70年代初期の日本のジャズは特殊な、〈魔法の粉がふりかけられた状態〉 ――Days of Delightは、どのように生まれたのでしょうか? 「レーベルの基本的なスピリットは、〈70年代の日本〉にあるんです。僕は、例えば日本のジャズ・シーンに関しても、70年前後に革命が起きたと思っているんですね。もちろん、それまでも日本にジャズはありましたが、目指していたのは〈ウィントン・ケリーやソニー・ロリンズのように演奏すること〉であり、同じように演奏できる技術、すなわちコピーの精度を競っていた。言い換えれば、みんな〈誰かになりたかった〉時代だったのだと思うんです。 ところが70年以降に、いま振り返ってもあの時代の日本でしか生み出し得なかったと思える、特別なテイストを持ったサウンド――つまりは高度なオリジナリティーを備えた〈日本のジャズ〉が次々と生み出されたんです」 ――その頃は、ジャズ・シーンが活発