タグ

ブックマーク / www.astroarts.co.jp (77)

  • ダークマターの塊が天の川銀河を貫通した痕が見つかった

    天の川銀河できわめて高速の分子雲が見つかった。この分子雲には巨大なシェル構造や空洞などが付随していて、銀河円盤をダークマターの塊が通過した痕跡とみられる。 【2024年6月10日 国立天文台 野辺山宇宙電波観測所】 私たちが属している天の川銀河は、直径約10万光年の円盤部と中心のバルジ、それらを取り囲む直径約30万光年のハローで構成されている。円盤部分には主に星と星間ガスがあり、水素分子を主成分とする濃い星間ガス雲は分子雲と呼ばれている。一方、ハローにはダークマター(暗黒物質)が広がっていて、その中を球状星団や矮小銀河、希薄な水素原子雲などのハロー天体が飛び交っている。 天の川銀河のイラストと主な構造。中心部には老齢の星が多く集まったバルジ(Bulge)と呼ばれる膨らんだ構造がある。銀河を取り巻く巨大な球状の構造はハロー(Halo)と呼ばれ、希薄な星間物質や球状星団(Globular cl

    ダークマターの塊が天の川銀河を貫通した痕が見つかった
  • 宇宙から降り注ぐ宇宙線「空気シャワー」の可視化に成功

    すばる望遠鏡が撮影した画像の解析で、宇宙から降り注ぐ高エネルギー粒子の「空気シャワー」を高空間分解能で可視化できることが示された。ダークマター探査などにつながる手法になると期待される。 【2023年10月19日 すばる望遠鏡】 宇宙空間には高エネルギーの放射線である宇宙線が存在し、地球に絶えず降り注いでいる。なかでも非常に高いエネルギーを持った宇宙線は、地球大気に入射すると大量の電子や陽電子、ミューオンなどからなる高エネルギー粒子群「空気シャワー」となって地表に到来する。 米・ハワイのすばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ「Hyper Suprime-Cam(HSC;ハイパー・シュプリーム・カム)」で撮影された画像には、宇宙線がCCDを貫通することで生じる飛跡が1回の撮影につき約2万個映り込む。この飛跡は星や銀河を観測する天体観測においてはノイズとなるため、通常はデータ処理の過程で除

    宇宙から降り注ぐ宇宙線「空気シャワー」の可視化に成功
  • 成長をやめた銀河、銀河団内に偏って分布

    70億年前から現在までの銀河団を調べた結果、星形成が止まった銀河は特定方向にわずかながら多く分布していて、その方向は銀河団の中心銀河の向きとそろっていることが明らかになった。 【2023年1月5日 すばる望遠鏡】 星の大集団である銀河には、今でも星を作って成長しているものもあれば、そうした星形成活動が止まってしまったものもある。興味深いことに、単独で存在する銀河の多くは星形成を続けているが、銀河団に属する銀河では止まっていることが多い。 銀河団は銀河が数百から数千個集まった集団で、銀河と銀河の間は銀河団ガスと呼ばれる数千万度から数億度の高温ガスで満たされている。そのため、近くの銀河の重力や銀河団ガスの風圧が、星の材料となるガスを銀河からはぎ取り、星形成が止まるのだと考えられる。従来の研究では、こうした作用は銀河団のどの方向でも同じように働くとされていた。銀河団の中心から見れば、あらゆる方向

    成長をやめた銀河、銀河団内に偏って分布
  • ビザンツ帝国の日食記録から地球の自転速度変化をたどる

  • 太陽磁場の反転現象「スイッチバック」の謎を解明

    探査機「ソーラーオービター」が太陽に最接近した際の観測から、50年近く前から知られている太陽磁場の反転現象「スイッチバック」の発生メカニズムが明らかになった。 【2022年9月20日 ヨーロッパ宇宙機関】 1970年代半ばに米独の探査機「ヘリオス」が太陽に接近した際、太陽の磁場が突然反転する様子が記録された。この現象は突然始まり、数秒から数時間で磁場の方向は元に戻るというもので、1990年代後半には米欧の探査機「ユリシーズ」も同じ現象を確認している。 さらに2018年、NASAの探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」による観測で、その磁場反転が太陽に近いほど多いことが明確に示され、原因が磁場のS字型のねじれにあることが示唆された。この現象は「スイッチバック」と呼ばれるようになり、形成のメカニズムについてはこれまでに多くのアイディアが出されている。 スイッチバックのイメージ動画(提供:NAS

