東京大学の鈴木俊貴准教授らは、鳥が翼の動きで意思疎通しているのを発見した。つがいの一方が翼を震わせ、もう一方に先に巣箱に入るよう促していた。身ぶり手ぶりで意思を伝える「ジェスチャー」はヒトや類人猿にしかないとされていたが、今後より多くの動物で見つかる可能性がある。指を差したり手を振ったりするジェスチャーは、意思疎通の手段の一つだ。ヒトでは二足歩行の進化とともに両手が自由に使えるようになり、ジェ
東京の空の勢力図が変わろうとしている。都市生態系の頂点であるカラスにタカなどの猛禽類が挑戦状を突き付けたのだ。彼らはなぜ東京に来たのか。鳥たちが繰り広げる熱い「空中ドラマ」に迫る。 カラス独裁の揺らぎ 今、東京の空に異変が起きている。といっても、この異常な暑さのことではない。鳥である。一度、空を見上げてみてほしい。その変化に気付くかもしれない。 「これまで東京都上空の覇権を握っていたのは、カラスでした。しかし、個体数の減少に伴い、オオタカやハヤブサなどの猛禽類が東京都心に進出し、熾烈な勢力争いを始めているのです。両者の戦いにスズメやツバメなどの小鳥も巻き込まれ、東京の空はさながら、生態系の頂点をかけた仁義なき戦いのような状態になっています」 そう語るのは、NPO法人自然観察大学学長で、『都会の鳥の生態学-カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰』の著書がある唐沢孝一氏である。長年にわた
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巨大ペンギン「Kumimanu biceae」を人間のダイバーと比較した想像図。独ゼンケンベルク研究所提供。(c)Senckenberg 【12月13日 AFP】ニュージーランドで体長170センチに達する新種の巨大ペンギンの化石が発見された。オンライン科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)が12日、論文を掲載した。巨大な骨格から、学名には同国先住民マオリ(Maori)の言葉で「怪物鳥」を意味する「クミマヌ(kumimanu)」という単語が取り入れられた。 論文によれば、見つかった巨大ペンギンは体長170センチ、体重100キロに達し、絶滅したペンギン種では世界最大級と考えられる。現代のペンギンが小鳥のように見える大きさだ。 独フランクフルトのゼンケンベルク研究所(Senckenberg Research Institute)に所属する古生物学者で
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この要因を確かめるため、著者のデビッド・ウィートクロフトさんとアンナ・クバランストロムさんは、鳴禽類のマダラヒタキとシロエリヒタキの巣の卵を入れ替えて観察した。別種の母鳥に育てられた場合であっても、ヒナは自身の種のさえずりに強く反応したという。 次に、その2種を交雑(異種交配)させて雑種を生み出し、反応を見た。雑種のヒナは母鳥がどちらの場合でも、マダラヒタキのさえずりの方によく反応することが分かった。 これらの結果は、鳴禽類の2種が持つヒナの時期からのさえずり聞き分け能力が、社会的経験や母鳥の影響ではなく、遺伝的に決定づけられていることを示しているという。 関連記事 日本発の地質時代「チバニアン」誕生なるか 国際標準地、きょう申請 茨城大などの研究グループが、千葉県の地層「千葉セクション」を、地質時代の区分を決める標準地として国際学会に申請。審査をクリアすれば、その地質時代の名前が「チバニ
ミャンマーの地層から見つかった約9900万年前(白亜紀)の琥珀(こはく)の中から、絶滅した鳥類のヒナがほぼ完全な形で見つかった。羽根や骨格などが当時のまま残っており、通常の化石ではわからなかった原始的な鳥の姿が確認できる。鳥類の進化を探る上での貴重な標本だという。 中国地質大の邢立達(シンリーター)博士らの国際研究チームが専門誌「ゴンドワナ・リサーチ」(電子版)に論文を発表した。琥珀はキャラメルの箱ほどの大きさで、中に全長約6センチのヒナが閉じ込められていた。CTスキャンなどによる分析から、絶滅した原始的な鳥類、エナンティオルニス類のヒナと判明した。孵化(ふか)して間もない状態と見られるが、翼の部分にある前脚の指には爪が生え、くちばしには小さな歯があるなど原始的な特徴が残っているという。(ワシントン=小林哲)
海を汚染する海洋プラスチックは、海鳥が食べ物を探すカギとなる臭いを出しているとする論文を、米カリフォルニア大の研究チームが、9日付の米科学誌サイエンス・アドバンスに発表した。誤飲の原因となっている可能性があるという。 チームは、主要なプラスチック3種類について、海水にさらされていないものを10検体ずつ、さらされたものを12検体ずつ、それぞれ分析。海水にさらされたプラスチックだけが、ジメチルスルフィド(DMS)という物質を発していた。 DMSは、海の動物性プランクトンも作ることが知られている物質。海面に漂う生物を食べているミズナギドリなどの遠洋の鳥類は、嗅覚(きゅうかく)でこの物質を感知してエサを探している。 チームはさらに、エサ探しや巣作りの方法と、プラスチックの誤飲率の関係を過去の文献で調べた。嗅覚によるエサ探しをする鳥のグループの誤飲率は約48%で、そうでない鳥たちの約5倍だった。地面
