9月29 早島大祐『徳政令』(講談社現代新書) 8点 カテゴリ:歴史・宗教8点 借金を帳消しにする徳政令に関しては歴史の授業などで聞いたことがあると思いますし、室町時代には民衆が徳政を求める徳政一揆をおこしたということを知っている人も多いでしょう。 民衆が実力で持って勝ち取った徳政ですが、実は16世紀になると人々の間で好ましくないものと認識されるようになってきます。 この徳政に対する認識の変化がどのようなもので、何によってもたらされたのかを丁寧に解き明かそうとしたのがこの本です。室町時代の社会構造の変化を辿るとともに、「借りたお金は返すべきだ」という共通意識がどのように芽生えていったのかを示そうとしています。 わかりやすく説明するために現代社会に置き換えた喩えなども多用してあって(個人的にはもう少し簡潔でもよいかと思いましたが)、読みやすいと思いますし、最後には内藤湖南の「日本史は応仁の乱