米国発の金融危機が日本にも飛び火しそうだ。政府・自民党は、経営悪化が懸念される地方金融機関に予防的に公的資金を注入できるよう、金融機能強化法の成立を急いでいるが、実は同法の最大の狙いは農林中央金庫の救済である、といわれている。 10兆円を超える投資 「ザ・ノーリンチューキン・バンク」。米ウォール街や英シティで農林中央金庫は、そう呼ばれる。「あそこにもって行けば何でも買ってくれた」。フランス系銀行の幹部はこう打ち明ける。スイス系金融機関の幹部も「まるで農中は『投資銀行』気取りでした」と笑う。 というのも、農林中金は、サブプライムローン問題で危険さが浮き彫りになった証券化商品や米政府支援機関(GSE)債を大量に買い込んできたからだ。その金額はなんと10兆円を超える。 複雑な農協系金融機関の構造はこうだ。まず、市町村段階にある単位農協に農家など組合員の貯金が82兆円集まる。共同組合組織である農協