過重労働はつまるところ、損失のほうが多い「収穫逓減」的な行為である。長時間労働の常態化を避けるべき理由を、数々の研究結果を基に報告する。 マネジャーは従業員に対して、長時間働くことを期待する。どの時間帯であろうとメールに応じ、夜間や週末や休暇中などの勤務外時間も、文句を言わず快く仕事に捧げてほしいと望んでいる。こうした状況下では、部下はほとんどなすすべがない。過重労働とは、組織ピラミッドの上から下へと作用するものなのだ。 これは過重労働に関する説明の1つである。人々が長時間働くのは上司に要求されるから、という説だ。(2015年8月に『ニューヨーク・タイムズ』紙が報じたアマゾンに関する記事も、主にこの説に沿っている〈英語記事〉。) しかし長時間労働については、他の解釈もある。金銭的な動機、企業文化、そして瞬時にオフィスとつながるテクノロジーの3つが織り成す渦に、シニアマネジャーも含めて誰もが