今週の本棚：養老孟司・評 『日本再生は、生産性向上しかない！』＝デービッド・アトキンソン著 - 毎日新聞

（飛鳥新社・１４００円） 耳が痛い日本文化論 政治や経済に無関心な私が、なぜこの本を書評するか。しかも「生産性向上」というタイトルを含む書物は、素人の私が見ただけでも複数ある。だから、またか、と思う人もあろう。じつは『新・観光立国論』という著者の本を昨年ここで書評した。その続きと思っていただけばいい。私の関心は経済ではなく、日本文化論なのである。 それにしても「生産性向上」とはなにか。国民総生産を国民全体の労働時間で割れば、一時間当たりの生産量が計算できる。現代の日本人は国際水準から見てそれが低すぎる。そこが問題らしい。でもこの話を私自身に当てはめようとすると、途端にわからなくなる。私の総生産は払う税金から計算できると思うが、私の労働時間はどう計算されているのか。八十歳の爺（じい）さんの労働時間は、統計上はたぶんゼロではないか。それなら私…

[hharunaga]

「問題は生産性の向上ではない。生産性が低いのは、なにかの結果に過ぎない。…それこそがそれぞれの読者が深く考えるべきことである」

[ichbin]

「問題は生産性の向上ではない」。それは結果でしかないから。#書評　#本