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“宗教戦争”最前線──イスラム教徒を虐殺するミャンマーの怪僧
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“宗教戦争”最前線──イスラム教徒を虐殺するミャンマーの怪僧
たわわな果実さながらのオオコウモリを枝々にぶら下げた熱帯樹のでこぼこ道を三輪タクシー──トゥクトゥ... たわわな果実さながらのオオコウモリを枝々にぶら下げた熱帯樹のでこぼこ道を三輪タクシー──トゥクトゥク──がガタゴトと市街中心部に向けて走っていく。海からどんより漂ってくるもやの向こうに銃を提げた警備兵の姿がおぼろげに浮かび上がり、トゥクトゥクの湿気た帆布製の日よけに隠れようと私は後部席で身を縮め、帽子を目深にかぶり直した。ここはミャンマー最西部のラカイン州、ベンガル湾とバングラデシュ国境にほど近い州都シットウェ。この地で深刻な人道被害が発生し、世界の注目を浴びるに至った。多くの人がその惨状をこう表現する──まぎれもなく、これはジェノサイド(民族浄化)だ、と。 ラカイン州はミャンマーに属してはいるが、南北に連なるアラカン山脈によって他の地方とは切り離され、西隣のバングラデシュに含めてもよさそうな地勢をなしている。このラカイン州はムスリム(イスラム教徒)が最もまとまって暮らす地域(州北部の人口