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ブックマーク / free-impro.jp (19)

  • 難しいからこそたまらない──近藤圭または『天才思想家bot』が語る、ホルンと現代音楽の面白さ【前編】

    バルブホルン、ナチュラルホルン、狩猟ホルン……さまざまな形のホルンを操り、現代音楽や新作初演、即興、はてはJ-POPまで演奏してしまう、鬼才のホルン奏者・近藤圭(こんどうけい)さん。 あるときはホルン奏者、あるときはSNSアカウント『天才思想家bot』として活躍する近藤さんのルーツは、一体どこからきたのか? そして、近藤さんが取り憑かれてやまない、現代音楽やホルンの魅力とはどんなものなのか? 前後編、たっぷり語っていただきます! 近藤圭(こんどう けい)- ホルン奏者 1989年東京生まれ。現代曲のホルン演奏を中心に活動を展開している。 金沢青児ブリテン・カンティクル全曲演奏会、ゼミソン・ダリル木管五重奏演奏会、愛知県立芸術大学ドクトラルコンサート等、日初演・世界初演の機会に招聘されるホルン奏者として、活動の場を広げている。 Twitter上では「天才思想家bot」のアカウント名で、ナチ

    難しいからこそたまらない──近藤圭または『天才思想家bot』が語る、ホルンと現代音楽の面白さ【前編】
  • 難しいからこそたまらない──近藤圭または『天才思想家bot』が語る、ホルンと現代音楽の面白さ【後編】

    さまざまなホルンを操り、現代音楽や即興演奏、はてはJ-POPまで演奏してしまう、鬼才のホルン奏者・近藤圭(こんどうけい)さんに、現代音楽やホルンの魅力を語っていただくインタビュー。 後編では、SNSアカウント『天才思想家bot』の運営や、「ホルンをやっていて楽しい瞬間」という素朴な疑問、そして、近藤さんの今後の展望を聞いていきます。 前編はこちら 難しいからこそたまらない──近藤圭または『天才思想家bot』が語る、ホルンと現代音楽の面白さ【前編】 Contents 表示 「現代音楽は高額な壺じゃない」SNSでの試み──天才思想家botとしての活動 ここまで練習しても、間違える。ホルンでしか味わえない瞬間 即興で「間違えた」と気づく瞬間 今、近藤さんがやりたいこと──ナチュラルホルンの無伴奏リサイタル 目次へ 「現代音楽は高額な壺じゃない」SNSでの試み──天才思想家botとしての活動 Ph

    難しいからこそたまらない──近藤圭または『天才思想家bot』が語る、ホルンと現代音楽の面白さ【後編】
  • 金子泰子「即興という存在を知ってほしい」──岡山県総社市『インプロビゼイションの会』について【後編】

    岡山県総社市で、7年に渡って開催されている『インプロビゼイションの会』。主催者のトロンボーン奏者・金子泰子さんにお話を伺いました。 後半では、金子さん個人の音楽活動、そして今後の会や即興の展望について聞いていきます。 練習が好きだからトロンボーン奏者になったくらい──金子さん個人の音楽活動 ──金子さん自身のお話を伺いたいのですが、関東から岡山に引っ越されるきっかけは何だったのですか? 金子  私は子供のときからずっと喉が弱くて、ちょうどそれが、2013年頃からひどくなって来たんですね。それで、パートナーの家族が岡山にいるということで、引っ越してきました。 東京だったら6畳のアパートを借りるぐらいの家賃で、こっちは一戸建てを借りられるんです。べ物も圧倒的に安いし、費も浮くし、工夫すれば金銭的にもそんなに負担にならない。それで健康でいられるなら、ここで節約しながら生活した方がいいかなって

    金子泰子「即興という存在を知ってほしい」──岡山県総社市『インプロビゼイションの会』について【後編】
  • 金子泰子「即興という存在を知ってほしい」──岡山県総社市『インプロビゼイションの会』について【前編】

    岡山駅から電車で40分ほど。東総社(ひがしそうじゃ)駅前には、広い空と山々、透明な水が流れる用水路、昔ながらの風景が広がります。駅近くには、市名の由来である神社が佇みます。 そんな総社市の中央公民館・総社分館で、7年にわたり、市民講座として開講されている即興セッション『インプロビゼイションの会』をご存知でしょうか。“即興表現に興味がある人ならだれでも予約なしで参加できる”(引用元: Yasuko Kaneko Trombone 金子泰子HP https://yasukokaneko.jimdofree.com/ )この会は、トロンボーン奏者・金子泰子(かねこやすこ)さんの主催による講座です。 音楽家、ダンサー、朗読、俳優、アーティスト。高齢者から子ども、即興が好きな人から苦手な人まで、さまざまな人がただ、そこにいる。「やりたくなければ、やらなくてもいい。ただそこにいてくれるだけでいいんです

