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ブックマーク / benli.cocolog-nifty.com (20)

  • benli: 音楽教室とJASRAC

    ヤマハや河合楽器製作所などが手がける音楽教室での演奏について、日音楽著作権協会(JASRAC)は、著作権料を徴収する方針を固めた。 というニュースが話題となっています。 音楽教室では、既存の楽曲について、教師が一部のフレーズを演奏して見を示し、生徒がその見に従ってそのフレーズを演奏してみるということが通常行われます。生徒については、一曲通しで演奏することもまま行われるのでしょう。このような形での楽曲の演奏は、音楽教室の教師(ないしその雇い主である音楽教室の運営会社)による著作権侵害に当たるのでしょうか。 まず、一部のフレーズの演奏したに過ぎない場合に、元の「音楽著作物の利用」と言えるかどうかが問題となります。元の音楽著作物の表現上の質的特徴部分を直接感得できるものでないと、著作物の「利用」たり得ないからです。4小節なり8小節なりという単位で演奏したときに、そこだけで「元の音楽著作物

  • benli: 還元の要否に関する原則と例外

    音楽教室とJASRACとの関係についての議論を見ていて気になることがあります。著作物を用いて事業者が利益を上げたらその利益の一部は著作権者に還元されなければならないという間違った考え方をお持ちの方が少なからずいるということです。 少なくとも日の現行の著作権法は、そういう考え方を採用していません。著作物を公衆に提示・提供する行為のうち所定の態様で行われるもの(並びに、その準備行為たる著作物の複製行為、二次的著作物の創作行為)のみを法定利用行為として著作権者に独占させる制限列挙方式を採用しています。著作物の創作に一定の資を投下した人に投下資回収の機会を与えるために一定期間競合を排除するという著作権法の基的な枠組みからすれば、新たな公衆への提示・提供態様が著作物にかかる来的な投下資回収手段の一つとして位置づけるに値するものとなったときに、新たに支分権を創設する立法を行えばよく、そのよ

  • benli: 同人誌の表紙絵

    同人誌の写真をネットで公開することについて法律的にどのような問題が生じてくるのかについて、AVANCE LEGAL GROUP LPCの山岸純弁護士と児玉政己弁護士に聞いたニコニコニュース内の記事が反響を呼んでいます。その真偽について検討してみましょう。 両弁護士によれば、 この種の同人誌は、既存のマンガなどのキャラクターの特徴が忠実に再現されていてこそ購買意欲が生じると言われていますので、『同人誌の製作者』のオリジナリティはかえって購買者にとって邪魔になるだけであり、このようなオリジナリティの発現はおのずと否定される場合が多くなるかと思います。とすると、“オリジナリティが欠ける”=“著作権が発生しない”ということになりますので、『二次創作同人誌』の表紙については、無断掲載されても、『同人誌の製作者』への著作権侵害の可能性は低くなると考えることができるわけですとのことです。 どうも、同人

  • benli: 出版社に隣接権を付与するよりも役立つこと

    出版社に著作隣接権を云々という議論が喧しいようです。この点について私も、日経新聞の取材を受け、その一部が今日の朝刊に掲載されたようです。 ただ、著作隣接権を求める理由として出版社サイドが表向き唱えていることを実現するためには、別の方法をとった方が早道なのになあと正直思ったりする私がいます。 著作物の利用を円滑化するためには、権利処理の窓口を一化することが有益です。そして、この一化された窓口は、その著作物の利活用の活性化とは別の思惑で恣意的な利用許諾拒否を行わないことが有益です。その意味では、JASRAC類似の権利処理機構を、文芸著作物や漫画の著作物についても作ってしまうのが有益です。 とはいえ、漫画雑誌を発行している出版社からすると、自社の雑誌で連載させている作品の中で特に人気が出た作品について、他の出版社から自由に単行が出されてしまうというのは問題でしょう。その意味では、出版社にも

  • benli: 山本博司参議院議員のブログエントリーにコメントしてみた

    博司参議院議員のブログエントリーに次のようなコメントを投稿してみました。 私は、中央大学法学部で著作権法のゼミを担当し、また、「著作権法コンメンタール」(東京布井出版)の編集代表を務めた弁護士です。 違法コンテンツの氾濫を防ぐには、作家たちが著作権を行使すれば足りるのであって、出版社に著作隣接権を認める必要はありません。その行使を出版社に委ねたいという作家は、出版契約の存続期間中、著作権(またはその中の送信可能化権)を出版社に時限的に信託譲渡すれば足ります。 出版社に隣接権を認めた場合、出版社には物理的な書籍の許諾しかしたくないと思っている作家たちが、出版社とは別に、自分の作品を電子書籍化することができなくなってしまいます。また、出版契約よりも隣接権の方が存続期間が長いので、出版契約終了後も、作家たちは、自分の作品を、他の出版社から出版することができなくなってしまいます。そしてこの弊害

