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非西欧的価値観と衝突したキッシンジャーの限界
キッシンジャーが亡くなった。良くも悪くも、100年を生き続けた類いまれな政治家であったことは否定でき... キッシンジャーが亡くなった。良くも悪くも、100年を生き続けた類いまれな政治家であったことは否定できない。人の評価には毀誉褒貶がつきものだが、それはどこから人を判断するかによる。 スコットランド出身のジャーナリストであるニーアル・ファーガソンの伝記『キッシンジャー』全2巻(村井章子訳、日経BP社、2019年)のように、ありとあらゆる資料を読み、この人物をきちんと評価するべきかもしれないが、私はキッシンジャーが外交を展開した非西欧の国々の立場からみてみたい。 アメリカという理想像の終焉 キッシンジャーといえば、1973年のチリのピノチェトによるクーデタと、ベトナムからのアメリカ軍の撤退を思い出す。この2つの出来事は流れとしては真逆のことであるが、それは21世紀にいたる歴史の曲がり角を示している。アメリカという理想像の終焉である。 それはベトナム戦争の敗北で、アメリカという絶対的権力が衰退した
2023/12/07 リンク