケーター)として着任いたしました。音楽学、とりわけ東西の音楽療法史・文化交流史に関心をもって研究に取りくんでいます。現在は明治~昭和戦前期の医療現場で行われていた音楽療法実践について、カルテや看護日誌、実践記録書、視聴覚資料など収集した一次史料を分析しながら、各時代の様子や日本音楽療法に通底する特徴を探っているところです。 音楽療法史研究と並行して、幕末の開国前後に日本を題材として作られた西洋の音楽作品「日本表象西洋楽曲(ジャポニズム楽曲)」の研究も進めています。今より格段に日本に関する情報が限られていた時代、西洋ではどのように音楽で日本を表現し、どのように聴いていたのか――。そのような、新しい切り口からの日本関係欧文史料研究・大衆文化研究の深化を目指しています。 さて、人間文化研究機構を構成する6つの機関に配属されている「人文知コミュニケーター
日本の現代文学の英語圏での存在感がじわりと高まっている。現地時間の26日に発表される英ブッカー国際賞最終候補には小川洋子さん(58)の『密やかな結晶』がノミネート。近年は女性作家らを中心に英訳版の刊行が相次ぎ、日本文学の「ミニブーム」が起きているとの指摘もある。背景を探ると、文芸翻訳をめぐる国内外の環境の変化が見えてきた。(文化部 海老沢類) 米紙が賛辞 <川上の筆致に一切の感傷はない。とりわけ女性たちの生を描くときは>。4月、米紙ニューヨーク・タイムズにそんな賛辞が並んだ。川上未映子さん(43)の最新作『夏物語』の米国版『Breasts and Eggs』(ユーロッパ・エディションズ刊)についての書評だ。 『夏物語』は平成20年の芥川賞受賞作「乳と卵」を発展させた長編小説。AID(配偶者の関係にない者同士の人工授精)での出産を考える孤独な女性作家を主人公に、生殖倫理や現代の格差社会の問題
中国が制定した香港国家安全維持法の影響ははるか広範囲にまで及び、新学期を控えた米大学のキャンパスにも大きな影を落としている。 米名門大学の一部は秋学期から、「この講座は中国が政治的にセンシティブとみなす内容を含んでいる可能性がある」などの警告表示を始める。また一部の大学は学生や教員を中国当局の訴追から守るための措置を講じる考えだ。 プリンストン大学では、中国政治の授業を受ける学生の身元情報が知られないよう、提出する課題に個人名ではなくコードを使用する予定だ。アマースト大学の教授は、学生の自由な発言を可能にするため、匿名のオンラインチャットの利用を検討している。ハーバード大学のビジネススクールでは、学生がリスクを心配する場合、政治的にセンシティブな議論への不参加を認める可能性がある。 ...
2020年の第22回図書館総合展は、イベント・展示・コミュニケーションのすべてをウェブ上で行い、これまでご参加の叶わなかった出展者さん、来場者さんを多くお迎えすることができ、大いに盛り上がりました。下記の特設サイトでその様子をご覧いただけます(会期後もたくさんのコンテンツがアーカイブを公開しています。) https://2020.libraryfair.jp/ ※アカウント登録するとより多くのコンテンツをみることができます。(ログイン後の画面でご覧ください) 次回、2021年は11月9~11日を中心に開催します。その形式については、COVID-19をめぐっての社会情況を顧慮し現在検討を重ねています。2021年春頃に開催方針を発表したいと考えております。 ●開催情報をご入用の方はメールマガジンにご登録ください。 ●2020年開催の開催案内冊子(PDF版)はこちらから 今年開館を迎えた新館・改
神事済奉告祭を終えて、あいさつされる森寿雄宮司=京都市東山区の八坂神社で2020年7月29日、澤木政輝撮影 7月10日の神輿洗(みこしあらい)に始まった祇園祭の神事が同28日の神輿洗で締めくくられたことを受け、翌29日には八坂神社本殿で「神事済(しんじすみ)奉告祭」が執り行われた。文字通り「神事が済んだ」ことを神前にご報告する重要な神事であるが、昔から神社お膝元の宮本組だけが参列する決まりになっている。 祇園社の門前に茶店が建ち並んだのは室町時代以前からだとされるが、現在の祇園花街が形成されたのは、鴨川に「寛文新堤(かんぶんしんてい)」が築かれて町地が広がった江戸時代前期のことだ。以来、祇園町の住人が神様のお旗本として神社を護持し、神輿を先導する役割を担うようになった。宮本組の起こりである。 明治維新で社家が廃されて神職の規模が縮小すると、結果的に代々神様に仕える宮本組の存在意義が高まるこ
