さて今父親がこちらに遊びに来ており、毎日観光に連れまわらなければならないので、なかなかネットに興じるのもままならないわけですが。 頼んで持ってきてもらった山本一郎『俺様国家”中国の大経済』文春新書ISBN:4166604694観光バスの中で読む。うーん、はっきり言っていろいろツッコミどころがあるかも。特に、経済統計の問題については先日の16.8%上方修正の件もあり、一応プロパーとしてのまとまった見解を示しておく必要を感じている。それも含めて細かいツッコミはまた改めてということにして、ここでは全体についての大まかな感想をば。 この本における切込隊長の中国・中国経済に対するスタンスは、次の二点に要約されるだろう。 1.中国とは、統計の信用性の問題を含め、とにかく不確実性の高い(デタラメな)国家(経済)である。 2.日本(政府・企業・消費者)は、このような中国(経済)のデタラメぶりをよく認識した
昨年に行った第1回全国経済センサスでサービス業など第3次産業の実態を反映させたらGDPがいきなり16.8%、2兆3000億元(約32兆円)増えたとの事。 いきなりGDPを16.8%も上方修正するというアクロバットを見せてくれる相変わらずの中国様だが、この件に関する各紙の報道を見てみるとちょっと面白かった。なぜか読売は取り上げていなかったんだがなんでだろ(18時時点)? (追記)コメント欄でソース教えていただきました。ありがとうございます。>IR-Watcher様、kaikaji様 英文:http://www.stats.gov.cn/english/newsandcomingevents/t20051220_402297118.htm 中文:http://www.stats.gov.cn/zgjjpc/jryw/t20051220_402297087.htm 日経 日経は第三次産業が実態と
Mao: The Unknown Story by Jung Chang and Jon Halliday. Cape, 814 pp., £25, June 2005, 0 224 07126 2Show More Mao Zedong’s long, wicked life has generated some lengthy biographies in English. Jung Chang and Jon Halliday’s is the longest, having overtaken Philip Short’s Mao (1999) and Li Zhisui’s The Private Life of Chairman Mao (1995). It represents an extraordinary research effort. The authors hav
http://cruel.org/other/rumors.htmlより。 ぼくも、読み始めは同じく「おおすげえ!」と喜んでいたけれど、でも最終的な評価はそれじゃ足りないのだ。「マオ」はいろんな資料をあたってよく調べてあるのは事実だが、問題はそれをもとに何を言っているか、ではないか。それをきちんと広い視点からフェアに評価できるのが、エスタブリッシュメントとしての正統文化であるはずなのに、それをやってくれそうな人もメディアもまったく思いつかない。なんでおれみたいな腰掛けサブカルの端っこの人間が、正統エスタブリッシュメント文化の仕事をかわってやらにゃいかんのだとは思うが、これからぼくが CUT とかで書く書評以上のものがどっかに出てきたら驚く。 僕の立場からはさすがに「そうそうその通り」ともいえないのだが、山形さんの苛立ちには確かに共感できる点もある。例えば英語圏では、必ずしも専門学術誌ではな
You don’t have to look far to see why Chinese grow up learning to hate Japan. Take the forthcoming children’s movie, “Little Soldier Zhang,” which Beijing-based director Sun Lijun says he made having “learned a lot from Disney.” The film chronicles the adventures in the 1930s of Little Zhang, a cute 12-year-old boy feeling his way through an unfriendly world. But the resemblance to Pinocchio ends
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ベイエリアに住んでいてよいことは、安くてそこそこの中華料理がたくさん食べられることと、各種華字新聞が実に簡単に手に入ることである。バークレーのダウンタウンに中国関係図書の専門の書店があって、そこに行けば『明報』『世界日報(台湾の聨合報の国際版らしい)』など華字新聞が5,6種、いずれも50セントで売っているし(『大紀元』はタダだが)し、住んでいるマンションから歩いて5分くらいの郵便局の前のスタンドでもその中の2紙が手に入る。 僕のようなヘタレヲチャーにとっては、なにかチェックしたい動きがあるとき、華字紙をまとめて手元においてあのセンセーショナルな見出しを見比べることができるのは大変有難い。インターネットの記事をいちいちチェックするのにくらべて半分の努力で同じ情報量が頭に入るような気がするからだ。問題は台湾における緑(民進党)よりの情報が全く手に入らないことくらいだろうか。 続きを読む 1.
