AIやIoTを活用して水産業が抱える問題解決に挑む「漁師」コンピューターの動きが増えている。ノリやサクラマスの生育環境をIoTで監視する取り組みはその1つだ。水温や塩分濃度などをクラウドに集め、養殖効率を高める。九州の有明海や山形県の現場に迫った。 日本人の食卓に欠かせない海産物の1つがノリ(海苔)だ。国内の総生産量の約4割は九州・有明海で取れる。 有明海でノリの養殖を手掛ける福岡県の大和漁業協同組合は2017年秋、ある問題に悩んでいた。ノリを育てる網から胞子が流れ落ちる「芽落ち」が発生したのだ。同組合の生産量は年約3億枚に上る。芽落ちが生じると生産量が落ちてしまう。 広い漁場でその兆候を探るのは難しい。同組合はIoT(インターネット・オブ・シングズ)の活用に乗り出した。 海の状態を可視化、問題を解明 ノリが順調に育つためには適度な海水温度と塩分濃度が必要だ。芽落ちが発生したのは、このどち