いま話題にしている偽薬と火山には、パターナリズムでつながりがあります。その視点から私は考察しています。パターナリズムは父権主義ともいいます。国家権力に代表される権威に決定権を委ねるか、個人の選択を最大限に許すかのせめぎあいです。火山の場合は防災の根幹思想にかかわります。 国が住民の命について責任を持つ。国が警報を出して住民に立ち退きを強制する。パターナリズムのしくみがいま採用されています。雲仙岳1991年噴火以来、私はこれに異を唱えています。住民の愚考権を認めたい。命より生活を大事にしたい。 偽薬を使用しない立場がなぜパターナリズムか。偽薬には薬効がないのだから使ってはいけない、心理効果の利用は認められない、とする主張がイデオロギー的であって個人の自由な選択権を奪っているからです。 私はそこに、科学至上主義による平板な人生観を認めます。ニセ科学バッシング全体がそのようなものだと思います。