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ブックマーク / sumus.exblog.jp (57)

  • 竹久夢二《デザイン》モダンガールの宝箱 | daily-sumus

    石川桂子『竹久夢二《デザイン》モダンガールの宝箱』(講談社、二〇一二年四月五日、デザイン=中川あゆみ)を頂戴した。『大正ロマン手帖 ノスタルジック&モダンの世界』と同じように図版でたたみかけてくる、まさに宝箱。夢二好きの泣き所をしっかりと押さえている。デザイナーとしての夢二をクローズアップした編集がいい。雑誌の仕事(知らない雑誌がいっぱい)、書籍装幀(知らない夢二装幀が何冊も!)、カット・イラスト(丁寧に拾い集められている)、絵葉書(もちろん生田誠さんの助力あり)、楽譜から商業デザインの数々。期待に応えながら期待を裏切る、新しい夢二の側面を見つけられるだろう。好著。 やはり個人的に注目したのは喫茶店資料。千疋屋の機関紙『fruits』のためのデザイン。上は一九二九年一一月号。書の表紙になっているのは『三越』の表紙画(大正十四年)だが、これもフルーツパーラーのようだ。アール・デコの様式を

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  • 近代洋画にみる夢 河野保雄の小宇宙 | daily-sumus

    府中美術館で六月三十日まで開催中(来年は福島県立美術館で開催されるとのこと)の「近代洋画にみる夢 河野保雄コレクションの全貌」展の図録、および同時に刊行された『コレクター・河野保雄の小宇宙』(芸術現代社、二〇一三年六月一日)も届いていた。 展覧会は見られそうもないので、この図録は有り難いことこの上ない。河野氏は、洲之内徹、大川栄二(大川美術館)、窪島誠一郎(信濃デッサン館他)らとほぼ同じ時期に長谷川利行、関根正二、松竣介、村山槐多らを蒐集した傑出したコレクターの一人。このブログではこれまでも何度か紹介してきた。 美しき原風景 http://sumus.exblog.jp/17544194/ 美のおもちゃ箱 part II http://sumus.exblog.jp/13067231/ さようなら百点美術館 http://sumus.exblog.jp/5004387/ 美のおもちゃ箱

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  • 中川六平さん | daily-sumus

    《中川六平さんが昨日亡くなりました。 夜眠ったまま逝ってしまったそうです。》 というメールをある方より頂戴した。何年か前に神保町の「八羽」で田村治芳さんや坪内さんたちと飲んで、六平さんと一緒に中央線で帰ったことがあった(小生は岡崎氏のところに泊めてもらったため方向が同じだった)。六平さんの繊細な気遣いが感じられた小生にとっては大切な時間となった。今もはっきりと、温かい、そして幾分気まずいそのときの電車内の様子が懐かしく思い出される。心よりご冥福をお祈りします。 六平さん、最後の仕事となった内堀弘『古の時間』晶文社が出来上がった。 http://www.shobunsha.co.jp/?p=2904 中川六平さんの笑顔 http://seiko-jiro.net/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=1364&forum=1

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  • 阪大で「オオサカがとんがっていた時代」を見る | daily-sumus

    高速道路の高架下に太田書店。久し振り。梅田のかっぱ横丁にも出店している。文庫までもビニール袋に封入して完璧に状態を保っていることに驚く。堅いが多い大学町の古書店というイメージそのまま。表は210円均一。これは拾える。 「オオサカがとんがっていた時代 戦後大阪の前衛美術 焼け跡から万博前夜まで」は三階企画展フロアにて開催中(入場無料)。 いきなり小石清の『初夏神経』(国書刊行会の復刻版)、『柳屋』の未来派特集号が並んでいてビックリ。前田藤四郎の「時計」や銅板画のプレートを貼付けたなどもある。池田遊子の油彩画や彫刻作品。デモクラート関連で、瑛九のフォトデッサン作品集、早川良雄のポスター、泉茂、三上誠、下村良之助、河野芳夫。 目玉のグタイピナコテカ(大阪中之島に吉原治良が伝来の土蔵を改修して作った展示施設)関連では、白髪一雄、嶋昭三、元永定正、村上三郎、田中敦子、マチウ、サム・フランシス

