ソランジュが3月1日に突如発表したニューアルバム『When I Get Home』が大きな話題を集めている。2019年を代表する作品になりそうな本作を掘り下げるため、『WIRED』日本版前編集長(現・黒鳥社)で音楽ジャーナリストとしても活躍する若林恵と、『Jazz The New Chapter』シリーズの監修で知られる柳樂光隆によるクロスレビューをお届けする。 ソランジュという運動体 若林恵 音作品としてのアルバムの制作が音楽家の活動の中核をなしていた時代は、もう終わりを迎えているのかもしれない。 すでにしてSpotifyのような配信プラットフォームでは、アルバムよりもプレイリストのほうが重視されていて、アーティストが精魂こめてつくりあげた音楽上のナラティブなんていうものは、そのチャネル内では意味を失いつつある。 一方で、音楽活動は、もはや音楽だけを扱うものではなくなっているというのも趨