民間企業が運営受託する斬新なスタイルで物議もかもした「ツタヤ図書館」の登場などで公共図書館のあり方への関心が高まる中、各地の図書館はあの手この手で進化しつつある。便利な「駅前図書館」の開館や、ATMのような「読書通帳」の導入、さらにビジネス支援に乗り出す図書館も。そんな中、奈良県立図書情報館(奈良市)では、地元の農産物などを販売する物産展との「異色コラボ」で新たな入館者層を開拓。県の直営図書館というお堅いイメージ払拭にも一役買っている。(岩口利一) 垣根の低い図書館 カキやブドウ、ハクサイなど新鮮な果物や野菜が並び、法被姿の店員らによる威勢のいい呼び込みの声が響き渡る。立ち寄った家族連れらが品定めし、お目当ての品を次々に購入していく-。 この風景、実は奈良県立図書情報館の玄関前のもの。とても図書館とは思えない光景だ。館内から出てきた人が野菜を買い求め、店頭をのぞいた人が今度は館内に入ってい