捨てる勇気の時代と心性 - 岸田 航

渡辺京二の名著「逝きし世の面影」には，幕末の日本に滞在したイギリスの外交官が伝聞したというエピソードが紹介されている。一人の哀れな男が千鳥足で寺院のそばの溝に落ちたが，少し離れたところで，子犬も水の中でもがいていた。下級の僧侶が通りかかり，てっきり溝の中の男を助けると思いきや，その僧侶は溝から犬を引っ張り出し，溝に落ちた老人には目もくれなかったという。 何の話かと言えば，池田信夫教授の「捨てる勇気」のことである。震災から３週間を経て，海上を漂流する屋根の上から犬が奇跡的に救出されたとの報道は久々に心温まるニュースだった。これに池田教授が「行方不明がまだ1万人以上いるのに、犬の心配してる場合じゃないでしょ」とつぶやくと，「人命も犬の命も同じだ」との反撥が集中したという。 冒頭に挙げたエピソードは，現代日本人のこの感性が，少なくとも近世以前から連続性を有していることを示唆している。そして，この

[kikai-taro]

人を捨てて犬を拾ったのでなく、たまたま犬が手近にいたからじゃん？　こんなんでつべこべ説くのはオジサンの悪い癖。外人だって同じことするんじゃね？　それに、日本人はこれまでだって常に変わってきた。

[suzu_hiro_8823]

しかし近代からの歴史をちっと見ると「変わりたくないが、周りが変わっているから変わらなきゃならない」ということはしばしばありました。とはいえ、今回は今までの小手先の変更程度じゃ済まないでしょうが。

[SasakiTakahiro]

好むと好まざるとにかかわらず，日本人は変わらなければ生きて行けないだろうし，実際にその意識は変容してゆくだろう。

[doxas]

素晴らしい主張。死にゆく日本人とは、これ名言だな。