タグ

ブックマーク / www.news-postseven.com (48)

  • カドミウム吸収を抑えた画期的なコメの新品種「あきたこまちR」 福島みずほ議員らの“安全性への疑問”は妥当なのか

    土壌のカドミウムをほとんど吸収しないコメの新品種「あきたこまちR」をご存じだろうか。「あきたこまちR」は品種改良技術により開発されたコメで、品の安全に関する著書が多数ある科学ジャーナリストの松永和紀氏は「日のコメが抱える問題を解決できる画期的な品種です」と評価する。秋田県では2025年からコメの栽培品種を、従来のあきたこまちからあきたこまちRに全量転換する方針だ。 ところが、11月9日、社民党の福島みずほ参院議員がX(旧ツイッター)で〈消費者の権利を守りたい!〉と投稿し、「2025年秋田県全量転換 放射線育種米あきたこまちR 何が問題なのか」と題した報告会の開催を知らせるポスター画像を添えた。ポスターには、あきたこまちRへの全量転換を問題視する記述がある。なぜこうも評価が異なるのか。 そもそも「あきたこまちR」はどんな新品種なのか。農水省や秋田県による資料などを読むと、前述の通り、その

    カドミウム吸収を抑えた画期的なコメの新品種「あきたこまちR」 福島みずほ議員らの“安全性への疑問”は妥当なのか
  • 駐留アメリカ人が撮った「占領期のニッポン」 公式写真には写らない戦後社会のリアル

    銀座4丁目の三越百貨店前を歩く2人組の晴れ着の女性。国民服などの地味な服装の人々の中で、一際目立ったので、思わずシャッターを押したのだろう(1946年正月、撮影者不明) 白黒写真をAIで着色する技術が広まりつつあるが、ここにある戦後日の写真は全てカラーフィルムで撮影された。撮影したのは当時日に駐留していたアメリカ人。彼らがカメラに収めた戦後日の「物の色」とは──。 遺品整理でオークションへ あまりに色鮮やかで、アジアのどこかの国で撮られた現代の写真のように見えるが、ここにあるのはすべて占領期の日の写真である。この時代の白黒写真を見慣れた我々は、まるでモノトーンの世界が広がっていたかのように錯覚しているが、現実には人にも風景にも色があった。それを写し取ったのは当時日に駐留していたアメリカ人である。 『占領期カラー写真を読む』(岩波新書)の共著者で、早稲田大学の佐藤洋一教授が写真の

    駐留アメリカ人が撮った「占領期のニッポン」 公式写真には写らない戦後社会のリアル
  • 江戸川橋から池袋へ「水窪川」を遡る暗渠で感じる江戸時代から戦後までの歴史

    護国寺境内の石橋/境内にはかつて湧水池から水窪川に注ぐ支流が存在し、石橋が架かっていた。すでに池も支流もないが、現在、その石橋は境内にある富士塚「音羽富士」の前に保存されている。護国寺に水源の一つがあったのは興味深い 道路などによって蓋をされてしまった河川や水路の痕跡を「暗渠」と呼ぶ。曲がりくねる路地をたどり、橋跡などのサインを探しながら、水のネットワークが広がっていたかつての東京に思いを馳せて歩いてみよう──。 水窪川はJR池袋駅東側、繁華街を貫くサンシャイン60通りに近い「美久仁(みくに)小路」付近にあった湿地を源流とし、文京区の江戸川橋で神田川に合流する約3kmの川だった。 暗渠化されたのは昭和8(1933)年頃。神田川に注ぐ合流口から源流まで水窪川の流路を遡るルートは、田さんお薦めの暗渠さんぽコースだ。 「流路が路地で残る水窪川の暗渠には、江戸時代から戦後までの歴史が重層的に詰ま

