「自治体と自治会と」で触れた事例に、耕作放棄地への企業進出をあげた。近ごろは野菜工場なるものもあって、より品質の高い農産物への注目も高い。いっぽうで食料自給率の問題や耕作放棄地の問題など、農業めぐる近々の対応が急がれることがらが多い。国の施策を見てもそうした対応に即した補助事業制度が掲げられ、あたかもそうした課題一点を解消するべく餌が撒かれているという印象が強い。財政難の地方にあっては、いかなる補助制度をも利用しなくては、という意識が高まり、たとえば地方の議会議事録を紐解いても、補助金利用に関する自治体理事者への質問が多い。「補助金に使われるな」という言葉もあるが、使えるものは使え、が自治体の至上命令であることは今もそう変わらない。 農業は小規模経営では成り立たないということで、規模拡大が図られてきた。しかし日本の国土、とりわけ長野県のような山あり谷ありの地形では大規模化が難しいことは知ら