    太陽磁場の反転現象「スイッチバック」の謎を解明
  • なぜ海王星は天王星より青いのか

    海王星の青みが天王星より強く見えるのは、惑星の外見をより白く見せる「もや」の層が天王星で厚いためだということが、両惑星の大気の研究から判明した。 【2022年6月7日 ジェミニ天文台】 海王星と天王星は、質量や大きさ、大気の組成はよく似ているが、外見は明らかに異なる。可視光線で見ると海王星は濃い青で、天王星は淡い青緑色だ。 探査機「ボイジャー2号」が1980年代に撮影した天王星(左)と海王星(右)(提供:NASA/JPL-Caltech/B. Jónsson) 英・オックスフォード大学のPatrick Irwinさんたちの研究チームが明らかにしたところによれば、その差は両惑星に存在する「もや」の層に由来するらしい。Irwinさんたちは天王星と海王星の大気を構成するエアロゾル(煙や霧のように大気中に微粒子が分散している状態)のモデルを考察する過程で、色の違いを説明できることに気づいた。「この

    なぜ海王星は天王星より青いのか
  • ハワイ上空で発生した「流星クラスター」現象

    ハワイ島マウナケア山のすばる望遠鏡ドームに設置されている「星空ライブカメラ」が、約10秒間に同じ方向から10数個の流星が飛ぶ「流星クラスター」という珍しい現象をとらえた。 【2021年8月11日 すばる望遠鏡】 国立天文台ハワイ観測所と朝日新聞は2021年4月に共同で米・ハワイ島マウナケア山のすばる望遠鏡ドームに「星空ライブカメラ」を設置し、マウナケア上空に広がる星空を高感度でとらえて毎日配信している。 この星空ライブカメラが、7月14日未明(ハワイ時間)、わずか10秒ほどの間に10数個もの流星が同じ方向から一度に流れる「流星クラスター」という珍しい現象をとらえた。クラスター現象に最初に気づいたのは「星空ライブカメラ」を見続けている熱心な視聴者たちで、配信映像のチャットが盛り上がったことから、カメラ管理者でもあるハワイ観測所の田中壱さんが国立天文台副台長の渡部潤一さんに連絡した。 星空ライ

    ハワイ上空で発生した「流星クラスター」現象
  • 黒点を40年間記録した故・小山ひさ子さん 太陽観測史上の貴重な貢献

    40年間にわたり太陽黒点のスケッチを続けた故・小山ひさ子さんの観測は、アマチュアにはよく知られたものであったが、太陽の活動周期や長期変動に関する研究にも大きな貢献を果たしていることで再評価されている。 【2017年10月10日 AGU】 小山ひさ子さんは1916年東京生まれ。1930年代、当時の日女性としては珍しく、東京の高等女学校を卒業した。若いころから天文学に熱心で、20代で天体観測を始めた。 1944年の春に父親から屈折望遠鏡を贈られた小山さんが、黒点をスケッチして東亜天文学会の研究者に送ったところ、同会の山一清さんから励ましの返事が届いた。以降、山さんの指導のもとで黒点観測を定期的に行うようになった小山さんは、旧・東京科学博物館(現・国立科学博物館)で太陽観測を開始し、太陽の重要な特徴や観測条件などを書き記していった。小山さんは1946年の後半に博物館の観測職員となり、194