ヨーロッパアマツバメ。Biosphoto提供。(c)Biosphoto/Minden Pictures/Mike Danzenbaker/BIA 【10月28日 AFP】こげ茶色の羽毛をした小型の鳥「ヨーロッパアマツバメ」が、10か月間にわたり一度も着地することなく連続飛行することが分かったとの研究結果が27日、発表された。空中で過ごす時間としては、知られている鳥類の中で最長だという。 ヨーロッパアマツバメが生涯の大半を飛行して過ごすとの仮説は、英国の研究者ロン・ロックリー(Ron Lockley)氏が46年前に初めて提唱していた。米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に発表された今回の研究結果は、その仮説を裏付けるものとなっている。 スウェーデン・ルンド大学(Lund University)の研究チームは、ヨーロッパアマツバメ13羽の背部に、重さわずか1グラムの
ドミニカ共和国の首都サントドミンゴの市場で開かれた農業フェアで撮影されたニワトリ(2013年6月7日撮影、資料写真)。(c)AFP/ERIKA SANTELICES 【7月27日 AFP】エチオピアの科学者チームが、蚊がニワトリの臭いを強く嫌うことを発見し、毎年数十万人の死者を出している感染症、マラリアを防ぐ革新的な方法の開発に期待を寄せている。 エチオピア・アディスアベバ大学(Addis Ababa University)のハブテ・テキエ(Habte Tekie)教授率いる昆虫専門家のチームは、蚊が人間や他の動物の血を吸う一方でニワトリには近づかないことに着目して今回の研究を行った。 テキエ教授はAFPの取材に「マラリア蚊がニワトリから発せられる臭気を嫌う化学的根拠を詳しく調べた。その結果、ニワトリから得られる化合物が防虫剤として非常に優れた可能性を秘めていることが分かった」と語った。テ
モザンビークのニアッサ国立保護区で、オスのノドグロミツオシエを手に乗せるヤオ族の蜂蜜ハンター、オーランド・ヤセニ氏。ノドグロミツオシエは研究のため一時的に捕獲した。(PHOTOGRAPH BY CLAIRE SPOTTISWOODE) ノドグロミツオシエ(学名:Indicator indicator、英名:ハニーガイド)と呼ばれるアフリカの小鳥は、人の声を聞きとり、その意味を理解できることが、最新の研究で初めて確認された。研究結果は科学誌「サイエンス」に掲載された。 モザンビーク北部。ある男性が声を震わせて特殊な音を出すと、ノドグロミツオシエがそれに気付く。男性は蜂蜜を求めて、ハチの巣を探しそうとしている。ノドグロミツオシエは、彼を巣の場所まで案内し、ごほうびに人間が取り出したハチの巣をもらう。 飼い慣らされた種が人間とコミュニケーションを取れることはよく知られているが、「野生動物と人間も
子ガモ。独ベルリンの湖で(2016年7月6日撮影)。(c)AFP/dpa/Ralf Hirschberger 【7月15日 AFP】カモのひなは、さまざまな形や色の2個の物体の違いを学習できるとする研究結果が14日、発表された。こうした能力を持つことがこれまで知られていたのは、類人猿、カラス、オウムだけだった。 米科学誌サイエンス(Science)に発表された研究論文によると、この能力は「刷り込み(インプリンティング)」に関連しているという。ふ化したてのひなが最初に目にする、母親である可能性が高い成鳥の後を追う現象も、この強力な学習プロセスの一例だ。刷り込みは、野生の鳥を保護した世話人に対してもみられることもある。 論文の主執筆者で、英オックスフォード大学(University of Oxford)動物学部のアレックス・カセルニック(Alex Kacelnik)氏によると、刷り込みは、原始
キンカチョウのひながオスの求愛のさえずりを父親の歌声を聞いて覚える脳のメカニズムを、沖縄科学技術大学院大の柳原真・研究員(脳科学)らのチームが明らかにし、21日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズで発表した。ひなの大脳にある聴覚野の神経細胞の一部が、1週間ほどで父親の歌声のみに反応するように変わるという。 チームは、ひなが自由に動ける状態のまま脳細胞の活動量を計測できる特殊な装置を使い、父親と一緒にいさせた20羽と、父親と離した5羽とで聴覚野の神経細胞の活動量を比べた。その結果、20羽のひなで、最初は他の鳥の鳴き声や雑音にも反応していた神経細胞のうち1割強が、父親の歌声を聞かせたときのみ活動するよう変化した。約1週間一緒にいさせれば変化は生じたという。一方、5羽の方ではそうした変化は起きなかった。
