『徒然草』 第５２段．仁和寺にある法師

原文（『徒然草（二）全訳注』．ｐ４６） 仁和（にんわ）寺に、ある法師（ほふし）、年寄るまで、石清水を拝（をが）まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、ただひとり、徒歩（かち）よりまうでけり。極楽寺・高良（かうら）などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。 さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること、果し侍りぬ。聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意（ほい）なれと思ひて、山までは見ず」とぞ言ひける。 すこしのことにも、先達（せんだち）はあらまほしき事なり。 仁和寺（にんなじ）のある法師が、年をとるまで石清水を拝んだことがなかったので、それを残念に思って、ある時、思い立って、ただひとり、徒歩で参詣した。ところが彼は、極楽寺や高良（こうら）社などを拝んで、これで願いがかなったと思い込んで帰ってし

[betelgeuse]

老人がガイド無しに壮大なテーマパークに行ったら、入り口の大掛かりなアトラクションで満足して帰ってきてしまった話。当時は入り口も相当に豪華だった、という解説付き。

[highcampus]

友人と最近この話をしてたんだけど、仁和寺から石清水八幡宮ってめちゃくちゃ離れてるわけでもないよね。京都府内だしがんばれば一日で往復できる。普段よほど仕事が忙しい人だったのかなー

[TakahashiMasaki]

"すこしのことにも、先達（せんだち）はあらまほしき事なり"(いい言葉である