出版業界は一部の大手はもちろん、新卒者や転職者に今も根強い人気がある。軸足を従来の紙媒体からウェブ媒体に移して新しいことに取り組んでいる企業もあるが、古い体質を引きずっているところも少なくない。 老舗出版社A社(仮名、以下同)での社長あいさつは「ウチは破産寸前ですが打つ手はあります」から始まったという。 「その“打つ手”を後から聞いてみると、韓流コンサートのチケット販売だとわかりました。いまさら韓流とは……」(中堅社員) 社長自ら「破産寸前」と宣言するだけあって、当然経費削減も行われている。交通費削減としてタクシー利用を控えるというのはどこの企業でも行われていることだが、A社はもっと細かい。仕事で東京メトロは使ってもいいが、都営地下鉄は利用しないように命令が出たのだ。東京の地下鉄には東京メトロと都営地下鉄があり、都営地下鉄はやや料金が高い。とはいっても、せいぜい20~30円の差である。 「