希望新聞：東日本大震災 指導8年目、続く恩返し 茨城の高校、重量挙げコーチ・広田さん | 毎日新聞

福島・双葉から避難 水戸で競技に「再会」 「股関節に力を入れて」「動きにキレがあっていいな」。茨城県立磯原郷英高校（北茨城市）のウエート場に、広田正秀さん（56）の声が響いた。8月下旬の土曜日。ウエートリフティング部の1年生2人が、バーベルのシャフトを直接頭上に持ち上げる「スナッチ」の練習を繰り返す。20キロ、30キロ、40キロと重量を増やす部員たちに具体的な動きを指示し、称賛を交えながら盛り上げる。種目を切り替えながら練習は3時間続き、場内にしばしば笑いがこぼれた。「目標を持ちながら、練習は楽しく」が広田さんの信条だ。 同校ウエート部は1972年創部。伝統校だが、20年近く競技経験のある指導者がいない状態が続いていた。広田さんは福島県立相馬農業高校（南相馬市）に通っていた約40年前に競技に出合い、15年間バーベルと向かい合い続けたウエートリフター。子育てが忙しくなり競技を離れていたが、経