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本が読めなくなった自分が再び本を読めるようになった話
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本が読めなくなった自分が再び本を読めるようになった話
本が読めない。 読書家が人生において遅かれ早かれ直面するところの事件である。 本が読めない。 特に文... 本が読めない。 読書家が人生において遅かれ早かれ直面するところの事件である。 本が読めない。 特に文学小説が読めなくなった。 当方二十代後半の男であるが、今より遡ること十八年ほど前にラノベ(ブギーポップは笑わない)と出会い、それ以降文芸における視野を国内外の純文学や文芸作品へと広げ、様々なジャンルにおける読書体験を営みながら、これまでの人生を生きてきたのである。 そして、その読書体験の勢いと呼ぶべきものを二十代の前半辺りにまで持続させ、さてこれからの人生においても長い付き合いになりそうだなあ、などと呑気に構えていた時分、不意にその能力が消失したのであった。 読書能力の消失。 何故なのかは分からないけれど、突然本が読めなくなったのだ。 書物との別れ。 何故なのだろう? 当方通勤に一時間以上を費やす難儀な民であるため、通勤時間中は心を半ば無にし、脳の活動を極低状態にまで抑え、死んだ目で通勤して