    金子泰子「即興という存在を知ってほしい」──岡山県総社市『インプロビゼイションの会』について【前編】
  • フリー・インプロヴィゼーションに初めて触れる人のためのディスクガイド──デレク・ベイリーから連なる音たち

    フリー・インプロヴィゼーションといえば、必ず名前が挙げられる英国のギタリストです。グループでの録音もありますが、まずは雰囲気を体感するために共演者も曲もないギターソロからはじめてみてはいかがでしょうか。数多い傑作の中で筆者がもっとも好きなアルバムのひとつは『AIDA』です。タイトルは評論家の間章(あいだ あきら|1946-1978)から取られています。 サウンドを聴いてドライに感じるかもしれません。その理由は、ベイリーが調性からの逸脱を指向していたからでしょう。すなわち和音もメロディもその中心を失い、ロマンチックな世界からは離れてしまう。逆に言えば、それは既存の方法論からの自由を意味します。どの音符も権力関係から解き放ち、公平に扱わなければならない。ベイリーはこれを方法論的に実践していました。 音楽の規範を意図的に見直したからといって、ベイリーが自己表現の殻に閉じこもりコミュニケーションを

    フリー・インプロヴィゼーションに初めて触れる人のためのディスクガイド──デレク・ベイリーから連なる音たち
  • 【インタビュー&レビュー】“自由”あるいは“私”の音楽であるために。アンソニー・ロマニウク〈Perpetuum ~無窮動〉

    ベルギー在住の鍵盤楽器奏者アンソニー・ロマニウクは、自身の即興演奏の才能を生かし、幅広い音楽スタイルを常に追求する「ジャンルフリー」の音楽家である。青年期に故郷のオーストラリアでジャズに傾倒し、ニューヨークのマンハッタン音楽院でモダンピアノを学んだ後、オランダのアムステルダム音楽院とハーグ王立音楽院でチェンバロとフォルテピアノを専攻した。 ルネサンスから後期ロマン派、そしてリゲティ、クラム、現代音楽まで幅広いクラシック音楽のレパートリーを持つ一方で、即興、インディ・ロック、アンビエント(環境音楽)や電子音楽の領域でも演奏活動を行っている。ヴァイオリニストのパトリシア・コパチンスカヤと定期的に共演しており、CD『Take Two』で担当した、バッハのシャコンヌの即興演奏は、世界中で高い評価を得た。 古楽器アンサンブルのヴォクス・ルミニスのコアメンバーとして活動するほか、チェリストのピーター・

    【インタビュー&レビュー】“自由”あるいは“私”の音楽であるために。アンソニー・ロマニウク〈Perpetuum ~無窮動〉
  • ジャワ舞踊──創作/現代舞踊における即興【前編】

    執筆者: 冨岡三智(@javanesedance) 私は1996年から計2回、通算5年余りインドネシア国立芸術大学スラカルタ校に留学し、ジャワの伝統舞踊を修得してきました。その一方で、ジャワの伝統舞踊のテクニックをベースにした作品もいくつか作っています。 YouTubeチャンネル Tomioka Michi より 留学してから分かったのですが、インドネシアでは伝統舞踊家であると同時に現代舞踊家でもあるという人も少なくありません。 野村誠さんも「ジャワ舞踊家 ベン・スハルトの即興メソッドを巡って」で、ジョグジャカルタのベン・スハルト氏の例を出して、「(ジョグジャカルタという古都の)伝統舞踊家たちは、即興に長けている人が多いのです。」と書かれていましたが、スラカルタもまた、ジョグジャカルタと同様にジャワ王家を擁する王都でありながら、インドネシアの中でもコラボレーションやコンテンポラリ芸術が盛ん