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  • 近現代のブックデザイン考 I | daily-sumus

    『近現代のブックデザイン考 I 書物にとっての美』(武蔵野美術大学 美術館・図書館、二〇一二年一〇月二二日、デザイン=中野豪雄)をご恵投いただいた。深謝です。目下、武蔵野美術大学美術館展示室2にて十一月十七日まで開催中の同展覧会図録である。 武蔵野美術大学 美術館・図書館 展覧会情報 http://mauml.musabi.ac.jp/museum/archives/1488 泉鏡花から始まって小林秀雄で終わるくらいの時代の代表的な装幀を造・装丁・文という章分けにしたがってたっぷりと展開している。ツルッとしたアート紙ではなく、さっくりとした手触りの文紙を用いているため内容とよくなじんでおり、頁をめくる快感のようなものを味わえるように思う。写真(佐治康生撮影)も臨場感をもつように工夫されている。 テキストは大きな活字で組まれている。 写真もちょっと無茶じゃないというようなの姿を

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  • 宇崎スミカズと華やかな大阪出版文化 | daily-sumus

    《おかげさまで、なんとか開催することができました。展示しきれないくらい資料が集まりましたので、8月には思い切った展示替えをする予定です。また、今年の夏の節電対策のため文芸館は土日を除き入館料は無料です。併設のアルフォンス・ミュシャ館も見応えがありますので、多数の方に来館していただきたいです。》大浦一郎氏 平日無料とは有り難い。暑気を逃れてスミカズ詣でと参りましょう。

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  • 装幀台湾 | daily-sumus

    台湾のお土産を頂戴した。李志銘作品集1『装幀台湾ーー台湾現代書籍設計的誕生』(聯経、二〇一一年一二月、封面設計=荘謹銘)。漢文は読もうと思えば読めないことはないが、図版を眺めているだけで一九二〇年代から六〇年代までの台湾における文学関係の単行や雑誌の装幀の流れがおおよそ見て取れる。巻末に装幀の関連年譜も付されている。 裝幀台灣:台灣現代書籍設計的誕生(ハードカバー版) http://butterflybooks.jp/modules/items/index.php?content_id=801 戦前では日人画家の表紙(封面)が多く取り上げられており、『台湾時報』の石川欽一郎、市川泰助、『民族台湾』『媽祖』『文芸台湾』の立石鐵臣(上の表紙画も大阪屋号書店『台湾文学集』から立石作)、西川満、他には宮田弥太郎、塩月桃甫、佐山融吉、大西吉寿などの名前が出ている。 そのなかに桑田喜好という名前を

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  • 本と怠け者 | daily-sumus

    荻原魚雷『と怠け者』(ちくま文庫、二〇一一年九月一〇日、カバーデザイン=石丸澄子)が届いた。石丸さんのカバーが素敵だ。同じちくま文庫では岡崎氏の『古生活読』や『古極楽ガイド』カバーとかぶってくるのだが、そこは夜空のブルーで魚雷の世界らしさを演出していて見事。岡崎氏の解説も魚雷君の風貌を余す所なく伝えている。 『ちくま』誌上で三年余り連載されたエッセイに「文壇高円寺」に加筆した三篇、そして「震災後日記」と「怠け者の読書癖 序にかえて」を収録して文庫オリジナルという形で上梓された。ということは小生が『ちくま』の表紙を担当していた二年間も含まれるわけで、むろんそれ以前の『ちくま』も読んでいたから連載分はだいたい読んだ記憶が残っている。 《人並みのことができるようになりたいとおもったこともあったが、それを目指すと、それだけでやりたいことが何もできなくなる。やりたいことをやるためにからだが