  • benli: マジコン規制は、タガタメだ。

    マジコン規制の可否を巡る議論を見ていると、マジコンにより回避される制限手段が誰による誰のためのものかという点に関する誤解が多いように感じられます。 不正競争防止法第2条第1項第10号制定時に想定されていた制限手段は、各コンテンツの販売元に、アクセス制御を付するか否か、付するとすればどのようなものにするかについての選択権があるものでした。このころの議論は、コンテンツの販売元が媒体にアクセス制御のために記録した信号に反応する機能を再生機器に付する義務が機器メーカーにあるのかという話でした。 しかし、マジコン論争のもとにあるDSの制限手段は違います。 任天堂側が用意した特定の信号が媒体に記録されていなければDS上でプログラムが正常に稼働しないわけですから、アクセス制御を付するか否かについて、コンテンツの販売元に選択権はありません。むしろ、コンテンツの販売元は、そのプログラムがDS上で稼働するよう

  • benli: メディアは「マジコン」について正確に報じない。

    産経新聞によれば、 海賊版のゲームソフトをインターネットでダウンロードして遊べるようにする機器(回避機器)について、文化庁は製造・販売やサービスの提供などを規制するため、刑事罰の導入を盛り込んだ著作権法の改正案を今年度中にまとめる方針を固めた。早ければ来年の通常国会に提出する見通し。アジアや欧米各国では、携帯ゲーム機向けの「マジコン」と呼ばれる機器が多数出回り、国内でも被害が深刻化しており、歯止めをかけるのが狙いだ。 とのことです。 そのことの当否もさることながら、新たな規制のターゲットとなる「マジコン」について正しい理解をしようともしないマスメディアの体質にはうんざりします。 産経新聞は、上記のように、「マジコン」を、「海賊版のゲームソフトをインターネットでダウンロードして遊べるようにする機器(回避機器)」と表現した他、同じウェブページにおいて、「ゲーム体には、違法にダウンロードした

  • benli: 情報に国境を作らない工夫

    既に米国ではiPadが発売され、Amazon社のKindleとともに、電子書籍の普及を後押ししていくことでしょう。 ただ、そうなっていくと一つ心配しなければならないことが出てきます。音楽・映像の世界で既に生じている「国境での情報の遮断」がテキストの世界でも生 じてしまいかねないということです。 従来の書籍であれば、日国外でのみ出版された書籍であっても、最悪並行輸入をすれば、日国在住者でもこれを閲読することができます。しかし、オンラ イン配信で提供される電子書籍においては、日がその配信対象区域から外れるものについては、誰かが現行の著作権を侵害することなくして日国在住者がこ れを閲読することができなくなります。電子書籍が紙の書籍の補完物である間は「電子書籍が入手できなければ紙の書籍を読めばいいではないか」ということは 可能なのですが、今後出版コストの安い電子書籍オンリーの著書・論文等が

  • benli: 国破れて著作権あり──何を恨んで鳥にも心を驚かさん

    文化庁は、日版フェアユースを「写真の端に絵画が写ってしまう場合など、意図しない付随的利用などに範囲を限定する」意向であると伝えられています。日新聞協会等はその程度のフェアユースにすら反対のようです。 しかし、著作物の公正な利用であっても著作権侵害に当たるという規定を維持し続けること、若しくは、その著作物の利用が「公正」とされる場合を極めて限定的な範囲に留めることが何をもたらすのか、きちんと理解されているのか疑問です。 例えば、著作権法の平成21年度改正によって適法であることが明文化された著作物の利用には、Web検索サービスにおける著作物の複製及び送信可能化、インターネット販売等における商品画像の複製・公衆送信、情報解析のためのウェブ上の情報のコンピュータへの蓄積、通信事業者によるキャッシュサーバ又はバックアップサーバにおける著作物等の複製、コンピュータ稼働の際のハードディスク等へのキャ

  • benli: これからは新聞記者は資料としてウェブをプリントアウトしたりなどしない。

    社団法人日新聞協会等が「『権利制限の一般規定』導入に関する意見書」を提出したのだそうです。 その中で、ウェブページが無断で印刷されることを問題視されているようです。ただ、私は、何度も新聞記者さんから取材を受けていますが、その際、多くの記者さんが、ウェブページを印刷したものを資料としてお持ちだったと記憶しています。さらにいえば、私は、新聞社のカタから、「あなたのウェブページを、取材の際の資料に使いたいので、印刷させて下さい」との許諾願いを受けたことがありません。私の文章は、基的に解説文ですから、「当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物」にはあたらないはずですし、新聞社は営利活動の一環として取材活動を行っているので、取材活動において資料として使用するためのプリントアウトは「私的使用の範囲」を超えているとするのが多数説です。 今後、記者さんの取材活動がどう

