日航機墜落「それでも私はパイロットになった」亡きいとこへの誓い | 毎日新聞

乗客乗員520人が犠牲になった日航ジャンボ機墜落事故は、残された人たちの人生を変えた。航空会社「トキエア」で旅客機の機長を務める田中栄（ひさし）さん（57）もその一人だ。いとこを亡くした記憶を胸に操縦かんを握り、空の安全を守り続けている。 1985年8月12日。羽田発伊丹行き日本航空123便が、群馬県上野村の御巣鷹（おすたか）の尾根（標高1565メートル）に墜落した。慶応大の学生だった田中さんは三重県に帰省中、事故を知った。 「まさか……」。テレビのニュースを見ていると、藤田香さん（当時28歳）の名前が流れた。 香さんは子供の頃から仲良しのいとこだった。高校卒業後に上京し、日本航空のキャビンアテンダント（CA）になった。華やかな雰囲気が周囲から一目置かれ、10歳下の田中さんにとって「テレビの中の人が身近にいる」ような憧れの存在でもあった。 事故の数週間前、田中さんは香さんの両親と、東京ディ