    ジャワ舞踊──創作/現代舞踊における即興【前編】
  • 情景と自由な即興演奏──〈すみだのかたち〉参加レポート

    街と即興演奏。一見、どんなつながりがあるだろう?と思う組み合わせですが、2022年、このふたつを結びつけた興味深い催しが行われました。 〈すみだのかたち〉と名づけられたそのイベントに、筆者もいち参加者として伺いました。今回はそのレポート記事になります。 (写真提供: 奥村直樹、長谷川真里絵) 音楽を体験するって? 〈すみだのかたち〉が見せてくれた試み 音楽系のイベントでは、しばしば「体験性」が問われます。近代から現代まで、音楽を楽しむイベントといえば座って鑑賞する行為が主でした。 しかし、サブスクリプションや配信サービスの発展によって、「ただそこに行って・鑑賞するだけ」の体験は、困難な局に立たされています。 〈すみだのかたち〉は、音楽鑑賞という体験について、とても明るい未来を見せてくれました。 このイベントは、錦糸町から1時間ほどゆっくり徒歩で移動し、最後はカフェでマリンバとスティールパン

    情景と自由な即興演奏──〈すみだのかたち〉参加レポート
  • 【お悩み】一体、何をすればいいの?大人数の集団即興

    5人、10人、15人……フリー・インプロで人が増えると、音も動きも埋もれちゃう! 大編成の集団即興って、一体どうすればいいの? 複数人で行うフリー・インプロヴィゼーション──集団即興*。いろんな人・楽器が楽しめる、自由な即興の醍醐味でもありますが、しばしば、「この大人数の中で、自分は何をすればいいのか?」と悩ましい編成でもあります。 管弦打楽器、踊り、ヴォイス、電子楽器、……多様な人々が入り乱れ、複雑に動く集団即興。一体、どんなことを考えて参加すればよいのでしょうか? *集団即興について明確な定義はありませんが、この記事では仮に5人以上で行う即興とします。 「即興」「即興演奏」などの使い分けについて 当メディアにおける言葉の扱いについては、「完全即興?即興演奏? フリー・インプロヴィゼーション、呼び方あれこれ 」の記事をご覧ください。 Contents 表示 集団即興の難しさってなんだろう

    【お悩み】一体、何をすればいいの?大人数の集団即興
  • 私とフリー・インプロヴィゼーション──即興ワークショップ体験談【後編】

    松岡大輔(まつおか だいすけ)さんによる、フリー・インプロヴィゼーションのワークショップ体験談・後編です。 前編では、さまざまなワークショップごとに得た経験や考え方──「自由」に踊ること、フリー・インプロヴィゼーションが「上達」することなど──について書かれました。 後編では引き続き、音楽家・大友良英氏のワークショップや、音(音楽)と身体の関係、障がいのある方を積極的に受け入れる会について触れていきます。 5. 聴くことから始める──大友良英さんのワークショップ 5.1 planBで耳を澄ます ここまで、フリー・インプロヴィゼーションにおける「表現」について、具体的に書いてきました。しかしそもそも、どう言われても「表現」というのはなんだか苦手だ、という人は当然いるでしょう。なぜ苦手だと思うのでしょうか。 それは「表現」が「自分の内側にあるものを人前でさらけ出すこと」だという考え方から来てい

    私とフリー・インプロヴィゼーション──即興ワークショップ体験談【後編】
  • 私とフリー・インプロヴィゼーション──即興ワークショップ体験談【前編】

    今回は、フリー・インプロヴィゼーション──自由な即興のワークショップに長年通い続け、大事に関わり続けている方の体験談をご寄稿いただきました。 松岡大輔(まつおか だいすけ)さんは、各地のワークショップに参加しながら、フリー・インプロヴィゼーション(主に踊りなどの身体・またはヴォイスによる表現)を続けて来られました。ここ何年かはフリー・インプロの実演から少し離れ、ジャズの勉強をしていらっしゃいます。 そんな松岡さんは、どのようにしてフリー・インプロヴィゼーションに出会い、そのワークショップでどんな経験をされてきたのでしょうか。また、音ではなく、身体表現による即興では、どんなことを心掛けているのでしょうか。ご人の体験談を書いていただきました。 1. はじめに 1.1 ゼロ年代の不安な青年 いまではゼロ年代と呼ばれたりする2000年代、私は東京で暮らすひとりの不安な青年でした。人付き合いやコミ

    私とフリー・インプロヴィゼーション──即興ワークショップ体験談【前編】
  • 即興演奏で現代の「解放区」を作りたい。音楽団体『Team Liaison』とは?