    江戸川橋から池袋へ「水窪川」を遡る暗渠で感じる江戸時代から戦後までの歴史
  • 小田急ロマンスカーで一番映える車両「VSE」が引退を余儀なくされた理由

    における鉄道展望車の歴史は明治後期に遡るとされている。今でも人気が高い座席から前方に景色が広がる前面展望車は、昭和初期から登場した。今では前面展望といえば小田急電鉄のロマンスカーというほどイメージが強く、特に2005年から走るドーム型の天井が特徴のVSEはロマンスカーを代表する位置づけにあった。ライターの小川裕夫氏が、名車VSEの今後について聞いた。 * * * 2021年12月17日、小田急電鉄が来春のダイヤ改正を発表した。小田急の発表を受け、鉄道ファンに大きな衝撃が走っている。 2020年から続く新型コロナウイルスの感染拡大により、鉄道各社は減便を続けてきた。他社と同様に、小田急も来春のダイヤ改正で減便を実施する。それだけだったら、予想できなかった話ではない。 鉄道ファンに衝撃を与えたのは、ダイヤ改正によって小田急ロマンスカーの50000形VSE(=Vault Super Expr

    小田急ロマンスカーで一番映える車両「VSE」が引退を余儀なくされた理由
  • 【平山周吉氏書評】タイムマシンで巡る90年前の日本

    書評】『1932年の大日帝国 あるフランス人記者の記録』/アンドレ・ヴィオリス・著、大橋尚泰・訳/草思社/2600円+税 【評者】平山周吉(雑文家) モノクロ映像をカラー化することで、歴史は身近になるだろうか。庶民の記憶を語ることで未来の戦争は防止できるだろうか。かねがね疑問に思っていたのだが、書を読み、こんな直截なやり方がかえって有効ではと思った。タイムマシンに乗るのである。 『1932年の大日帝国』は、六十一歳のフランス人女性記者兼作家のヴィオリスが、昭和七年の日に降り立つ。日についての予備知識はまったくない(これは現在の我々と同レベルだ)。それでも協力者の力を借りて、たくさんの人間に会い、話を聞き、あちこちに出かける。たった三ヶ月間の日滞在なのだが、まるでタイムマシンで九十年前の「異国日」を訪れた昂奮を味わえる。 記者の特権とはいえ驚くのは、当時の外相・芳沢謙吉、陸相

    【平山周吉氏書評】タイムマシンで巡る90年前の日本
  • 中国内モンゴル自治区がモンゴル語教育廃止、抗議広がる

    中国内モンゴル自治区の通遼市政府は9月1日から始まる小中学校の新学期から、これまでは中国語とモンゴル語の両方で教えていた中国共産党理論や道徳、中国歴史政治などの科目を中国語だけで教え、今後はモンゴル語での教育は行わないことを通知したことが分かった。 これに対して、同市のモンゴル族父兄ら市民数千人は「モンゴル語での教育の廃止はモンゴル族の人々やモンゴルの歴史や伝統などを軽視するものだ」などと抗議。同自治区政府教育局に厳重な抗議書を手渡し、今後もモンゴル語教育を継続するよう強く求める公開書簡も提出した。 公開書簡は 「中国内の見識ある歴史家や言語学者、北京の中央民族大学などの少数民族機関はモンゴル族を含む少数民族の子弟に対して、それぞれの民族独自の言語を学ぶことは、その民族の伝統や文化を保護・伝承するうえで極めて重要だ」と前置き。そのうえで、「通遼市政府がそのようなモンゴル語を公用語として

    中国内モンゴル自治区がモンゴル語教育廃止、抗議広がる
  • 日本史学者・呉座勇一が選ぶ日本の戦の本6冊

    戦後、日歴史学界は、太平洋戦争の勃発を防げなかったことへの反省から、反戦平和主義を唱えるようになった。それじたいは結構なのだが、軍事や戦争を研究対象に据えることを避けるようになった。 真に平和を望むのであれば、軍事や戦争を思考の外に置くのではなく、かえってそれらを正面から検討し、戦争回避の方法を真摯に考察する必要がある。近年は日史学界でも、右の問題意識から、軍事史研究や戦争論が盛んになっている。ここでは、そうした研究成果のエッセンスが詰められた一般書を紹介する。 まずは古代史。古代には、貴族が謀略をめぐらす陰湿な雰囲気がつきまとうが、実際には多くの政治抗争に武力行使が伴った。藤原氏が他氏との権力闘争に勝利できたのは、自らの私的武力を公的武力に組み込み、また公的武力を私物化することで巨大な軍事力を掌握したからである。【1】『古代国家と軍隊』(笹山晴生・講談社学術文庫)はこの分野の古典的

