武装解除

子供の頃、母親のしつけは厳しかった。 箸の持ち方、茶碗の持ち方、生活態度、部屋の整理整頓、等々、細かなことで小言を言われる毎日だった。 私のやることなすことにいちいち口を出してくる母を鬱陶しく思っていたが、その内容自体は子供に対するしつけとしてはごく当たり前のことばかりだったと思うし、叩かれたり怒鳴られたりしていたわけでもなかった。 だから幼い自分にとってしんどかったのは、しつけそのものよりもっと別のところにあったんだと、大人になってからそう気づいた。 そのうちのひとつが、私を叱ったあと、母はしばしばその怒りを随分長いこと引きずっていたことだった。 そういう時母は私から顔を背け、全身から不機嫌さを滲ませ、ただむっつりと押し黙っていた。 だから母の怒りが収まったかどうか、私は少し離れた場所から何度も様子を伺う必要があった。これ以上怒りを増幅させないよう、話しかけるタイミングや表情の作り方や声

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子供が生まれたらみんなこれ読めばいいんじゃないかな。ここまで来てもなお自分に責任があったと考えてしまうほどに幼児期の親の態度は影響力があると。