    黒点を40年間記録した故・小山ひさ子さん 太陽観測史上の貴重な貢献
  • 17世紀初頭、太陽活動の周期は16年まで延びていた

    樹木年輪に含まれる炭素14の濃度データから昔の太陽活動を復元した結果、通常11年の基周期が、17世紀初頭に16年まで延びたことがあったと判明した。 【2021年3月17日 武蔵野美術大学/山形大学/千葉大学】 太陽の活動は基的に約11年周期で変動していて、黒点数の増減やフレアの頻度、太陽風の強さなどに表れる。さらに太陽活動は数百年から数千年のスケールでも変動していることがわかっていて、活動の低下が長期にわたって続くと気温低下などの影響も生じる。活動のメカニズムを理解して今後の変化を予測するために、過去の太陽活動を詳細に知ることが重要となる。 2021年2月28日に撮影された太陽黒点(撮影:BombyxMoriさん)。画像クリックで天体写真ギャラリーのページへ 黒点の数を遡って集計できるのはガリレオ・ガリレイらが観測した1609年ごろまでだが、太陽活動の変化は樹木の年輪中の炭素14(14

    17世紀初頭、太陽活動の周期は16年まで延びていた
  • ベテルギウスの爆発は10万年以上先になりそう

    ベテルギウスの明るさの変化を理論分析した結果、超新星爆発を起こすまでまだ10万年程度の時間が残されていることがわかった。 【2021年2月12日 カブリIPMU】 オリオン座の肩の位置に輝く1等星ベテルギウスは、恒星進化の最終段階にある赤色超巨星で、「いつ超新星爆発を起こしてもおかしくない」と言われることが多い。2020年初めに前例のないほど大幅に減光し一時的に2等星になった際には、爆発のときが迫っているのではないかとの憶測もあった。だが最新の研究によれば、どうやら私たちが超新星を目撃できる可能性は低そうだ。 (上段)ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTで撮像された2019年1月(左)と2019年12月(右)のベテルギウス。(下段)最近のベテルギウスの光度変化(提供:(上段)ESO/M. Montargs et al.、(下段)L. Molnar, AAVSO, UCSD/SMEI,

    ベテルギウスの爆発は10万年以上先になりそう
  • UAEの探査機HOPE、火星に無事到達

    昨年7月に日のH-IIAロケットで打ち上げられたアラブ首長国連邦初の火星探査機「HOPE」が、日時間10日未明に火星周回軌道に投入された。 【2021年2月10日 UAE Space Agency】 アラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「HOPE(ホープ)」は昨年7月20日に日のH-IIロケットによって鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、約半年間かけて火星に向かっていた(参照:「H-IIAロケット打ち上げ成功、火星探査機HOPE搭載」)。到着予定だった9日から10日にかけては管制を行うUAEのムハンマド・ビン・ラシード宇宙センターの様子がYouTubeなどで中継され、UAEのみならずアラビア語圏を中心に盛り上がりを見せる中、日時間の10日午前1時過ぎ、無事に周回軌道に投入されたことが確認された。 これまでに火星探査機を周回軌道に投入したり着陸させたりしたのは、米国、旧ソ

    UAEの探査機HOPE、火星に無事到達
  • 土星にタイタンしか巨大衛星が存在しない理由

    土星とタイタンのように、惑星の周りに大型衛星が1つしか存在しない衛星系を形成するメカニズムは従来不明とされていたが、シミュレーションによってこれを初めて再現した研究成果が発表された。 【2020年3月11日 国立天文台天文シミュレーションプロジェクト】 土星には現在82個の衛星が見つかっているが、その中でタイタンだけが群を抜いて大きく、その質量は2番目に大きい衛星レアの約50倍もある。これは同程度に巨大なガリレオ衛星が4つ存在する木星と対照的だ。こうした巨大衛星が誕生するメカニズムを解明しようとするこれまでの研究では、木星のように複数の巨大衛星が存在する系は再現可能だが、土星のタイタンのような単独の巨大衛星は説明が困難とされていた。 生まれたばかりの惑星の周囲には、ガスや塵などからなる円盤が形成され、その中で衛星が成長すると考えられる。ただし、衛星が大きくなると、周囲に円盤のガスが残ってい

