熊本県企業局が導入した「荒瀬ダムAR」。専用QRコードを読み込んでアプリを起動し、指定された現地の6カ所でスマートフォンを撤去跡地に向けてかざすと、ダムの3Dモデル画像が浮かび上がる仕組み(写真:熊本県企業局) 思ったよりも早く川の姿が戻ってきた ダムの遺構を後に、再び溝口隼平氏の車で上流側を目指す。溝口氏は、荒瀬ダムの撤去により球磨川が自然の姿に戻っていく様子を見届けたくて、2010年に愛知県からダムのある熊本県八代市坂本町に家族で移住した。現在は、ラフティングのガイドなどを手掛ける会社「Reborn(リボーン)」の代表だ。 車は、佐瀬野地区に差し掛かった。川を見ると大きな砂州が形成され、川が二股に分かれている。ここはかつて、ダム湖の底に眠っていた場所だ。 熊本県企業局工務課の竹野公敏主幹は、「ダム撤去の完了後、思ったよりも早く瀬や淵が現れて、ダム建設前の川の姿に戻りつつある。当時の航空