あたらしい年が明けた。 政治も、経済も、国際情勢も、すこぶる波瀾(はらん)にとんだ昨年だったが、今年はどうか。 妙におだやかな雰囲気である。暮から新年にかけて海外旅行にでかけた人びとも、空前の数にのぼるという。一見、天下泰平といった感じだ。 しかし私には、この静謐(せいひつ)な新春が、嵐の前の束の間の静かさのように思われてならない。 高齢者は自分の老後のことしか考えない。そして若い世代は時代の推移に無関心だ。現実を憂うる人びとは、昔も今も常に少数者である。その結果、歴史はつねに同じ経緯(けいい)をくり返す。 人間は学習しない動物である。私自身、幾度となく同じあやまちを犯してきた。 今年はたぶん苦しい年になるだろう。税の重さをあらためてひしひしと感じることになるだろう。アジア諸国との緊張感も高まるだろう。団塊の世代が雪崩(なだれ)をうって高齢者の仲間にくわわり、世代間の対立も激化