  • benli: 何が分子で何が分母か

    産経新聞はつぎのような記事を掲載しています。 確かに、法改正の効果については議論を呼んだが、レコ協は、適法な音楽配信サイトを認証する「Lマーク」が全体の97%に普及していることから、ユーザーは違法サイトを見分けられるとみている。 97%って、分母が何で分子が何なのでしょうか。これをみると、 例えば、ゆずmobile(http://yuzu.senha.jp/)、ゆずムービー(http://yuzu.senha.jp/pv/)、ゆずコール(http://yuzu.senha.jp/mc/ )、ゆずうた(http://yuzu.senha.jp/uta/)、ゆずうたフル(http://yuzu.senha.jp/uta_full/)をそれぞれ別サイトとしてカウントするなど、分子が水増し気味のようにも思われるのですが。配信楽曲数では、全体の1割近くを占めるiTunes Storeが「Lマーク」を

  • benli: 由是著作者怠倦?

    少し日史の復習をしてみましょう。 朝廷は,西暦723年に三世一身法を制定し,灌漑施設を新設して墾田を行った場合には三世までの私有を許し,季節の灌漑施設を利用して墾田を行った場合は開墾者人のみの土地私有を認めることとしました。ところが,朝廷は,西暦743年には墾田永世私有法を制定し,墾田の永世私有を認めることとしました。その理由は, 墾田拠養老七年格。限満之後、依例収穫。由是農夫怠倦、開地復荒。自今以後、任為私財無論三世一身。悉咸永年莫取。 というものでした。三世一身法の制定から20年では墾田の返納期限には未だ到達していないと思われますので,「限満之後、依例収穫。由是農夫怠倦、開地復荒」という実態があったのかは多分に疑問ですが,大和朝廷ですら,現状では「由是農夫怠倦、開地復荒」ことを,独占期間の延長をするための立法事実として提示していたわけです。 他方,オリコンは,「『著作権保護期間の延

  • benli: The Beatlesのリマスターとレコード輸入権

    リマスター版の「Abbey Road」のメーカー希望小売価格が2600円、Amazon.comでの販売価格が$11.99(約1080円)。価格差約2.5倍。あまり物価水準に差がないと文科省の役人が数年前に言っていた、日米間で、同じCDの価格差が約2.5倍。 Amazon.comで、「Abbey Road」を並行輸入しようとしたときに、レコード輸入権侵害として、後で損害賠償請求されるのではないか、あるいは税関に輸入差し止めをらうのではないか、とても心配です。 あとは、リマスター版についても、独自に「国内において最初に発行された日」というのが設定されるのか、元のレコードの「国内において最初に発行された日」が援用されるのかによってくるのですが。

  • benli: 音楽需要拡大へのビジョン

    オリコン2009年7月27日号には、別冊付録として、2009年5月28日に行われた「Music Forum '09」についてのレポートがついています。 テーマは「音楽需要拡大へのビジョン」ということなのですが、パネリストを見ただけで「何だかな」という気持ちにさせられてしまいました。 パネリストは、 石坂敬一・社団法人日レコード協会会長 尾木徹・社団法人日音楽事業者協会会長 大石征裕・社団法人音楽製作者連盟理事長 田中義雄・日レコード商業組合理事長 飯原博・全国レコード卸同業界会長 村上敬亮・経済産業省商務情報政策局文化情報関連産業課課長 だったわけですが、「音楽需要拡大へのビジョン」云々といいながら、需要者側の人間を誰一人パネリストに加えていないのですから、何をか況やという感じがしてしまいます。津田さんとか呼んでおけばよかったのに。需要者の声を聞かずに需要拡大を論ずるなんて、私には、

  • benli: 何も畏れることはない

    朝日新聞によれば, インターネット検索最大手の米グーグルが進める書籍検索サービスについて、詩人の谷川俊太郎さん、作家の三木卓さんらが30日、東京都内で記者会見し、著作権侵害の恐れがあると危機感を訴えた。とのことです。 Google Inc.も,著作権者が検索サービスに組み入れるなと明示的に意思表示をしているものについてそれでも組み入れてやると言っているわけではないのですから,和解した上で,検索データベースからの作品の削除を申し出ればいいだけであって,何も危機感を覚える必要はないのではないかという気がします。むしろ,和解から離脱することにより,終局判決において,書籍データベースでの書籍データの利用はフェアユースにあたるという判断が下される可能性だってあるわけですから,検索されたくないのだったら,和解に乗った方がいいのではないかという気がしなくはありません。弁護士からどういうレクチャーを受けて

