「モノ造りの重要性」を強調する最近のトヨタ。その具体例が「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ )」である。TNGAの手本は、マツダが編み出した「コモンアーキテクチャー」にある。リーマンショック後の経済混乱の中、フォード傘下から離れたマツダが苦しみ抜いて出した答えこそコモンアーキテクチャーだ。それは、「全車種を縦軸で統一する」という、まったく新しい設計&生産手法だった。 マツダ、コモンアーキテクチャー開発前夜 まずはコモンアーキテクチャー開発前夜、マツダがどういう状況に置かれていたかから話を始めよう。1990年代初頭、マツダは国内ディーラー網の5チャネル化に失敗し、どん底に沈んだ。ディティールはひとまず措こう。進退窮まったマツダを救ったのは、フォードだった。1996年、フォードは出資比率を33.4%に引き上げ、フォードグループの車両開発の一部をマツダに委託した他、経営幹部を