    日本史学者・呉座勇一が選ぶ日本の戦の本6冊
  • 100歳の現役言語学者「60歳で失敗してもまた始めればいい」

    今年3月に100歳を迎えた川崎桃太氏は現役の言語学者だ。16世紀のポルトガル人宣教師、ルイス・フロイスが、織田信長や豊臣秀吉が天下を治めていた戦国時代の日を描写した書籍『日史』の翻訳・研究の第一人者である。 いま、ドラマや小説で描かれる信長や秀吉のイメージは、川崎氏の研究成果によるところが大きい。今年6月には、約2年がかりで執筆した『フロイスとの旅を終えて今想うこと』(三学出版刊)を出版。一区切りをつけた。 フロイスの『日史』との出会いは衝撃的だった。1974年、普通の人なら退職が迫り、第二の人生を迎える59歳の頃である。 当時、川崎氏の専門である言語学とは別の目的で訪ねていたポルトガル王宮図書館の古文書の中から、『日史』の写を偶然発見した。これは翻訳して世に知らしめる価値があると感じたが、1549年から1593年までの44年分の記録のうち、1583年から1587年までの5年分が

    100歳の現役言語学者「60歳で失敗してもまた始めればいい」
  • 関西地方の難読「方言漢字」 妛、椥、鱆の読み方は?

    「地域特有の単語やアクセントなど、お国言葉は広く認識されていますが、漢字にも土地に根付いたものがあるんです」 と話すのは、早稲田大学社会科学総合学術院教授の笹原宏之さんだ。そんな独自性のある文字を『方言漢字』というそうだ。そこで関西地方に見られる“方言漢字”を笹原さんに解説してもらう。 ■滋賀県 読み方→あけび 多賀町の集落でのみ使用されている。正しくは山かんむりに「女」なのだが、パソコン入力のためのJIS漢字登録の際、活字の「山」と「女」の間に影ができ、それを線と間違え、加えてしまった。 ■京都府 読み方→なぎ 室町時代の国字で、京都市山科区には「椥辻」という地名がある。この「木」は道を知らせるためのもの、つまり道標としての役割を果たしていた。 ■大阪府 読み方→さか 江戸時代は「大坂」が多かったが、明治維新後、大阪に。その経緯は諸説あり、「土に返るのは縁起が悪い」「サムライが背く(反す

    関西地方の難読「方言漢字」 妛、椥、鱆の読み方は?
  • 虫歯治療の古い常識 先進国で「銀歯」が主流なのは日本だけ

    歯科治療」の世界には、急速な技術の進化がある。そのため、“かつての常識”が間違いだったと明らかになることが往々にしてある。その進化に追いついていない歯医者にかかると、症状が改善せず、むしろ歯の寿命を縮める可能性すらある。何が“最新常識”なのか。話題書『やってはいけない歯科治療』著者のジャーナリスト・岩澤倫彦氏がレポートする。 * * * 虫歯治療といえば「銀歯」。丈夫で長持ちし、比較的安価な金属だったので、治療費も安い。現在も1か月間で、約180万の「銀歯」治療が行なわれている。しかし、先進国で「銀歯」が主流なのは日だけだ。 「銀歯」は長期間経過すると、合着用セメントが溶け出して隙間が発生する。それが、虫歯の再発原因となっていた。 「銀歯」の素材は、金・銀・パラジウムなどの合金だが、パラジウムが、レアメタルとして国際的に高騰。現在では金と同等の価格になった。もう「銀歯」は決して安い金

