昨年10月に丸の内オアゾ「丸善」店内に開店した松丸本舗。「一度入ると脱出困難」「知の迷宮」「本のテーマパーク」などと評され、話題を呼んでいる。本屋の中の本屋――それだけでも不思議だが、松丸本舗は従来とは全く異なる書店作りを試みている。 昨年、創業140年を迎えた丸善は、書評サイト「千夜千冊」プロデューサーである松岡正剛氏を迎え、「人と知の出会いの場」がどうあるべきか、とことん突き詰めた。インターネットで本を買う人が増えるなか、リアル書店ができることの意味は何か。この松丸本舗は老舗書店と知識人が共に考え、理想を形にした空間なのだ。 松丸本舗に入ると、それまでの整然とした書店風景から、雰囲気がガラリと変わる。一見乱雑で、本が「掻き集められた」ように置かれている。まるで誰かの書斎に遊びに来たようだ。 出版社や著者別などのジャンル分けは一切なし。サイズの違う文庫本と大型書が隣り合い、本が横に寝てい