松山ケンイチが主演したNHK大河ドラマ『平清盛』は、そのなかで「王家」という言葉を使ったがために、激しい批判や論争を巻き起こした。なぜ「王家」という表現を使用し、あの騒動の中身はいったい何だったのか。 みずから歴史番組の構成と司会を務める編集者・ライターの安田清人氏が、「王家」論争について解説する。 * * * 時代劇を製作する際、架空の登場人物にリアリティをもたせるために古文書を「創作」することがある。ときに、言葉や概念といった曖昧で面倒なものを「創作」しなければならない局面もあり、それが厄介な事態を招くこともある。 まだ記憶に新しいところだが、2012年のNHK大河ドラマ〈平清盛〉は、放送開始当初からさまざまな物議をかもした。 画面が暗くて見づらい、平家の人物の名前が似たような名前ばかりでわかりづらい──といった、表層的な批判は取るに足らないが、激しい批判や論争を巻き起こしたのが「王家