いじめられた経験がある人間は、いじめられる辛さを理解しているので、他人に対して優しくなる―こう思っている人は多いかもしれないが、現実は残念ながら必ずしもそうではない。かつていじめられっ子だった者がいじめっ子になってしまうケースは、それほど珍しくないことなのだ。それは、自分の身の安全を守ろうとしてしぶしぶ加害者側に回るというレベルに留まらず、中には率先していじめを行う無慈悲なリーダーになってしまう者すらいる。 特に男性はそういう傾向にある。私が学生だった時も、積極的にいじめに関わる男子の中には、かつてのいじめられっ子や、男子の間でいじめられている男子が、更に弱い女子のいじめられっ子をいじめるという構図が見られた。 これはおそらく、男の子がいじめに遭った場合、女の子よりも「いじめられるなんて情けない、恥ずかしい、格好悪い」「やられっぱなしで悔しくないのか。男だったらやり返せ」などと言われるため