  • 三権分立を理解できないベテラン記者がいることの方が理解しがたい - la_causette

    産経新聞社の花岡記者が「国籍法改正は政治の知性の欠如」というエントリーをアップロードしています。 まず冒頭から,だれもその意味合いを理解していない法律改正が実現しようとしている。ととばしています。しかし,この問題に関心の薄い人は多いと思いますが,少し関心を持って調べれば,「国籍法第3条1項を文言通りに解釈して,日国籍を有しない母から出生した子が出生後に日国籍を有する父から認知を受けた場合に,その母と父とが結婚しない限り,同項により日国籍を取得できないとするのは,憲法第14条に反し違憲である」との最高裁判所大法廷判決を受けて,最高裁判所が採用した同項の憲法適合的な解釈に法律の文言を合わせようという意味合いをもっていることがわかるかと思います。 法務省にいかがわしい「人権スクール」が存在するのではないか。そうとでも考えないと、この異常事態は理解できない。 とのことですが,最高裁の違憲判決

    三権分立を理解できないベテラン記者がいることの方が理解しがたい - la_causette
  • benli: 私的ダウンロード行為の違法化について

    津田さんが, 【速報】私的録音録画小委員会にてダウンロード違法化が決定。iPod課金は見送り。とつぶやいておられたので,自民党,公明党,民主党,社民党の方に,概ね下記のようなメールを送っておきました。共産党は,知り合いが思い浮かばなかったので,共産党のウェブサイトに掲載されているメールアドレスに宛てて,ほぼ同じ内容のメールを送っておきました。 //////////////////////////////////////////////////// 文化審議会の私的録音録画小委員会において,違法にアップロードされた音声または映像をダウンロードする行為を著作権侵害とする旨の法改正を行うことを決定したとの速報が流れてきました。 そのような法改正がなされた場合,一般市民は,JASRACまたはテレビ局からの証拠保全又は検証物提出命令等により,個人的に使用しているパソコンのハードディスクの中身及び操作

  • で,あなたたちは? - la_causette

    産経新聞によれば,「道徳教育を進める有識者の会」なるものが発足したのだそうです。 なんでも, 誰の言葉からも日人の心の荒廃への危惧(きぐ)がのぞく。コーディネーターの八木秀次・日教育再生機構理事長は「日人の劣化」と表現、「社会を建て直すには学校の道徳教育から始めるしかない」と締めくくった。 とのことなのですが,学校の道徳教育から初めて社会を立て直そうと思うと,その社会が建て直るまでには,そのような教育を受けた人々が社会の中心になるまでの数十年単位の期間が掛かってしまいます。そんなことよりまず,守られるべきと考える「徳目」を自ら実践し,順次自らに近い人から感化していく方が,まだ社会の立て直しを速く推し進めることができるのではないでしょうか。 どうも我が国の保守系の方々を見ていると,「道徳」というのは自らが守るべき規律ではなく,他人,とりわけ自分よりも弱い立場にいる人々に押しつけたい規律

    で,あなたたちは? - la_causette
  • benli: 購買力の旺盛な層を無視したビジネス

    mohnoさんが、「コンテンツの使用許諾を取るには」というエントリーの中で、 きちんとリターンを見せることができれば、けっこういろいろなコンテンツが出てくるんじゃないかと思う(何しろコンテンツホルダーは、みな、金の亡者なんだから:-))。 と述べています。しかし、公平に利用許諾を行い、これにより正当な報酬を受けることにより得る利益よりも、偏頗に利用許諾を行いこれにより生じた独占的利益の上前をはねる方が、自分たちにはお似合いだ、とコンテンツホルダーが考えたときには、そのようにはなりません。 mohnoさんは、 たとえば、小倉弁護士が iTunes の品ぞろえが悪くて「日の有料音楽配信が栄えない」なんて嘆いているけれど、実はジャニーズ以外はすべて「着うたフル」にそろっていたらしい(はてブより)。最近、RIAA のデジタル音楽配信市場の数字をみて驚いたのだが(まだ2006年の数字しか出ていない

  • benli: 「版面権」の例に倣う

    著作権審議会(現文化審議会)において最終報告書に小委員会の結論として、……を著作権法上認めて保護することが必要であるとの意見が大勢を占めた。との記載が盛り込まれたのに報告書に沿った立法がなされなかったことが、過去に存在します。平成2年6月付の「第8小委員会(出版社の保護関係)報告書」で小委員会の結論として、出版者に固有の権利を著作権法上認めて保護することが必要であるとの意見が大勢を占めた。と報告された「版面権」がそうです。 これについては、「経団連が反対した」すなわち「いろいろな企業とか、あるいは研究所などでもってこういう自然科学系の雑誌などを大量にコピーして使って」おり、「したがって、そういったところが多額の経費負担をしなければならないということで抵抗」したために立法化が果たせなかったとされています。なお、その際には、「その版面権を主張されると、ある会社が、どの雑誌のどの部分をどのく

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