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<書評>『吉田松陰の生涯 猪突(ちょとつ)猛進の三〇年』米原謙 著:東京新聞 TOKYO Web
歴史上の人物の評価は時代とともに変化する。研究の進展からだけでなく、時代の価値観の変化も一因だ。... 歴史上の人物の評価は時代とともに変化する。研究の進展からだけでなく、時代の価値観の変化も一因だ。そもそも松陰や松下村塾の評価は生前にも揺れており、罪人として忌避する者がいる一方、出世につながると接近する者もいた。 著者は、松陰をいたずらに顕彰も批判もせず、淡々と史料を突き合わせ、思索し行動し苦悩する松陰の実像に迫っていく。そこからかえって時代が、人々が、松陰に何を仮託したのかも見えてくる。 吉田松陰が傾倒した水戸学は本来、尊王と同時に武家政権の君臣秩序も重んじていた。しかし『孟子』に影響を受けた松陰はより先鋭化していく。また、民政の重要性を認識したものの、華夷思想を抜け出すことは生涯なかった。
2024/03/31 リンク