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「ふう……」 テニス場近くの裏道。車一台やっと通れるぐらいの細道。電柱と塀に挟まれた窮屈な所。真子は... 「ふう……」 テニス場近くの裏道。車一台やっと通れるぐらいの細道。電柱と塀に挟まれた窮屈な所。真子はそこを歩いていた。自転車を押しながらトボトボと。時折、風でデニムのスカートが力なく揺れている。 「はあ……」 また自然と溜め息が出た。テニスコートを出てからずっとこの調子。試合に勝利した。着替えもした。レンタル用品も返した。シャワーまで浴びた。それでも真子の心は晴れない。 「……また、変な事言っちゃった」 真子は思い出す。先の発言。少し考えさせて下さい。実にそう言ってしまった。あんなに嫌だったのに。なぜか気付くと言っていた。どうしてだろう。真子はそう疑問に思う。だが、答えは明らかだった。揺れているのだ。弱い自分の心が。 「……でも、これでいいのかな……」 自分の想いを確認するように呟く真子。さっきの試合のおかげだろうか。これ以上逃げたくない。今なら真子はそう思う事が出来た。少しだけでも前に進
2023/06/18 リンク