    新進気鋭、即興演奏家のチームが動き出しています! 『Team Liaison(チーム・リエゾン)』は、若手の作曲家・音楽家による音楽団体です。2022年4月に活動を開始し、精力的に演奏会を企画されています。 彼らは、どんなコンセプトで即興演奏と向き合っているのでしょうか。『Team Liaison』代表・徳武史弥(とくたけ ふみや)さんに、8月26日(金)に控えた公演PRと併せ、その思いを綴っていただきました。 音楽団体『Team Liaison』とは? 2022年4月2日の初公演を皮切りに、若手作曲家たちによる新作初演や、即興演奏ライブ、異ジャンル同士のコラボレーション企画など、次々と公演を実施している『Team Liaison』。 西洋のクラシック音楽的な文脈を踏まえつつ、繰り出されるエネルギッシュな演奏が目を見張ります。 「クラシック」や「ジャズ」といった、伝統音楽の目線でも楽しめる

    即興演奏で現代の「解放区」を作りたい。音楽団体『Team Liaison』とは?
  • 即興ピアニスト・照内央晴、50歳を迎えて ~ 「アコースティックなピアノだからこそできることを追求したい」【後編】

    即興ワークショップについて – 赤坂『カーサクラシカ』でYUKARI氏と 赤坂カーサ・クラシカでのWS、YUKARI氏(正面右)と参加者の方々。 ──場所の流れで行くと、ホールやサロン、いわゆる“クラシック”的なところで弾かれることはありますか? 照内: あんまりやったことないんじゃないかな。自分がライブハウスと言われるところでやってきちゃったんで、若干敷居が高いな、と思っちゃうところはある。でも、だからといってやりたくないわけじゃないし、いいところがあればやりたいなあって思う。 ──赤坂『カーサクラシカ』(*ライブハウス。クラシック音楽の公演が多いが、さまざまなジャンルの公演も)も何度かやっていらっしゃいましたよね。 照内: 『カーサクラシカ』は、最初「即興やらせてくれるかなあ、どうかなあ」と思いながら頼んでみたら、引き受けてくれて。初めは踊りの人と(ライブを)やったかな? 「赤坂で即興

    即興ピアニスト・照内央晴、50歳を迎えて ~ 「アコースティックなピアノだからこそできることを追求したい」【後編】
    funaki_naoto
    funaki_naoto 2022/07/12
    試聴室はうたものやバンド編成の方が,コロナ前だったら多かった。
  • 即興ピアニスト・照内央晴、50歳を迎えて ~ 「できないことがあるからこそ、即興をやってこれた」【前編】

    1972年、東京生。即興ピアノ演奏家。これまでに、国内外の多くのインプロバイザーと共演。2017年、パーカッショニスト 松ちはやとの共同名義による初の即興演奏CD『哀しみさえも星となりて』リリース。2018年には、初の海外(欧州)ツアーをおこなった。現在は、豊住芳三郎、喜多直毅、加藤綾子、吉田達也らとのデュオのほか、トリオその他の形態・ユニットでも即興演奏の世界を探究している。また、身体表現など幅広いジャンルとのコラボレーションも多い。2022年、50歳を機に「テルピアノ」名義でも活動してゆく。 即興のきっかけと修行について – ヤマハの訪問教室、そして旧・荻窪グッドマン *インタビュアー注: インタビュー文中で「即興」または「即興演奏」と記したものは、完全即興、フリー・インプロヴィゼーションとも呼ばれる、「自由な」即興、あるいはそれに準ずるものを指します。ここでは照内さんの意志を尊重し

    即興ピアニスト・照内央晴、50歳を迎えて ~ 「できないことがあるからこそ、即興をやってこれた」【前編】
  • 即興の“練習”? 即興のマンネリ化について

    などなど。どんなプレイヤーにもそれぞれ好みや傾向があり、それが個性を形作っています。 とはいえ、いつもいつも同じような展開になってしまうと、ちょっと飽きてしまうかもしれませんね。そんな時、このマンネリ化を解消する手段はいくつかあるので、例を挙げてみましょう。 ①いろんなパフォーマンスを見る/聴く まずおすすめしたいことは、ジャンルを問わず様々な表現分野のパフォーマンスを見に行くことです。 さまざまな国・地域の民族音楽、ライブ、展示会、インスタレーション、ラップ、クラシック、朗読会……それこそなんでもアリです。 日常に潜む何気ない動きや音をキャッチすることも同じ。もしあなたが普段「ドレミファソラシ」の音階に馴染んでいるなら、西洋音楽ではない音楽の公演を見に行ったり、ラップの即興性や発声法を目の当たりにしてみるのはいかがでしょうか。 自分が普段馴染まないパフォーマンスを体験することで、ただ表現

