「私はこの研究をわがままな行為ではなく、むしろ自己鍛錬の行為と考えている。なぜならシェイクスピアと向かい合う者は誰でも初めは鉄面皮で、最後に謙遜し、恐れさえ抱くようになるからだ……まるで人間の世界はシェイクスピアが作ったもので、人間が自分のことを皮膚に包まれた存在と考える以上に面白いものだとわかるのだから、私は〈われわれのシェイクスピア〉についてでなく、〈シェイクスピアのわれわれ〉について書こうと試みた」(はしがき)。 著者はすでに『アメリカ小説における愛と死』において古典的な評価を得ている尖鋭な批評家=学者である。体制派から〈恐るべき子供〉と評された著者が25年の歳月をかけて完成したのが本書、『シェイクスピアにおける異人』である。劇作品と『ソネット集』に関する精妙な分析によって、著者はシェイクスピアにおける異人の四つの元型——女性・黒人・新世界の先住民・ユダヤ人——を確定し、その隠された
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