    虫歯治療の古い常識 先進国で「銀歯」が主流なのは日本だけ
  • コンビニ専念のファミリーマートに待ち受ける「3つの課題」

    総店舗数がじつに5万5000店を超え、いよいよ飽和状態が鮮明になってきたコンビニエンスストア。今後は新しいサービスや商品を増強し、既存店の売り上げをいかに伸ばしていくかの戦いに入りそうだが、そんな中、大手コンビニチェーンの一角であるファミリーマートの動きが慌ただしい。ジャーナリストの河野圭祐氏が“ファミマ”の今後を占う。 * * * ユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)は、懸案だった総合スーパー(GMS)のユニーを経営から切り離す決断をした。 ディスカウントストアで勢いに乗るドンキホーテホールディングスがユニー株を100%取得して完全子会社化。一方でユニー・ファミリーマートHDもドンキホーテHDに20%出資することで持ち株会社を解消し、社名を変更する予定。資関係をすっきりさせることで、今後ファミマはコンビニ事業に専念したい意向だ。 周知のようにファミマはユニー傘下のコンビニだ

    コンビニ専念のファミリーマートに待ち受ける「3つの課題」
  • 碁・井山裕太七冠 常識破りの師弟関係が奇跡の偉業を生んだ

    囲碁の七大タイトル独占の偉業を、棋士の井山裕太氏(28)が再び果たした。井山七冠を間近で取材し続けている名人戦観戦記者の内藤由起子さんが、井山七冠の傑出した才能がどのように開花されたのか、強さの秘密を明かす。 * * * 昨年4月に、囲碁界初の七大タイトル(棋聖、名人、因坊、王座、天元、碁聖、十段)同時保持を井山さんは達成した。しかし11月に「名人」を失い、六冠に後退。それから1年。6タイトルをすべて防衛しつつ、名人への挑戦権を勝ち取り、8月末から高尾紳路名人とのリターンマッチに臨んでいた。 10月17日、4勝1敗で名人位を奪還。前人未踏の七冠返り咲きを果たした。2度目の七大タイトル制覇は、囲碁界はもちろん、将棋界を含めても初の快挙で、奇跡ともいえよう。 去年の獲得賞金は1億3494万円。12歳でプロ入りを決めてから、16年間で獲得した賞金は10億円を越すという天才を生んだ鍵は、従来の囲

    碁・井山裕太七冠 常識破りの師弟関係が奇跡の偉業を生んだ
  • 【書評】人間の欲望の歴史が宿った「イタドリ」の数奇な運命

    書評】『Moving Plants』/渡邊耕一・著/青幻社/3800円+税 【評者】与那原恵(ノンフィクションライター) 「イタドリ」という植物がある。ハート型の葉で、白い花を咲かせ、高さ一~二メートルに成長する。日のいたるところでごく普通に見られる雑草は、用、薬用としても利用されてきた。「スカンポ」などとも呼ばれ、この植物をあらわす方言は六〇〇種に及ぶという。イタドリはアジア原産で、紀元前中国の辞書に「虎杖」の名で記載され、日では『日書紀』以来、多くの書物に記述されている。 十九世紀、イタドリは欧米諸国に渡った。この移動する植物(Moving Plants)は、各地で大繁殖する。急速に成長するため、在来種の生育を妨げ、生態系を破壊する厄介ものとなった。 〈イタドリは異国の風景の中でどんな表情をしているのか? イタドリがヨーロッパに辿り着いたのはいつなのか? どうやって大海原を超

