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ブックマーク / bonproduction.net (15)

  • INTERVIEW 秋田の過疎地に鳴り響く、祈りにも似たルーツ・ロック・レゲエ | B.O.N

    秋田の過疎地に鳴り響く、祈りにも似たルーツ・ロック・レゲエ――英心&The Meditationalies 取材・文/大石始 写真/ケイコ・K・オオイシ 2017年1月、僕らは秋田県山郡三種町鹿渡にいた。JR秋田駅から奥羽線に乗り換えて40分ほど。海まではさほど離れていないため、他の豪雪地帯に比べれば降雪量自体はそれほど多くないものの、曇り空の下を吹き抜ける北風は震えるほど冷たい。駅を降りて周囲を見回すと、歩いている人はおろか、一台の車すら走っていない。 この鹿渡に、松庵寺という古刹が建っている。創建は天文年間(1532~54年)。かの紀行作家・菅江真澄も訪れたという由緒正しい寺だ。 英心くんは、ここで副住職を務めながら、マイペースな音楽活動を続けている。僕が彼と知り合ったのはコロリダスという陽気な南国音楽楽団の打楽器奏者としてだったが、のちに地元の仲間たちと英心 & The Medi

  • 神の使者「神鬼」の化身が司る伝統行事――秋田県男鹿市北浦真山地区「真山のナマハゲ」 | B.O.N

    年明けから随分時間が経過してしまいましたが、昨年後半はバタバタのあまり、こちらのブログにもまったく書き込みすることができませんでした。今年は心機一転、もう少し積極的に書き込みをしていければと思っております(といいながら、すでに年明けから9日ほど経過しているわけですが…)。というわけで、年もどうぞよろしくお願いいたします! まず、大晦日から正月までは秋田にお邪魔しておりました。2012年に西馬音内盆踊りを取材して以来なので、実に4年ぶり。しかも初めての冬の秋田です。 今回の旅の目的のひとつが、男鹿半島でナマハゲを取材すること。ナマハゲというとどうしても観光客向けのものか、エンターテイメント的要素の強い創作芸能系のイメージが強かったのですが、来は小正月の民間伝承行事。男鹿半島では集落ごとに異なるスタイルのナマハゲが継承されており、そのなかには「これもナマハゲなの?」という奇妙な面のものも多

  • 「炭坑と失業者の町」を音楽と祭りの力で変える試み――福岡県田川郡香春町香春「オザシキオンガクフェスティバル」 | B.O.N

    写真/ケイコ・K・オオイシ 「筑豊」という地名を聞くと、全国市町村都市ランキングでもワーストに入るほど高い失業率と生活保護受給者数など、ネガティヴなイメージを持つ方も少なくないことでしょう。僕にしても土門拳撮影による写真集「筑豊のこどもたち」(昭和35年)や映画「青春の門」シリーズで伝えられてきた「荒廃した炭坑の町」というイメージをつい最近まで引きずっていたものでした。 そうした印象が一転したのは2年前、「炭坑節」でも歌われている霊山、香春岳の麓に広がる田川郡香春町の盆踊りを取材させていただいて以降のこと。そこで触れたのは、新盆のお宅を回る香春独特の盆踊り文化であり、古代より朝鮮半島や中国と密接な繋がりがあったという歴史の厚みであり(『宇佐八幡と古代神鏡の謎』という研究書では田村圓澄さんが<「香春/カワラ」という地名は、新羅から渡来した神を祭る山の名「カハラ」からきているのではないか>と書

    「炭坑と失業者の町」を音楽と祭りの力で変える試み――福岡県田川郡香春町香春「オザシキオンガクフェスティバル」 | B.O.N
  • 修験道の故事にちなむ、ユニークで型破りな伝統行事――奈良県吉野町・金峯山寺「蓮華会・蛙飛び行事」 | B.O.N

    今週は奈良県吉野町の金峯山寺で行われる伝統行事「蓮華会・蛙飛び行事」へ取材に行ってきました。 「蛙飛び行事」とは修験道の教えに基づく故事をモチーフとしたもの。いわく――むかしむかし、とある男が山伏を侮辱してしまいます。男は鷲によって断崖絶壁へとさらわれるも、後悔する姿を見た高僧が男を蛙へと変え、おかげで山から降りることができたといいます。だが、男は蛙のまま。僧侶の読経の功徳によって男はようやく人間へ戻ることができたのでした――そんな故事をそのまま再現したのがこの「蛙飛び行事」です。 「蛙飛び行事」は大青蛙を乗せた太鼓台を金峯山寺周辺で担ぐところから始まります。太鼓台の上の蛙はなぜか上機嫌。沿道の人々に手を振ったりと愛想を振りまいています。その後、金峯山寺の境内へと担ぎ込まれた蛙は、僧侶の読経によって人間の姿へと戻ることとなります。 この「蛙飛び行事」、一種の奇祭としても広く知られていますが

