かつて民主党が結党されたころ、鳩山由紀夫氏は、しきりに「民主党は市民の政党だ」といっていた。平成9年に朝日新聞で鳩山氏と中曽根康弘元首相の対談が行われ、そこでも、「国民」という概念にこだわる中曽根氏に対して、鳩山氏は、「国民」という言葉を排し、これからは国境に固執する時代ではなくなり「地球市民」の時代になる、と述べている。 確かに、民主党が結成されたこの時期は、グローバル化の嵐の中で、やたら「地球市民」などという聞こえの良い、内容空疎な言葉が流行していた時代であった。さすがにそれから10年たって政権の座に就いた鳩山首相は「市民」とはいわない。かつては、「国民」を忌避して「市民」に固執していた民主党も、政権に近づくにつれ「国民」の語を使うようになった。そしてしきりに「国民のための政治」や「国民目線にたつ」などという。 民主政治が「国民のための政治」であることは自明のことなので、ことさらに「国