    土星にタイタンしか巨大衛星が存在しない理由
  • 江戸時代の古典籍に記録が残る史上最大の磁気嵐

    江戸時代の日記や文献に残された記述から、1770年に京都で観測された巨大なオーロラを発生させた磁気嵐が史上最大規模であったことが推定された。 【2017年9月22日 国立極地研究所】 太陽で爆発が起こると、太陽磁場と共に大量のプラズマが放出され、それが地球に到達すると、地球の磁場が一時的に減少して「磁気嵐」が起こる。大きな磁気嵐の場合、極域だけでなく低緯度でもオーロラが見られるようになり、1859年9月に発生した観測史上最大の磁気嵐「キャリントン・イベント」の際には、青森県や和歌山県でもオーロラが見られたという記録が残っている。 キャリントン・イベント以前にも、日国内におけるオーロラ観測の記録がある。古くは藤原定家の日記『明月記』に記されたもので、1204年の京都で1週間のうちに何度もオーロラが見られたと記述されている。また、古典籍『星解』には山から放射状に吹き出すような形のオーロラが描

    江戸時代の古典籍に記録が残る史上最大の磁気嵐
  • 冥王星の地形に初の公式名称、「ハヤブサ大陸」など

    国際天文学連合が冥王星表面の14の地形について公式名称を承認し、小惑星探査機「はやぶさ」に因んだ「ハヤブサ大陸」などが採用された。 【2017年9月13日 IAU/JAXAはやぶさ2プロジェクト】 探査機「ニューホライズンズ」が2015年に冥王星をフライバイ(接近通過)した際に発見した地形のうち14個について、国際天文学連合(IAU)の惑星系命名ワーキンググループが公式の名称を承認した。これまでにも非公式な名称は使われてきていたが、公式な承認は今回が初めてのこととなる。 名称はニューホライズンズのチームと公募キャンペーン「Our Pluto」に参加した一般市民によって提案されたもので、宇宙探査ミッション、歴史的探検家、冥王星やカイパーベルトに関わる科学者や技術者、神話に因むものとなっている(参照:「冥王星と衛星の地名のテーマが公式決定」)。 「冥王星や宇宙探査、冥界などに深い意味や重要性を

    冥王星の地形に初の公式名称、「ハヤブサ大陸」など
  • 観測史上初の恒星間天体か、小天体A/2017 U1

    最近発見された小天体「A/2017 U1」は、その軌道や運動から太陽系外に起源を持つと考えられており、観測史上初の恒星間天体かもしれないという。 【2017年10月30日 NASA JPL/University of Hawaii-IfA】 10月19日、ハワイ大学のRob Werykさんがハワイに設置されているパンスターズ1望遠鏡を使った観測で、高速で移動する直径400m未満の小天体を発見した。小惑星センターに報告された当初は彗星と思われたことから「C/2017 U1」との仮符号が付けられたが、その後の観測では彗星活動が見られないことから、現時点では「A/2017 U1」と呼ばれている。 その後、別の日の観測や別の望遠鏡による観測のデータを集めてこの天体の軌道を調べてみたところ、A/2017 U1がどうやら太陽系の外からやってきたらしいことが明らかになった。もしこれが当なら、観測史上初

    観測史上初の恒星間天体か、小天体A/2017 U1
  • 黒点を40年間記録した故・小山ひさ子さん 太陽観測史上の貴重な貢献

    40年間にわたり太陽黒点のスケッチを続けた故・小山ひさ子さんの観測は、アマチュアにはよく知られたものであったが、太陽の活動周期や長期変動に関する研究にも大きな貢献を果たしていることで再評価されている。 【2017年10月10日 AGU】 小山ひさ子さんは1916年東京生まれ。1930年代、当時の日女性としては珍しく、東京の高等女学校を卒業した。若いころから天文学に熱心で、20代で天体観測を始めた。 1944年の春に父親から屈折望遠鏡を贈られた小山さんが、黒点をスケッチして東亜天文学会の研究者に送ったところ、同会の山一清さんから励ましの返事が届いた。以降、山さんの指導のもとで黒点観測を定期的に行うようになった小山さんは、旧・東京科学博物館(現・国立科学博物館)で太陽観測を開始し、太陽の重要な特徴や観測条件などを書き記していった。小山さんは1946年の後半に博物館の観測職員となり、194

