話があちこちに飛びますが、今度は「物質と記憶」第三章の観念連合に関する分析を見てみることにします。前述したように、「現在の知覚にみなどこか似たところのある無数の記憶の中から、いかにして選択がなされるかということ、またなぜその中の唯一つだけが、――ほかの記憶よりとくにこの記憶が――、意識の光をあびて浮き上がってくるかということ」を、類似や近接によって説明することはできません。観念連合を類似や近接によって説明しようとする連想説は単に意識の状態が相互に結び付いた結果だけを見て類似や近接について語っているに過ぎず、それがどんな力に基づいているかを説明し得ないのです。一般に互いに独立したイマージュが無条件に与えられ、それらが何らかの「引力」によって引き寄せ合うのが観念連合だと考えられています。しかしこのように考えていたのでは、何故イマージュ同士が引き寄せ合うのかをいつまでも経っても理解することはでき