  • 7月上旬、新刊『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』が刊行! | B.O.N

    約1年ぶりの新刊、出ます! 2010年以降の僕とケイコ・K・オオイシの盆踊り・祭りフィールドワークの成果(の一部)をまとめた新刊『ニッポンのマツリズム〜盆踊り・祭りと出会う旅』がアルテス・パブリッシングから7月初旬に刊行。書影や詳細が出版のウェブサイトにアップされたので、まずは告知第一弾を。 都市文化研究という側面もあった前作『ニッポン大音頭時代〜「東京音頭」から始まる流行音楽のかたち』(河出書房新社)と比べると、今回は盆踊りや祭りを通して「日のもうひとつの姿」に触れた際の興奮や感動もそのまま書いたため、一種のノンフィクションとしても読めるのではないかと思います。祝祭感溢れるケイコ・K・オオイシの写真もたっぷり掲載。ここ数年の僕らのライフワークの一部をようやく一冊にまとめることができて、当に感無量です。自分でも言うのもナンですが、大自信作です! なお、この後各地で祭り映像上映会なども予

    7月上旬、新刊『ニッポンのマツリズム~盆踊り・祭りと出会う旅』が刊行! | B.O.N
  • 七体の巨大な蛇体が練り歩く栃木県小山市の伝統行事「間々田のジャガマイタ」 | B.O.N

    昨日は栃木県小山市の伝統行事「間々田のジャガマイタ」(通称「蛇(じゃ)まつり」)に行ってきました。 この伝統行事は釈迦誕生の際、八大龍王が甘露を降らせて祝福したという故事に基づき、五穀豊穣と疫病退散を祈念して七体の蛇を作り、それぞれの集落から間々田八幡宮まで「ジャーガマイタ、ジャガマイタ」という印象的な掛け声と共に練り歩くというもの。「ジャガマイタ」という不思議な名前は、「蛇(じゃ)が参った」「蛇が巻いた」などの言葉をからきているとか。 このジャガマイタ最大の見せ場は、間々田八幡宮の境内の池で行われる「水呑みの儀」。全長15メートの蛇体ごと池に飛び込むのですが、その姿はまるで当に蛇が水を飲んでいるかのよう。この後蛇体は集落内を練り歩き、悪霊退散を祈念することになりますが、池に飛び込むというのはおそらく水垢離(水を浴びて身を清め、穢れをとり除くためのもの)の意味合いもあるのでしょう。 また

    七体の巨大な蛇体が練り歩く栃木県小山市の伝統行事「間々田のジャガマイタ」 | B.O.N
  • 新潟県の豪雪地帯を見つめたドキュメンタリー映画「風の波紋」 | B.O.N

    先日、ドキュメンタリー映画「風の波紋」の試写会にお邪魔いたしました。 監督を手がけたのは、佐藤真監督作品「阿賀に生きる」(92年)の撮影を手がけたほか、2009年にはケニアのストリート・チルドレンを描いた「チョコラ!」を監督した小林茂さん。どちらも大好きな作品だけに、今回も期待に胸を膨らませて試写会場に足を運びました。 この作品の舞台は、新潟県の長野県境に近い豪雪地帯「有(つまり)地方」。稲作を主な生業とする小規模な集落が点在するこの地方のうち、小林監督は十日町や松之山、津南、上越に住む人々に目を向けます。 この作品がユニークなのは、集落に代々住む人々だけでなく、都会からのIターン移住者にも目を向けているということ。登場人物のひとりである小暮茂夫さんは2002年に東京から中立山集落に移り住んだ方で、住居は茅葺き屋根の古民家。荒れ果てた棚田にみずから手を入れ、古来からの村落生活にどっぷりと

    新潟県の豪雪地帯を見つめたドキュメンタリー映画「風の波紋」 | B.O.N
  • 町中に「カッカッカー」という威勢のいい声が響き渡る、かみのやま温泉の奇習「カセ鳥」(山形県上山市) | B.O.N

