天台宗総本山の比叡山延暦寺(大津市)の麓の琵琶湖岸に広がる比叡辻遺跡で、13~15世紀の鎌倉時代から室町時代にかけての集落跡が見つかり、市文化財保護課が1日に発表した。礎石の上に柱を立てた屋敷跡や文化水準の高さを示す茶の湯道具などが出土。延暦寺と全国の荘園をつなぐ流通の拠点として繁栄した中世都市が「比叡辻」にあったことは文献で知られていたが、発掘で確認されたのは今回が初めてという。 同課によると、宅地造成に伴い、同遺跡内の約80メートル四方の範囲を調査したところ、礎石立ち建物4棟以上や屋敷の縁側の石敷き遺構、庭園の池とみられる石組み遺構などが出土した。 当時は貴重品だった中国製の青白磁の梅瓶(めいぴん)や天目茶碗(ちゃわん)、貴族層のたしなみであった茶の湯や香合わせの道具類も見つかり、集落には文化水準の高い人たちが住んでいた可能性が大きい。 応永元(1394)年に室町幕府3代将軍の足利義満