    【書評】人間の欲望の歴史が宿った「イタドリ」の数奇な運命
  • 【書評】検閲を逃れる為の言葉にみる並々ならぬ時代センス

    書評】『近代はやり唄集』/倉田喜弘・編/岩波文庫/640円+税 【評者】池内紀(ドイツ文学者・エッセイスト) 明治から大正にかけて世に風靡した唄のアンソロジーである。街角や座敷で歌われたものから、芝居や映画の唄まで、全一二七曲。 それぞれの唄また歌詞に注釈がついていて、がぜんおもしろくなった。おなじみの「みやさんみやさん、御馬の前でチラチラするのはなんヂヤイナ」。日近代化の始まりに歌われた「宮さん」(一八六八年)の囃し言葉はトコ・トン・ヤレ・トンヤレナと思いこんでいたが、それはまちがい。 正しくは「トコトン、ヤレ、トンヤレナ」。徹底してやれ、やっつけろ。「にしきの御旗」を手にした連中の勇み立ちぶりが見てとれる。作者は長州人品川弥二郎。「なんヂヤイナ」などとヘンな歌詞だが、長州弁ではふつうの言い方。「官軍」の唄がいかに地方色をおびていたかがわかるのだ。 「西郷隆盛や枕が入らぬ/入らぬ筈だ

    【書評】検閲を逃れる為の言葉にみる並々ならぬ時代センス
  • 地味というより本当にスゴイ!校閲さんの実際のお仕事

    石原さとみ主演のドラマ「地味にスゴイ! 校閲ガール」(日テレビ系、水曜夜10時)が話題を呼んでいる。活字メディアに関わる者なら誰しもお世話になる「校閲さん」の仕事はどんなにスゴイのか。フリーライターの神田憲行氏が取材した。 * * * ドラマは初回放送で「リアリティがない」と反発もあったみたいだが、出版界の末席を汚す者として、校閲さんの仕事にスポットが当たるのは素直に嬉しい。そこで私たちが実際に経験した校閲さんたちの「スゴイ!」話をお届けしよう。こちらはリアリティ100%である。 その前に校閲さんの仕事を改めて説明する。例えば私のようなライターが原稿を書いて担当編集者に送る。編集者が内容をチェックして大きな問題が無ければ、「ゲラ」と呼ばれる試し刷りに回される。校閲さんが登場するのはこのゲラからだ。 校閲さんの仕事は大きく分けて「朱入れ」と「鉛筆」がある。「朱入れ」は固有名詞の間違いなど、

    地味というより本当にスゴイ!校閲さんの実際のお仕事
  • 靖国神社の徳川宮司「明治維新という過ち」発言の波紋

    靖国神社が揺らいでいる。来る2019年に迎える創立150周年に向けて徳川康久宮司が語ったインタビュー記事の発言が、波紋を呼んでいるのだ。 記事は共同通信社から配信され、加盟する一部の地方紙(静岡新聞6月9日付、中国新聞6月10日付)に掲載されたのみだった。ところが、地方でしか読まれないはずの記事が各界の識者の注目を集め、にわかに論争へと発展している。 徳川宮司は靖国神社が抱える課題や、神社の将来像について語った後、「明治維新を巡る歴史認識について発言していますね」という質問を受けて、自らの「明治維新史観」を開陳した。以下が宮司の発言だ。 〈文明開化という言葉があるが、明治維新前は文明がない遅れた国だったという認識は間違いだということを言っている。江戸時代はハイテクで、エコでもあった〉 〈私は賊軍、官軍ではなく、東軍、西軍と言っている。幕府軍や会津軍も日のことを考えていた。ただ、価値観が違

    靖国神社の徳川宮司「明治維新という過ち」発言の波紋
  • 【著者に訊け】のむらしんぼ氏『コロコロ創刊伝説』

    【著者に訊け】のむらしんぼ氏/『コロコロ創刊伝説』/小学館/583円+税 男の子なら、誰もが一度はあの分厚く、やや小ぶりな漫画誌を手にしたことがあるのではないか。創刊39年を迎えた伝説の少年誌『コロコロコミック』だ。この漫画に関わった人たちのドキュメンタリー漫画『コロコロ創刊伝説』の第一巻が発売になった。作者は創刊時から今まで唯一、『コロコロコミック』で少年漫画を描き続けているのむらしんぼ。主人公は著者人だが、登場人物は『コロコロコミック』に関わった人たちすべてだ。 のむらの作品を読んだ編集者が、こんなセリフを突きつけるシーンがある。 〈「ハッキリ言って…、古いんですよね~!!」〉 創作活動に携わる人間にとって、実際にナイフで刺されるより怖い言葉である。しかし、のむらは何でもないことのように語る。 「遠回し、遠回しに言われて、翻訳すると、そういう風に頭の中に入ってきた」 ──傷つきません