韓国・国立世宗図書館の政策情報サービス・文化プログラム 関西館アジア情報課・田中福太郎(たなかふくたろう) 2013年12月に開館した韓国・国立世宗図書館(E1595参照)は,2020年6月には,政策情報ポータルサイトであるPOINTをリニューアルするなど,設置目的である政策情報専門図書館としての役割の強化に努めているほか,公共図書館が少ない地域住民のための複合文化センターとして公務員や地域住民を対象とした多様な文化プログラムを実施している。 本稿では,同館が近年提供している政策情報サービスと文化プログラムを中心に紹介したい。 ●政策情報ポータルサイトPOINT 政策情報ポータルサイトであるPOINTは,国民の誰もが容易に政府の政策に関連する情報にアクセスできるようにするとともに,政府および公的機関の職員に対して政策活動に必要な情報を提供することを目的としている。トップページからは,各省庁
データサイエンス,機械学習,AIの責任ある運用のために 電子情報部電子情報サービス課・牛尾響(うしおひびき) 2019年12月,OCLC Researchはポジションペーパー “Responsible Operations: data science, machine learning, AI in libraries” を発表した。近年,データサイエンス,機械学習,人工知能(AI)といった大量のデータに基づいた判断処理を可能とするアルゴリズムによる手法への注目が集まっている。これらの技術は,例えば蔵書点検業務の自動化や,利用者の情報発見支援などの領域で用いられ始めている。本ペーパーは,図書館コミュニティでのデータサイエンス,機械学習,AIの運用方針決定に貢献することを目的としており,米国を中心とした70人を越える図書館員や大学・美術館・博物館などの組織の専門家からなるグループの協力のもと
J-STAGE Data:オープンサイエンス時代の新たなサービス 科学技術振興機構・重松麦穂(しげまつむぎほ) 近年,情報技術の急速な発展を受け,あらゆる人々が研究成果へ自由にアクセスでき,それらを利活用できる環境が現実のものとなっている。このような環境を利用して実現される新しいサイエンスのあり方は「オープンサイエンス」と呼ばれている。その名を冠した様々な取組が世界規模で行われているが,中でも研究データの公開・共有はここ数年関心が高まっているトピックの一つである。人工知能(AI)の台頭に代表されるように,データを利活用することで新たな価値を創出する取組は産・学を問わず期待されている。また,研究不正の防止という観点から,多くの大学や研究機関,研究資金助成機関等がデータ管理・公開に係る方針を掲げ研究の透明性の担保に努めている。さらに,ジャーナルにおいてもデータの公開や共有に関するポリシーの整備
米国のオピオイド危機と公共図書館の対応に関する研究報告書 東京都立多摩図書館・青野正太(あおのしょうた) 2020年2月26日,OCLCと米国図書館協会(ALA)の公共図書館協会(PLA)は,米国のオピオイド危機と公共図書館の対応に関する共同研究報告書“Call to Action: Public Libraries and the Opioid Crisis”を公開した。 米国ではモルヒネなどのオピオイド系鎮痛薬の不適切使用が問題視されており,オピオイド危機(opioid crisis)はその状況を示す言葉である。2016年には,オピオイドの不適切使用により 6万4,000人近くが死亡している。トランプ米大統領は2017年に緊急事態を宣言し,“Ending America’ s Opioid Crisis”と銘打ち対策を講じている。こうした状況に,どう対処すべきかについて,十分なノウハウ
地域の拠点としての図書館施設:国立国会図書館の調査研究 関西館図書館協力課調査情報係 国立国会図書館(NDL)では,2002年度から,図書館協力事業の一環として,図書館及び図書館情報学に関する調査研究(E1781参照)を実施している。これは,調査研究の成果を報告書等の形式を通じて広く図書館界で共有することにより,公共図書館・大学図書館等の各種図書館との協力関係の基盤整備や,各種図書館の業務改善に資することを目的としている。 2019年度の調査研究では,地域の拠点としての図書館施設をテーマとし,地域における今後の図書館の役割と図書館施設のあり方をより明確に捉えることを目指した。このテーマを選んだのは,まちづくりや地域コミュニティの形成・再生等を目的に掲げた図書館の新設・更新が増加しており,図書館施設のあり方に重要な変化が見られるためである。インターネットによる情報入手の容易化をはじめとした社