    昨日は山形県上山市で毎年行われている奇習「カセ鳥」を取材してきました、 「カセ鳥」とは「ケンダイ」とよばれる藁蓑で全身を覆った人々(今年は全部で34人)が町中を練り歩き、民宿の前などで「カッカッカーのカッカッカ」という歌と共に奇妙な舞を披露するという風変わりな行事。沿道の人たちはケンダイを被った人々に対して容赦なく冷水をぶっかけまくるのですが(!)、この奇習、実は寛永年間(1624〜1645年)から行われてるとされる歴史ある火伏せ行事。五穀豊穣を願うものでもありますね。 地元の図書館で郷土資料を片っ端からひっくり返してみたところ、明治以前は近隣で似たような行事が数多く行われていたことを知ってビックリ。カセ鳥も明治に入って一時伝統が途絶え、戦後になってから再開されたのですが、かつては「奇習」でもなんでもなく、そこいら中で行われていた行事だったわけですね。その背景や他の芸能・民俗信仰との共通性

  • 「現代の里国隆」、盛島貴男さんを訪ねて奄美大島へ | B.O.N

    昨夜まで4日ほど奄美大島に行ってきました。奄美に行くのはショチョガマ〜平瀬マンカイ〜佐仁の八月踊りを取材するために訪れた昨年9月以来なので、約1年ぶりです。 僕がもともと奄美大島の芸能や唄、祭祀に関心を持つようになったのは、阿波おどりのルーツを辿るなかで熊の「牛深ハイヤ節」と出会い、その取材で牛深を訪れて以降のことでした。 港町である牛深には奄美や沖縄との交流の痕跡が唄や文化の形で残っていて、島外でもっとも知られているだろう奄美の騒ぎ唄「六調」の歌詞にしても南九州から伝わってきた大和言葉が跡を残しているし、「牛深ハイヤ節」にしたってその「六調」の発展型。古代から続く南西諸島~南九州~アジア各国の交流の残り香みたいなものを牛深で感じ、「こりゃ奄美に行かなきゃ!」と慌ててヴァニラのフライトに飛び乗ったのが昨年のことでした。 今回は先頃東京公演を大成功させた奄美竪琴奏者、盛島貴男さんの工房(ご

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  • 異形の来訪神が暴れまくる沖縄・宮古島の奇祭「パーントゥ」 | B.O.N

    昨夜まで沖縄・宮古島に行っておりました。 メインの目的は「宮古版なまはげ」とも言える奇祭パーントゥの取材。来訪神をモチーフとする祭祀は世界各地にあり、僕らも取材に行った鹿児島のヨッカブイなどもその一種。そうした日の来訪神信仰の祭祀のなかでもパーントゥは異形さではトップクラスと言えるのではないでしょうか。 ンマリガーと呼ばれる集落の聖地(「ガー」は井戸の意味)の泥を全身に塗り付け、その泥を人々や住居に付けることで悪霊を祓うというのがパーントゥの趣旨。ただし、ここ数年、泥をつけられた観光客からクレームが出たり、ある年は怒った観光客からパーントゥが暴行を受けるなんていうありえない事件もあって、開催日時は発表されないことになっています。僕らは縁合って2日に渡ってパーントゥにお邪魔し、2日目には御嶽のもとの宴会にも参加。泡盛を回し飲む宮古名物オトーリも初体験しました。僕以外はみんな60代以上の先輩

    異形の来訪神が暴れまくる沖縄・宮古島の奇祭「パーントゥ」 | B.O.N
  • 日本顔負けの熱気に溢れる「マレーシア・クアラルンプールの盆踊り」 | B.O.N

    昨夜までマレーシアのクアラルンプールに行ってきました。 現在関わっている某プロジェクトの視察と打ち合わせも兼ねたものだったのですが、祭りジャーナリストとしてのメインは、シャー・アラム駅近くの巨大スタジアムを舞台に行われる巨大盆踊り。クアラルンプール日人会が主催となって70年代半ばから続けられているこの盆踊り、1日で実に3万人ものを人々が訪れるというビッグ・フェス。しかも参加者のほとんどがマレーシア人! マレーシアでは他のアジア諸国同様、80年代より日のアニメやマンガ、ドラマが受け入れられ、現在まで高い人気を誇っています。加えてマハティール(元)大統領が進めた東方政策により、日との間で盛んな経済交流・文化交流が行われてきました。そのようにかねてから友好関係を結んできた両国だけに日人会主催の盆踊りぐらい行われていても不思議ではないし、その手の国際交流イベントは日でもよくあるものですが