中国におけるあまりにも大きい地域間の格差については、清華大学公共管理学院国情研究センター主任である胡鞍鋼教授が、「一つの中国」には「四つの世界」が存在していると表現している(『かくて中国はアメリカを追い抜く』、PHP研究所)。すなわち、(購買力平価による)所得水準が先進国のレベルに近づいている北京、上海、深センといった第一の世界(全国人口の2.2%)、世界の平均所得を上回る広東、江蘇、浙江といった第二の世界(人口の22%)、そして発展途上国のレベルにとどまる中部の省に代表される第三の世界(人口の26%)、さらに貧困地域に当たる貴州、チベットなどの中西部の省に代表される第四の世界(人口の約半分)が同時に存在しているのである。 こうした「四つの世界」の間では、人々の所得だけでなく、教育の水準と健康状態といった面においても大きな格差が存在している。一人当たり所得や、識字率、平均寿命などを総合した
Mao: The Unknown Story is a 2005 biography of the Chinese communist leader Mao Zedong (1893–1976) that was written by the husband-and-wife team of the writer Jung Chang and the historian Jon Halliday, who detail Mao's early life, his introduction to the Chinese Communist Party, and his political career. The book summarizes Mao's transition from a rebel against the autocratic Kuomintang government
昨日のエントリに関して、bewaadさんから大変参考になるツッコミをいただいた。論点を乱暴に一言でまとめてしまうと、僕が「中国においても構造改革路線とリフレ政策や財政出動を重視する路線は対立するのではないか」と述べたのに対して、bewaadさんの考えでは「中国ではその二つは矛盾しないはずだよ」ということになる。さて、この意見の違いはどこから来ているのだろうか。僕の最初のエントリが説明不足だったことに起因している部分もあると思うので、まずもう少し丁寧に「日本病」「円高シンドローム」「人民元改革」などをめぐる議論を整理してみたい。 続きを読む こうして改めて考えてみると、「リフレ派vs.構造改革派」という当初の見立てはやはりあまり適当ではなかったかもしれない。「構造改革派」はこれでいいとしても、「リフレ派」というよりは「均衡成長派」「中国版旧田中派」といったところが適当か。いずれにしてもこの辺
今日はサンクスギビングデイ、だそうだ。しかしキリスト教徒ではないこちとらとしては、いったい何に感謝したものやらちっとも実感がわかない。それどころかそのへんのレストランや商店が軒並みしまって単に迷惑なだけである。と思ったら近くの中華料理屋だけはしっかりと店を開けていたので助かった、とそこではたと気づく私。そうか!この日はアメリカで働くチャイニーズに感謝する日なんだ! ・・というわけで(なにがというわけ、なのかわからないが)アカロフ講演メモはちょっとお休みにして、ここで以前から気になっていた人民元改革関係の問題について、考えをまとめておきたい。 この件に関して特に気になっていたのが、最近中国国内で、人民元改革後の中国がかつてのプラザ合意後(ちなみに中国語では「広場協議」です)の日本が苦しんだ「円高シンドローム(日元升値総合症)」に陥ることを懸念する論調があちこち見られるようになってきたことだ。
梶ピエールさんのblogで紹介されていた朝日新聞シンポジウム「人民元改革の行方と日本・アジア」を読んでみました。 メインの中国人民銀行の通貨政策委員である余永定氏の講演は、共産圏の人間とは思えぬじつにまっとうな内容。オックスフォードで経済学を学んだということなので当然でしょうが、日本の通貨政策にたずさわる人達が奇妙な経済学ばかり語っているのとくらべると非常にうらやましい限りです。 私の友人でもある、尊敬されている日本人エコノミストは、02年後半という早い時期に、中国がデフレを輸出しているとの批判を始めました。でも日本は03年、04年に中国に対する輸出増で大きな利益を得たのです。 という指摘など、昔の苺経済板での中国発デフレ議論を思いだして苦笑してしまいました。 ただし、その後の米経常赤字削減への処方箋 米国が金利を引き上げ、財政赤字を削減すれば、内需が減少する結果、為替レートにかかわらず米
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