〇国立歴史民俗博物館 企画展示『中世武士団-地域に生きた武家の領主-』(2022年3月15日~5月8日) 本展は、中世武士団を戦闘集団ではなく「領主組織」という観点から捉え、13世紀~15世紀を中心に、地域支配の実態と展開を明らかにする、とウェブサイトの企画趣旨にちゃんと書かれていたのに、私はこれを読まずに、武士団=戦闘集団という先入観で見に行ったので、会場でけっこう戸惑ってしまった。 冒頭には、当然、戦う武士団の姿が提示される。荒涼とした合戦風景を描く歴博本『前九年合戦絵詞』を久しぶりに見た。東博でも時々見るが、東博本と歴博本はともに祖本からの派生本(模写本)なのだな。本品は13世紀後半の成立だが、源平合戦(12世紀末)の戦闘の資料と考えられており、描かれた武士は、静止した馬上から前方の敵を射ている。「合わせ弓」の登場により矢の飛距離が伸びたので、離れた位置から敵を射ること(馬静止射)が
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