著者はイスラム学と比較思想専攻(奥付の著者紹介から)。1970年代後半にイランに留学。その最中に1979年のイラン革命に遭遇した。同時期に小田実もイランほかを訪れている(小田実「天下大乱を行く」(集英社文庫))が、彼の見聞とは相当に違う。テヘランで生活して、大学人や政府に近い人、町の生活者と話をし、デモやその鎮圧を目撃しているのであるから。そうすると、イラン革命は小田の報告するような社会主義革命や思想革命であるとは必ずしもいえない。革命から日を経ていないから、皇帝を懐かしむ人もいるし、変化に即応して家賃他の物価を便乗値上げする商人もいるし、という具合。ホメイニ師が西洋音楽やプールを禁止したのを憤る西洋人もいるが、9割の貧困者や中流階級には無縁であって、1割の上流階級にしか関係しないことで、彼らの多くは革命と一緒に亡命したから、実効力のある指示であるとはいえないとか。あるいは皇帝の時期、親米