    【著者に訊け】のむらしんぼ氏『コロコロ創刊伝説』
  • 【著者に訊け】長谷川康夫氏 『つかこうへい正伝』

    【著者に訊け】長谷川康夫氏/『つかこうへい正伝  1968-1982』/新潮社/3000円+税 人でも、遺族でもない第三者が、「正伝」を謳える根拠は何か。それは著者・長谷川康夫氏が、劇団草創期のつかこうへいと、長く日常を共にしていたからだ。 「僕というより僕ら劇団員が、ですね。当時はホント、毎日みんなで一緒にいすぎて、逆に印象にないくらいそれが日常だった。特に平田(満)なんて、一時期、六畳一間につかさんと同居しながら、ほとんど何も憶えてないんだから(笑い)」 表題にはつかが大学に入学した1968年から、劇団つかこうへい事務所の解散公演『蒲田行進曲』をもって皆が散り散りになる1982年まで、現在脚家として活躍する著者が役者としてつかに接した期間が律儀にも付記される。ただでさえ毀誉褒貶に彩られた対象を、安易な憶測や感傷によって上げも下げもしたくないという誠意もあろうが、何より彼らにとっては

    【著者に訊け】長谷川康夫氏 『つかこうへい正伝』
  • 若者の辞書離れ ファンシー化が進みキラキラ辞書も登場

    近年、辞典・辞書がかわいく、ファンシーになってきているのにお気づきだろうか? 2015年8月、『現代実用国語辞典 第3版』(学研)、『大きな字の現代実用国語辞典 第3版』(同)が、老舗英国ブランド「ローラ・アシュレイ」とデザインコラボレーション。翌月に発行された、『くまモン! これ英語でなんていうと? 英和・和英じてん』(同)の表紙には、ゆるキャラ・くまモンの笑顔が大きく躍っている。 また、従来その引きやすさ、理解しやすさに定評のあった『プログレッシブ中学英和・和英辞典』(小学館)は、少女コミック誌『ちゃお』の付録デザインチームがパッケージデザインを担当し、紙ケース、表紙、文の刷り色に、水色、ピンク、パープルなどフェミニンな色を中心に使用した「Charming Edition(チャーミングエディション)」を2015年12月に刊行。表紙には、独特の質感と汚れにくさから手帳にも使われる「ディ

    若者の辞書離れ ファンシー化が進みキラキラ辞書も登場
  • 金田一秀穂氏 「戦争法案」は「女子会」同様気分盛り上げ言葉

    近年、嫌~な日語がやたらと使われている。日語学者で杏林大学外国語学部教授の金田一秀穂氏は、そのひとつとして「戦争法案」を挙げる。いったいなぜなのか。 * * * 『論語』にこんな一節があります。ある時お弟子さんが「先生が政治をやられるとしたら何をなさいますか」と孔子に訊ねる。すると孔子は「まず名を正そう(必也正名乎)」と答えるのです。「名」は「言葉づかい」と訳しても差し支えないでしょう。政治は言葉で動くのだから、まずその使い方を厳密にしておかなければならない、と言うのですね。 ことほど左様に言葉は大事なのですが、今の政治家にその意識はあるのでしょうか。 例えば安保法案をめぐってしばしば使われた「国民の理解」(を得る/得られない)という言葉。総理をはじめこの言葉を使う時には必ず「理解=賛成」という願望がこめられています。「理解しているから反対するんだ」という人だっているのに、「反対するの

    金田一秀穂氏 「戦争法案」は「女子会」同様気分盛り上げ言葉
    funaki_naoto
    funaki_naoto 2015/10/12
    「必也正名乎」