社説：半導体の対中輸出規制 保護主義では利益損なう | 毎日新聞

先端半導体の製造に不可欠な装置の中国向け輸出が規制される見通しだ。米国の要請を受け、経済産業省が検討を進めている。 米国は昨年、中国との半導体取引を広範に禁じる措置を打ち出した。現地での生産を封じるため、有力な装置メーカーがある日本とオランダにも同調を求めていた。 日米欧が懸念するのは、人工知能（AI）の性能向上などで中国の軍事技術が一段と高度化することだ。世界貿易機関（WTO）のルールでも、安全保障上の理由があれば貿易の制限が認められる場合はある。 ただ、デジタル社会では多くの先端技術が民生、軍事の区別なく使われている。安全保障を名目にした例外を野放図に広げれば、自由貿易体制が崩れかねない。 政府が輸出を制限する措置は、自由貿易の規範や平和を脅かす国への防衛手段と位置づけられる。だが、十分な根拠を持ち、国際協調の枠組みの下で行われることが前提だ。 中国は、不当な規制だとしてWTOに提訴し