震災経て手術室から心のケアへ 宮城・石巻の医師 - 日本経済新聞

「治療だけでは人は治らない」――。かつて聞き流した先輩医師の言葉が今は心に響く。手術室に立つ毎日を送っていた石巻赤十字病院（宮城県石巻市）の鈴木聡副院長（63）は、東日本大震災後に緩和ケアセンター長に転身。日々訪れる患者の悩みに耳を傾け、その人生に伴走している。震災当日は、呼吸器外科医として手術直前、激しい揺れに見舞われ、麻酔のかかった肺がんの患者が振り落とされないよう必死で手術台を押さえた。