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  • タイポグラフィ入門 | daily-sumus

    オリヴァー・サイモン(Oliver Simon, 1895–1956)『Introduction to Typography』(Pelican Books, 1954)。下鴨にて求めた一冊。 サイモンは英国チェシャーのセイル(Sale, Cheshire)に生れ、ドイツ教育を受けた後、第一次世界大戦に従軍、パレスチナ作戦に参加した。印刷をロンドンで学びカーウェン・プレスに入って活躍し、最高責任者になっている。一九二三年にはタイポグラフィの雑誌『The Fleuron』を創刊、またタイポグラファーのための倶楽部「Double Crown Club」の創設にも参加している。著書にはローデンバーグ(J. Rodenberg)との共著『Printing of Today』(1928)などがある。 カーウェン・プレス(Curwen Press)はジョン・カーウェンが一八六三年に創業、著名なグラフィ

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  • 海 | daily-sumus

    古賀春江「海」絵葉書。一九二九年秋の第十六回二科美術展覧会出品。神田美土代町一ノ四四美術工芸会発行。 古賀の代表作として知られる作品。ここに描かれている図柄については速水豊『シュルレアリスム絵画と日』(NHKブックス、二〇〇九年)が詳しく分析してくれているので、主なところを引用してみる。 画面左手の建物の下部、内部図解のような部分についてこう書く。 《平面化された機械的形象に関しては、その影響源をピカビアに限る必要はないであろう。この当時、古賀が確実に見ることができた一例として、カレル・チャペックの戯曲『R・U・Rーロッスムのユニヴァーサル・ロボット』のためのフレデリック・キースラーが制作した舞台装置を挙げることができる。》 コラージュ的な手法については 《モホイ=ナジの作品が具象的なモチィーフを抽象的な図形と組み合わせている点においても、古賀のこの種の作品との類似性を指摘できよう。 モ

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  • あいまいな記憶 | daily-sumus

    洲之内徹『気まぐれ美術館』(新潮文庫、一九九六年一〇月一日、カバー装画=松竣介)。 日曜日にメリーゴーランドで洲之内徹の文章の載っている雑誌のコピーを頂戴した。『季刊えひめ』第四号(松山文化団体連絡協議会、一九七六年九月)伊丹万作追悼特集。ここで洲之内は「あいまいな記憶、または記憶のあいまいさ」と題して伊丹万作との一瞬の出会いを回想している。後藤洋明編「洲之内徹文献目録」(『気まぐれ美術館』図録、朝日新聞社、一九九七年)によれば、同誌第五号(一九七七年二月)にも「青年美術家集団の思い出」を執筆しているようだ。コピーを下さった方は月の輪書林の目録から入手されたそうだが、検索してみると、宇和島市立図書館、西条市立図書館、新居浜市立図書館に所蔵されている。 洲之内は『絵のなかの散歩』(新潮文庫、一九九八年)所収の「古賀春江「ミルク」」および『気まぐれ美術館』所収の「ある青春伝記」(および「くる

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  • 魔女の鉄鎚つづき | daily-sumus

    インキュナビュラ(incunabula)とは『出版事典』にはこうある。 《ドイツのグーテンベルクによる西洋の活字印刷術の発明(1450年ころ)以後1500年までの、いわゆる印刷術の揺籃期(ラテン語 incunabula は揺籃の意)にヨーロッパで行なわれた活版印刷、さらにそれによってつくられた図書をいう。また初期整版を含めて同期印刷を総称することもある。》 天理図書館で開催された「グーテンベルクの世紀」展図録(一九八九年)にはこうある。 《西洋で15世紀に印刷・刊行された書物は、「インキュナビュラ」と呼ばれる。ラテン語で「むつき、おしめ」の意味、つまり、印刷術が生まれたばかりの頃の書物ということである。》 「ゆりかご」なのか「おしめ」なのか? C.T.LEWIS『Elementary Latin Dictionary』(Oxford University Press, 1997)にはこ