    黒点を40年間記録した故・小山ひさ子さん 太陽観測史上の貴重な貢献
  • 宇宙から解明された地球の岩石圏の磁場

    人工衛星「Swarm」が地球の岩石圏の磁場を詳細に観測し、地球の殻に残された磁場の歴史の一部を紐解いた。5億4000万年以上前に起こった隕石衝突の結果と思われる異常も見られる。 【2017年3月24日 ヨーロッパ宇宙機関】 地球を取り巻く磁場は宇宙線や高エネルギー粒子から私たちを守ってくれている、繭のような存在だ。その磁場のほとんどは、地下3000km以上の深さのところで溶けた鉄が動くことによって発生している。残りの6%のうち一部は、地球周囲の宇宙空間における電流によるもので、さらに加えて、地殻と上層マントルからなる岩石圏(リソスフェア)の上層に存在する磁化した岩石によるものが含まれる。 岩石圏の磁場は非常に弱く、宇宙からの検出は難しいものだが、ヨーロッパ宇宙機関の3機編成の地磁気観測衛星「Swarm」がその磁場のシグナルの分布図を描き出した。3年にわたるデータ収集により、宇宙から観測され

    宇宙から解明された地球の岩石圏の磁場
  • 新星爆発で大量に発生していた「すす」

    古典新星の観測から、新星爆発で飛び散ったガス中に大量の「すす」が発生していたことが明らかになった。爆発前の白色矮星に炭素が豊富に含まれていたとみられ、C2分子からすすへと大きくなっていく痕跡も世界で初めてとらえられた。 【2017年1月17日 京都産業大学/すばる望遠鏡】 古典新星とは白色矮星と太陽のような普通の恒星との連星系において、普通の恒星から白色矮星にガスが降り積もり、臨界点を超えた段階で白色矮星の表面で生じる爆発現象だ。この爆発によって飛び散ったガスから微小な粒子(ダスト)が大量に作られることがあるため、太陽系や他の星・惑星系の材料の供給源として重要な天体である。 新星爆発で高温のガスから分子が形成され、さらに複雑な分子へと化学反応が進み、最終的に塵(ダスト)が形成される。ダストは、太陽系のような星・惑星系の材料となる(提供:京都産業大学、以下同) 京都産業大学神山天文台の研究チ

    新星爆発で大量に発生していた「すす」
  • 「カッシーニ」、土星の環をかすめるコースの飛行を開始

    土星探査機「カッシーニ」のミッションも残すところ1年弱となった。これから来年4月下旬まで、カッシーニは土星の環をかすめるようなコースを20回飛行する予定で、その1回目が12月4日に実施された。 【2016年12月8日 (1)/(2)】 NASAの土星探査機「カッシーニ」は11月末から、土星の環をかすめるようなコースの飛行を始めた。全部で20回に及ぶ接近飛行の1回目が今月4日に行われ、カッシーニは土星の雲頂から約9万1000km上空を通過した。この位置は土星のF環(よく目立つA環のすぐ外側にある細い環)の中心から1万1000km外側の、衛星ヤヌスとエピメテウスによって作られた微かで塵っぽい環がある付近にあたる。 「計画に数年を要しましたが、やっとここまで来ました。チーム一同、データの分析をとても楽しみにしています」(カッシーニ・プロジェクト・サイエンティスト Linda Spilkerさん)

    「カッシーニ」、土星の環をかすめるコースの飛行を開始
  • 「TGO」が鮮明にとらえたフォボス

    10月19日に火星周回軌道へ入った探査機「TGO」が、搭載機器の試験の一環として、火星の衛星「フォボス」を鮮明に撮影した。 【2016年12月9日 ヨーロッパ宇宙機関】 欧・露のミッション「エクソマーズ」の周回探査機「TGO」は、11月20日から28日にかけて火星上空を2周する間に、初の試験観測を実施した。その際に撮影された火星の画像は先週公開されたばかりだ(参照:アストロアーツニュース「火星周回探査機「TGO」、試験撮影好調」)。 軌道周回2周目の11月26日、TGOは火星の衛星「フォボス」の観測と撮影を行った。フォボスは火星から約6000km離れており、現在4.2日周期で長い楕円軌道(230km~9万8000km)を周回中のTGOが火星に最接近したタイミングでの撮影となった。大きさ27×22×18kmのフォボスを7700kmという近距離から撮影した画像は実に鮮明だ。 TGOがとらえたフ

    「TGO」が鮮明にとらえたフォボス