怪物「藤井聡太」とのバトルに敗れた棋士たちの壮絶…「ひとりの傑物が将棋界をここまで変えた」（週刊現代） @gendai_biz

圧倒的に強い相手を前にすれば、「負けるしかない」というときもある。大切なのはそこからだ。厳しい勝負の世界に生きる棋士たちは、なぜ負けてなお輝くのか。彼らの証言からその秘密に迫った。 禁酒して挑んだ大一番 6月20日、午後9時半過ぎ。大阪市福島区にある関西将棋会館の一室で、男は呆然としていた。追い詰めていたはずだったのに。あと少しで勝てる戦いだったのに。 一瞬の隙を見逃さなかった名人が、たった一手で劣勢をひっくり返して勝負を決めた。 これが七冠の強さか……。 王座戦挑戦者決定トーナメントの準々決勝。あと3つ勝てばタイトル挑戦権獲得という大一番だった。名人となったばかりの藤井聡太（21歳）を相手に、簡単に勝てるはずがないことはわかっていた。 その男、村田顕弘六段（37歳）は、2週間も前から禁酒してこの対局に臨んだ。そんな大事な一戦で喫した敗北。心折られてもおかしくないほどの大逆転。悔しくないは