    即興の“練習”? 即興のマンネリ化について
  • ジャワ舞踊家 ベン・スハルトの即興メソッドを巡って 

    執筆: 野村誠(@MakotoNomura4) ぼくは作曲家ですが、即興演奏家でもあります。即興は、ぼくの音楽にとって欠かすことのできない大切な一部です。「インプロ・りぶる」が、即興演奏を「わかりやすく、やさしいことばで発信」するということに大変共感して、今回テキストを書かせていただくことになりました。 書きたい内容が色々あり迷いましたが、即興の核心をつく話をするには、インドネシアの伝説の舞踊家について書くしかないと思い、ベン・スハルトの即興メソッドについて書くことにしました。ジャワ舞踊家の即興の方法を紹介しつつ、ぼくなりに考察してみようと思います。 ベン・スハルト Ben Suharto のパフォーマンス ベン・スハルト(Ben Suharto / 1944 -1997)はジャワの宮廷舞踊家でありながら、即興の達人でもあった人です。若くして惜しまれながら他界した方なので、残念ながらぼくは

    ジャワ舞踊家 ベン・スハルトの即興メソッドを巡って 
    funaki_naoto
    funaki_naoto 2022/05/10
    「世界に向き合う態度」
  • 譜面の外に広がる音の世界──即興音楽の魅力を探るアルバム5選

    即興音楽は新たな響きとの出会いの場を用意する あなたは即興音楽と聞いて何を思い浮かべますか? 口ずさめるようなメロディもなく、心地よいハーモニーもなく、踊り出したくなるようなリズムもない、少し近寄り難い音楽……そうイメージしてしまう人が多いのかもしれません。 しかしそれはあまりにも一面的な見方に過ぎないうえに、メロディもハーモニーもリズムもないからといって「聴きどころがない」とは限りません。ここでは即興が重要な要素となっている音楽を紹介しながら、誤解と無理解に晒されてきた即興音楽の魅力に迫っていきたいと思います。 ふつう、音楽というものは、あらかじめ演奏する内容を決めておき、現場ではその再現がおこなわれています。あらかじめ決められた内容は、大抵の場合、譜面に書き記されていますが、なかには記憶に頼る場合もあるでしょう。 それに対して即興音楽では、あらかじめ決められていない行為がその場で繰り広

    譜面の外に広がる音の世界──即興音楽の魅力を探るアルバム5選
  • フリー・インプロヴィゼーションは本当に『フリー』なのか?

    フリー・インプロヴィゼーションは、当に『フリー』なのだろうか? これは、フリー・インプロヴィゼーションということばが登場し、ある程度年月が経ってきてから、しばしば話題にのぼる問いかけです。 フリー・インプロヴィゼーションの「フリー」は、「自由」と「解放」? フリー・インプロの『フリー』には、個人的な解釈の違いはあるにせよ、ざっくりと2つの側面があると考えています。(辞書的な意味ではなく、『フリー・インプロ』を解釈する上での側面です) この2つは、似ているようで違います。「自由」とは、なにも制限されていない状態を指します。 しかし「解放」とは、自由の前段階です。つまり、なんらかの制限を受けている人が、その制限から自由になる行為や状態のことを指しています。 フリー・インプロヴィゼーションは、おそらくその誕生背景に「解放」があります。ジャズ、クラシック、といったさまざまな言語・文脈から解放され

    フリー・インプロヴィゼーションは本当に『フリー』なのか?
  • 【はじめに】フリー・インプロヴィゼーションとは?

    「そのまんまじゃないか」「そもそも即興演奏って、自由なものでしょ?」と思うかもしれません。でも、当にそうでしょうか? そもそも、インプロヴィゼーションは即興“演奏”とは限らない ここで一旦、フリー・インプロヴィゼーションのことは忘れて、「インプロヴィゼーション」ということばだけを切り抜いてください。あなたはいったい何を想像しますか? などなど……音楽関連でちょっと思いつくだけでも、多岐にわたります。 そして重要なこと。「インプロヴィゼーション Improvisation」ということばの意味は、「即興」です。即興“演奏”ではないのです。 音楽からフリー・インプロヴィゼーションや即興演奏に興味を持った人は失念しがちですが、「インプロヴィゼーション」と言った時、そこには“演奏”だけでなく、踊りや演劇・さまざまな表現分野が含まれているのです。 画像クリックで拡大 “言語”を持つ即興──ジャズ、ク

    【はじめに】フリー・インプロヴィゼーションとは?
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