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  • かくれみの | daily-sumus

    『古書月報』の合(219〜230、一九七三〜四年、227号欠)を頂戴した。東京都古書籍商業協同組合が発行する機関誌である。かつてブログにも書いたように二〇〇七年から八年にかけて『古書月報』の表紙をデザインさせてもらった(http://sumus.exblog.jp/6465402)。そのとき、東京古書会館でバックナンバーをすべて見る機会があった。もちろん表紙だけ。昔はどんなデザインだったかということを知っておいた方がいいだろうという担当者の計らいだった。そのときこの機関誌をじっくりと研究したら相当に面白いが書けるんじゃないだろうかと思ったものだ。 ところで、221号には一九七三年七月の明治古典大市会が大成功だったという記事がある。《「一握の砂」のカバー付は五〇万六八九〇円で落札したが明治百年記念大市では極美カバー無しが七万三、六九〇円で落札している。こうなるとなんとカバー一枚が四〇万

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  • 寿岳文章 人と仕事 | daily-sumus

    西向日コミュニティセンター(阪急西向日駅下車スグ)で甲南大学文学部教授中島俊郎先生による「寿岳文章 人と仕事」という講演会を拝聴した。主催は京都府向日市西向日の住民らでつくる「西向日の桜並木と景観を守る会」(片岡長久代表)。 寿岳文章については『書物とともに』(冨山房百科文庫、一九八〇年三月二七日)くらいしか読んでいないが、それも大昔のことでまったく忘れていた。日の中島先生のお話で面白かったのは、晩年、向日庵(こうじつあん、時に「むこうあん」ということもあったとか)を中島青年が訪ねたときに、使っている器類をどれでも持ってかえっていいよと言われたにもかかわらず、無欲な中島青年は岩波文庫一冊もらっただけだったというくだり。じつのところ寿岳一家が使っていた器は、結婚祝いとして、浜田庄司や河井寛次郎らが荷車いっぱい自作をプレゼントしてくれたものだった。今ならいくらになることやら。 もうひとつ、

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  • パンとペン | daily-sumus

    黒岩比佐子『パンとペン 社会主義者・堺利彦と「売文社」の闘い』(講談社、二〇一〇年一〇月七日、装幀=三村淳・三村漢)。まだ半分くらいまでしか読んでいないが、偶然が重なったので、ちょっと書いておく。 日露戦争勃発(一九〇四)とともに当局の弾圧が厳しくなって『平民新聞』を発行する平民社(堺利彦、幸徳秋水らが経営)は財政危機に陥ったため紙面で維持金を募集した。それに応じて北輝次郎(一輝)から二円、洋店「龍圡軒」から五円、徳冨蘆花から一円などの寄付があったそうだ(p130-131)。 《「龍圡軒」は、国木田独歩や田山花袋など自然主義文学者を中心としたサロン「龍土会」の会場として知られ、当時の場所からは移転したが、現在も東京の港区に存在する》 ちょうどこのくだりを読んだ日に某氏より『Sym.』03(甲南大学文学部木股知史研究室、二〇一〇年一〇月三〇日)を頂戴した。それがなんと特集「ドキュメント龍土

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  • 書影でたどる関西の出版100 見本 | daily-sumus

    今月末ごろには発売予定。輸送用の外装段ボール筒函。 貼り函。青山二郎の意匠になる鸚鵡(元は中国の古硯から)の銀箔押。 表紙は片方だけの張付け。...