シジュウカラは、異なる複数の鳴き声を組み合わせて、意思疎通を図っていることを、総合研究大学院大学の鈴木俊貴研究員らが解明し、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。 人間の言語では単語の使い方に語順があるように、鳴き声の組み合わせに文法のようなルールがあることも分かった。 シジュウカラには10種類以上の鳴き声があるといい、複数を組み合わせて、さまざまな鳴き方をするという。 研究チームは、複数の鳴き声のうち、危険を伝える時の「ピーツピ」、仲間を呼ぶ時の「ヂヂヂヂ」という2種類に着目。「ピーツピ・ヂヂヂヂ」という順番の鳴き方を録音し、野外で再生したところ、シジュウカラは周囲を警戒しながら音源に近付いた。 一方、わざと順番を「ヂヂヂヂ・ピーツピ」と逆にして鳴き声を再生してみたところ、シジュウカラは警戒も接近もしなかった。チームは、鳴き方に一定のルールがあり、鳴き声の順番に意味があると
シャカイハタオリの巨大な巣。アフリカ、ナミビアにて撮影(PHOTOGRAPH BY GAVIN M. LEIGHTON, NATIONAL GEOGRAPHIC) アフリカ南部に生息する小型の鳥シャカイハタオリ(Philetairus socius)は、重さ1トン、最大500羽もの鳥が住める巨大な巣を作ることで知られている。(参考記事:「シャカイハタオリ、動物界の建築家たち」) 今回、新たな研究によって、この巨大な共同住宅の建造および維持に「攻撃的な監督者」が貢献しているとする研究成果が発表された。監督役の鳥が巣作り中の鳥を監視し、怠け者を見つけては罰を与えているというのだ。 この研究はナショナル ジオグラフィック協会の支援を受けて実施されたもので、米コーネル大学鳥類研究所のギャビン・レイトン氏らが、2016年3月16日付の学術誌『PLOS ONE』に論文を発表した。 巨大巣には共用部と個
ロシア・モスクワで開かれた農業見本市で展示されたひよこ(2013年10月9日撮影、資料写真)。(c)AFP/KIRILL KUDRYAVTSEV 【3月16日 AFP】遺伝子操作によって、恐竜のような脚を形成するニワトリの胚を作成したとする研究が今月、学術誌エボリューション(Evolution)に掲載された。獣脚類の恐竜から鳥類への進化の接点に焦点を当てる研究だ。 研究を行ったチリ大学(University of Chile)の研究者6人のうちの一人、アレクサンダー・バルガス(Alexander Vargas)氏は15日、AFPの取材に「ニワトリの胚における脚の初期の成熟を阻害すると、ニワトリの脚の形が恐竜の形に先祖返りする」と説明し、「結果として、恐竜の脚を持ったニワトリの胚ができた」と語った。 獣脚類の恐竜は当初肉食だったものの、やがて進化して植物や昆虫を食べるようになった。鳥類は、1
鳥のシジュウカラにも、単語と単語をつなげて文を作る能力がある――そんな発見を総合研究大学院大学の研究チームが3月9日に発表した。「作文の能力はヒト特有」という、これまで信じられてきた考えを覆すかもしれない。 シジュウカラは日本全土に分布する小鳥。周囲の危険を仲間に伝える際は「ピーツピ」、つがい相手や群れの仲間を集める時は「ヂヂヂヂ」――というように、状況に応じて鳴き声を使い分ける。 研究グループが、2種類の声を組み合わせた「ピーツピ・ヂヂヂヂ」を再生したところ、周囲を警戒しながら音源に近づくことが分かった。一方、順序を入れ替えた「ヂヂヂヂ・ピーツピ」への反応はなく、語順を正確に認識し、音声の意味を読み解いていたことが明らかになったという。 これまで、オナガザルやチンパンジーなど、異なる鳴き声をつなげる種は見つかっているが、組み合わせや語順で意味の違いを表現する種の発見例はないという。シジュ
米ルイジアナ州のミシシッピ川沿いの湿原で一緒にたたずむアオサギとアリゲーター(2010年5月2日撮影、資料写真)。(c)AFP/MARK RALSTON 【3月5日 AFP】米フロリダ(Florida)州の大湿地帯エバーグレーズ(Everglades)で、ワニがいる場所の真上にシラサギやアオサギといった水鳥が巣を作るという一見危険な行為によって、実は水鳥とワニの両者が利益を得ているとする研究論文が今週、米オンライン科学誌「プロスワン(PLOS ONE)」に発表された。 水に落ちた鳥のひなはたちまちワニに食べられてしまうが、アリゲーターが近くにいると鳥の卵やひなを盗むフクロネズミやアライグマが近づかないため、鳥たちはアリゲーターのそばに巣を作ることによってかえって一定の保護を得られるという。 一方、鳥は餌が乏しいときなどに、最も弱いひなをわざと巣から落とし、ひなの数を減らす習性がある。これに
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