  • まるでブラジルのカーニバル?鹿児島県日置市吹上町の「伊作太鼓踊り」 | B.O.N

    先週木曜日からは約4日ぶりに鹿児島へ。今回は日置市吹上町で伝えられている伊作太鼓踊りを取材してきました。薩摩半島ではとてもユニークな太鼓踊りが各地で継承されているのですが、装束の奇抜さではこの伊作太鼓踊りがダントツ。そのため以前から一度ナマで体験せねばと考えていたのですが、このたびようやく初体験することができました。 Photo by KEIKO K. OISHI 8月28日(金)の朝イチで奉納が行われるのは、集落の奥まった地に鎮座する南方神社の境内。蒼と茂った木々に囲まれながら奉納される太鼓踊りは想像以上の大迫力です。相撲の行事が持つ軍配を模した矢旗がひときわ目を引きますが、背中には薩摩鶏の羽で作ったホロが飾り付けられていて、その姿はまるでグラムロッカーのよう。その中心で鉦を叩くのは、花籠を被った中打ちたち。女性に扮した少年~青年たちのそのステップは確かに念仏踊り的で、祖霊供養を目的と

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  • B.O.N | 旅と祭りの編集プロダクション

    B.O.Nは旅と祭りをこよなく愛するライター/編集者とデザイナー/カメラマンの編集プロダクションです。 日国内のお祭りや民俗芸能から中南米のカーニヴァルやアジア~ヨーロッパのフェスまで、ICレコーダーとカメラを持ってどこまでも。圧倒的な祝祭空間や1000年前の世界にタイムスリップしてしまうような伝統儀礼~芸能、そしてそれらの上に成り立っている未来のカルチャー。それらを求めてB.O.Nは世界中を飛び回っています。 これまで訪れた国はトータルで30か国近く。韓国アメリカ、インド、タイ、マレーシア、フィンランド、ハンガリー、ギリシャ、イタリア、チュニジア、モロッコ、スペイン、ポルトガル、フランス、スイス、チリ、ペルー、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジル、ボリビア、コロンビア、メキシコ、キューバ、ジャマイカ、バルバドス、トリニダード・トバゴ、ミャンマー、台湾。 グローバルとローカルな視線を忘れ

  • 「墨田祭りセッション」盛況御礼! | B.O.N

    7月12日に開催された 月刊「ラティーナ」&大石始プレゼンツ「墨田祭りセッション」 〜東京天水連 vs mocidade samba system vsタブラクワイエサ。 当日の様子をレポートします。 前半は大石始による祭り映像のワークショップ。 司会は山口屋左七(錦糸町河内音頭大盆踊り司会:写真左)。花田勝暁(「ラティーナ」編集長:写真右)も登場。 こちらは奄美の祭り「ショチョガマ」の映像ですが、クライマックスの瞬間に客席から思わず「おおーーー!!」と歓声があがりました! ついつい見入ってしまう祭り映像の上映。 ブラジルのバテリア(打楽器)ユニット、 mocidade samba system。カッコいい! 日初のエジプト太鼓のアンサンブルバンド、タブラクワイエサが何やら妖しいムードで登場! 会場は大盛り上がり♪ そして東京天水連(東京高円寺阿波おどり連協会所属)! 各楽器の解説もあり

  • ショチョガマ~平瀬マンカイ~八月踊りの取材で奄美大島へ | B.O.N

    9月1日から3日までの3日間、奄美大島へ行ってきました。 目的は奄美大島の秋名という集落で行われるショチョガマ/平瀬マンカイという2つの儀式と、その日の夜に奄美大島最北端、笠利で行われる八月踊り。古来からヤマト(薩摩)と琉球の文化からの影響を受けながらも、独自の文化を発展させ、現在もその痕跡を残す島、奄美。そのディープさにノックアウトされた取材旅行となりました。 ショチョガマは秋名の山中に作られた小屋の上に男衆が乗り、日の出と共にその小屋を揺さぶって倒すという農耕儀礼。僕らも深夜からスタンバイし、早朝の日の出の瞬間に立ち会うことができたのですが、小屋を倒した後、一斉に八月踊りへとなだれ込むシーンには鳥肌が立ちました。あの爆発するような祝祭感はしばらく忘れることができなさそうです。 午後は同じ秋名の浜辺で行われる平瀬マンカイへ。こちらは浜辺に立つ2つの岩の上にノロたちが乗り、歌と祈りを捧げる

    ショチョガマ~平瀬マンカイ~八月踊りの取材で奄美大島へ | B.O.N
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