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  • 荷風 百間 夏彦がいた | daily-sumus

    大村彦次郎『荷風 百間 夏彦がいた 昭和の文人あの日この日』(筑摩書房、二〇一〇年八月二五日、装幀=神田昇和、カバー装画=川上澄生)。大村さんの新著。小生はイラスト12点を描かせてもらった。 昭和を五年毎、十二章に分けて、多数の文士の行状を、さまざまな逸話のつづれ織りによって、みごとに浮彫りにしている。裏面とまではいかないが、表玄関ではなく裏口からとらえた昭和文士伝。定評のある文体・語り口も含め、面白くて「巻を措くあたわず」間違いなし。 印象に残る逸話は多いが、昭和二十八年に福原麟太郎と吉田健一らがイギリスへ飛行機で旅立ったときのこと、スチュウワデスのアナウンスを聞いたとたん吉田が久しぶりに接する美しい英語だったので涙が出そうだと福原に耳打ちした。福原は同乗の河上徹太郎に向って 《英語ができるなどといっても、われわれは知識として知っているだけで、ぼくなど代表的な詩の一行だってスラスラ出

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  • 銅活字版論語 | daily-sumus

    MAKINO氏が台北で購入された『銅活字版論語』(廣陵書社、二〇〇三年)を拝見した。 《台北で屋街というと、重慶南路ですが、そこの世界書局で買いました。大陸・揚州市の廣陵書社の2003年刊、定価320人民元を輸入したものです。1人民元=5台湾元(=15日元)のレートで売っていました。「序言」によると、明代に流行して廃れた銅活字刊の印刷工芸を復元したものとのことです。台湾ではさいきん線装は作らなくなったようで、大陸から輸入したものしか店頭に見られなくなりました。それも多くはコンピュータ排印で、情緒のないことですが、銅活字はちょっと珍しいと思ったので、ご紹介する次第です。》 というメールを頂戴していろいろうかがっていると、手っ取り早く善行堂で見せていただけることになり、ちょっと出掛けてきた。 巻末に製作にあたったスタッフの名前が記されている。刻字から鋳造、印刷まで、まるまる復刻という

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  • 近代大阪の出版 | daily-sumus

    吉川登編『近代大阪の出版』(創元社、二〇一〇年二月一〇日、装幀=上野かおる)。よくまとまった江戸から明治にかけての大阪出版の通史があり、また青木嵩山堂、金尾文淵堂、立川文庫、プラトン社、創元社の各社についての論述あり、大正期大阪の「出版文化展」や『大阪パック』の輝文館を中心にした漫画出版に関する論考も収められ、大阪出版の実力と限界がよく分かる一冊となっている。 目次などは創元社のサイトにて http://www.sogensha.co.jp/book/2010/01/post-175.html これは青木嵩山堂の広告。大阪心斎橋筋博労町と東京日橋通一丁目はどちらも出版書肆としてはこれ以上ない立地である。建物の違いが大阪と東京の違いを物語るように見える。この大店が大正十年頃に突然、営業をやめた。その理由はどうやら初代会長青木恒三郎が出版業を見限ったからのようである。いさぎよい最後なのだろう

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  • 杉浦康平のデザイン | daily-sumus

    臼田捷治『杉浦康平のデザイン』(平凡社新書、二〇一〇年二月一五日、装幀=菊地信義)。杉浦康平……エディトリアル・デザイン界の巨人といっていいだろう。そのシュミセンのように深くも高い杉浦康平をコンパクトにまとめてみせてくれた臼田氏の力業、いや編集力にまず脱帽する。新書の内容としてはおそらくこれ以上は望めないほどの出来栄えと思う。今後何度も参照する一冊になりそうだ。巻末の主要参考文献も周到である。 巻頭カラー口絵を見てビックリ。「第8回東京国際版画ビエンナーレ」のポスター。これは今も郷里の書斎にかかげてある。銀紙(フォイル?)に刷られていて、それまでまったく見たこともないような表現力に当時は打ちのめされたし、今も圧巻のままだ。代表作だったか。 また文のいちばん最後に杉浦康平の全作品と蒐集資料が武蔵野美術大学資料図書館に納まることが決まったと書かれている。柳瀬正夢もそうだが、他にもいろいろ入っ

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