英国図書館が進める音声記録の保存事業 利用者サービス部音楽映像資料課・鈴木三智子(すずきみちこ) ●事業の概要 英国図書館(BL)では2015年に,録音資料の保存のために我々に残されているのはあと15年ほどである,という報告がなされた(E1753参照)。それを受けて同館では音声記録の保存プロジェクト“Save our Sounds”を発足し,その一環として,“Unlocking Our Sound Heritage”(UOSH)を2017年から開始した。UOSHの目的は,記録媒体の物理的劣化や旧式化により再生できなくなるおそれがある音声記録50万点を保存することである。BLが地域のハブ機関である国内10機関と連携して希少なコレクションをデジタル化・目録化し,その音源を誰もが自由に聴くことができるウェブサイトを開設する計画である。対象となる音源は録音の歴史が始まった1880年代からの多彩な音
台湾における公共貸与権の試行導入 関西館アジア情報課・丹治美玲(たんじみれい) 2019年12月31日に,台湾の教育部および文化部は記者会見を開き,公共貸与権の試行導入計画を発表した。公共貸与権(Public Lending Right;CA1579参照)は,「公共貸出権」「公貸権」ともいい,「図書館の貸出しに着目して何らかの金銭を作家に支給する制度」である。欧州を中心に30以上の国・地域で導入されているが,東アジアでは初の試みである。 台湾では,2003年には公共貸与権に関する研究が行われていたことが確認できるが,公共貸与権という概念が台湾のメディアに登場したのは2008年と言われる。文化部は,2012 年頃から公共貸与権に関する検討を進めており,2017 年度には公共貸与権に関する委託調査を実施し,2018年に調査報告書を公開した。試行導入計画は,この調査結果も踏まえてまとめられている
「北海道学校図書館づくりサポートセンター」のオープン 北海道ブックシェアリング・竹次奈映(たけつぐなえ) 選書や装飾作りなどの支援,有益な情報の提供を通じ学校図書館をサポートする,北海道学校図書館づくりサポートセンター(以下「サポートセンター」)が,2020年4月15日に江別市(北海道)内にオープンした。サポートセンターを開設した一般社団法人北海道ブックシェアリング(以下「当会」)は「だれもが豊かな読書機会を享受できる北海道にしよう」を合言葉に,2008年から活動しているNPOである。本を必要としている施設や団体に読み終えた本を無償提供する活動や,被災地(東日本大震災・北海道胆振東部地震)の読書環境の整備支援,公共図書館などが主催するブックイベントへの協力,道内の学校図書館の調査などに取り組んできた(E2045参照)。 サポートセンター開設の背景には,学校図書館の調査で感じてきた地域や学校
企画展の工夫による少女雑誌の利活用促進 菊陽町図書館・松本和代(まつもとかずよ) ●少女雑誌の概要 「少女雑誌」とは 菊陽町図書館(熊本県)では,2020年2月15日から4月13日まで「-WANTED-乙女のふろくを救出せよ!!」展を開催した。 当館には,当町在住の村崎修三氏が収集し,2003年に同氏から寄贈を受けた少女雑誌コレクション(雑誌約3,000冊,ふろく約1,600点)がある。当館では1900年代から1970年代に発行された「連載小説が掲載されているもの」を「少女雑誌」と定義している。主に現在における小学校高学年から高校生くらいの年齢の少女を対象とし,小説,詩,ファッション,ヘアスタイル,インテリア,料理,芸能,手芸等多岐にわたる分野について書かれていた。現代の文芸誌とファッション誌を合わせた総合誌のような存在であったといえる。川端康成,西條八十,吉屋信子の小説や随筆,ヘッセやハ
吉永元信国立国会図書館新館長インタビュー 編集・聞き手:関西館図書館協力課調査情報係 2020年3月31日付けで国立国会図書館(NDL)の羽入佐和子館長(E1811参照)が退任し,翌4月1日付けで吉永元信新館長が第17代の館長に就任した。NDLの元職員が館長となるのは,第15代館長を務めた大滝則忠元館長(E1289参照)に続き二人目となる。今後どのようにNDLを運営していこうと考えているのか。いまの想いについて吉永館長にインタビューを行った。 ――吉永館長のこれまでの経歴についてお聞かせください。 兵庫県芦屋市生まれで,団塊の世代真っただ中です。幼少期にはまだ戦後が色濃く残っていましたが,高度経済成長の中で,戦後民主主義を最も重く受け止めた世代だと思います。ちなみに中学校の同窓に作家の村上春樹氏がおります。 高校時代には図書館へは受験勉強のために毎日のように通いましたが,勉強する受験生が閲
シンポジウム「社会に魅せる研究力」を測る<報告> 国立国語研究所・井上雄介(いのうえかつゆき) 2020年2月13日に,国立国語研究所IRシンポジウム「社会に魅せる研究力を測る-論文では見えてこない社会に貢献する研究を評価する指標-」が国立国語研究所(東京都立川市)にて開催された。 現在,大学や研究機関の研究評価指標は,論文や著書を中心とした学術界への貢献となるものが主に用いられている。指標の役割や注意点に関する全般的な議論(E1745参照)や,人文社会科学系に限った研究評価のありかたの議論(E2128参照)などでも,学術界への貢献となる成果の指標が中心である。しかしながら,社会課題の解決に資する研究や地域コミュニティーに溶け込んで行う研究など,必ずしも論文や著書の形とはならない研究成果の評価も重要である。このような背景のもと,論文などでは見えてこない社会に貢献する研究成果に基づいて測られ
Open Research Libraryの動向 利用者サービス部科学技術・経済課・榎孝浩(えのきたかひろ) ●概要 Open Research Library(ORL)は,世界中のオープンアクセス(OA)の査読付き学術単行書や論文集等のチャプターを単一のプラットフォームから利用可能とするKnowledge Unlatched(KU)の新しい取組であり,2019年5月にベータ版,2020年1月に正式版がリリースされた。OA学術単行書はオンライン上に散在しており,利用者が見つけ出したり,図書館が流通・利用状況を管理したりすることは,困難である。ORLはその解消を目指している。 ●KUと共同出資事業 KUは,図書館の共同出資により学術単行書のOA化を進めるため,英・マンチェスター大学出版局のCEOを務めたピンター(Frances Pinter)氏が,英国の社会的企業の一類型であるコミュニティ利
「国立国会図書館関西館書庫棟」の竣工 関西館総務課 国立国会図書館は,納本制度に基づき,国内で刊行された出版物を網羅的に収集しており,収集した資料は,東京本館(1,200万冊収蔵可能),関西館本館(600万冊収蔵可能),国際子ども図書館(105万冊収蔵可能)の3施設に分散して保存している。所蔵資料の増加に対応した書庫の確保は,国立国会図書館の重要な課題となっているが,2002年の関西館開館から18年が経過し,東京本館,関西館ともに書庫の収蔵能力が限界に近づいてきたため,関西館第2期施設整備事業として,「関西館書庫棟」(以下「書庫棟」)を関西館本館(以下「本館」)の南側敷地に建設し,2020年2月に竣工した。 書庫棟は,地下1階,地上7階の建物で,延床面積が約2万5,000平方メートル,収蔵能力は約500万冊である。2014年度から設計業務を開始し,2016年9月から建築工事が始まり,工期は
分散型のオープンな出版フレームワーク“Pubfair” 国立情報学研究所・林正治(はやしまさはる) 1665年のオルデンバーグ(Henry Oldenburg)による英語圏で最古の学術雑誌Philosophical Transactionsの出版から355年,学術出版の形態は大きく変わることなく現在も続いている。1994年,ハーナッド(Steven Harnad)は「転覆提案(The Subversive Proposal)」を公表し,学術出版に係るコストの適正化を目的に,ギンスパーグ(Paul Ginsparg)によるプレプリントサーバー(後のarXiv.org)を参考にした,インターネットを活用した既存の学術出版システムに依存しない新たな学術出版のあり方を提案した。ハーナッドの提案は,その後のオープンアクセス(OA)運動に大きな影響を与え,学術論文などの研究成果物を保存・公開する数多く
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