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ブックマーク / www.nikkei-science.com (32)

  • 2024年ノーベル化学賞:タンパク質の設計と構造予測に貢献した3氏に|日経サイエンス

    2024年のノーベル化学賞は「コンピューターを用いたタンパク質の設計」の功績で米ワシントン大学のベイカー(David Baker)教授に,「コンピューターを用いたタンパク質の構造予測」で英国Google DeepMindのハサビス(Demis Hassabis)氏とジャンパー(John Jumper)氏に授与される。 タンパク質は20種類のアミノ酸が数珠つなぎになった分子だ。それがくねくねと折りたたまれて,複雑な立体構造をとる。この「数珠つなぎ」と「立体構造」の間に,「50年来の生物学のグランド・チャレンジ」と呼ぶべき,大きな未解決問題があった。タンパク質の立体構造予測だ。 タンパク質の立体構造予測は,タンパク質の生化学はもちろん,創薬や医学研究の観点からも実現が望まれてきた。タンパク質の形状や表面の微細な凹凸などがタンパク質の機能を左右するからだ。 構造予測の歴史 1970〜1980年代

    2024年ノーベル化学賞:タンパク質の設計と構造予測に貢献した3氏に|日経サイエンス
  • 2024年ノーベル物理学賞:物理学からAIの基礎を築いた2氏に|日経サイエンス

    2024年のノーベル物理学賞は,「人工ニューラルネットワークによる機械学習を可能にする基礎的発見と発明」の功績で,米プリンストン大学のホップフィールド(John Hopfield)名誉教授とカナダのトロント大学のヒントン(Geoffrey Hinton)名誉教授に授与される。 ある技術が社会で広く使われ生活や産業を大きく変えたとき,その原点に立ち戻り,最初の一歩となった成果にノーベル賞が授与されることはしばしばある。今回の授賞がまさにその例だ。物理学賞を受賞した2人は1980年代に,今,最も注目が集まっている人工知能AI)の根幹である人工ニューラルネットワークの基礎を築いた。 ヒントになったのは,磁性の振る舞いを語るのに使われている物理学のモデルだ。磁性体はしばしば,互いに影響を及ぼし合う電子のスピン(自転の向きに相当する)が縦横に並んだモデルで記述される。各スピンはお互いの距離と相互作

    2024年ノーベル物理学賞:物理学からAIの基礎を築いた2氏に|日経サイエンス
  • ホログラフィック宇宙 時空と重力の起源に迫る

    日経サイエンス編集部 2023年12月11日 A4変型判 27.6cm×20.6cm 128ページ ISBN978-4-296-11799-4 定価2,420円(10%税込) ご購入はお近くの書店または下記ネット書店をご利用ください。 21世紀の現在,私たちの宇宙観は再び大きく揺り動かされている。 ホログラフィーとはフィルム上に縞模様のような干渉パターンとして立体像を記録する技術のこと。ホログラフィーによって記録したフィルム「ホログラム」に光を当てると,立体像が再生される。理論物理学者の間で真剣に議論されているホログラフィー原理が真であれば,3次元の私たちの宇宙も,実は2次元のホログラムから浮かび上がってくるもので,重力はいわば幻になる。このホログラフィー原理に基づく宇宙像を「ホログラフィック宇宙」という。 書ではこの分野の研究の歩みを振り返るとともに,世界の物理学者が注目しているホット

    ホログラフィック宇宙 時空と重力の起源に迫る
  • ゲノムで解き明かす人類史|日経サイエンス

    日経サイエンス編集部 2024年6月24日 A4変型判 27.6cm×20.6cm 128ページ ISBN978-4-296-11967-7 定価2,420円(10%税込) ご購入はお近くの書店または下記ネット書店をご利用ください。 私たちは何者なのか──。人類学や考古学の研究に触れる時,私たちはある種の切実な好奇心をかき立てられる。近年,ゲノム科学がこれらの学問分野に盛んに取り入れられ,新たな発見が相次いでいる。縄文・弥生時代の日列島を中心に,ゲノム科学を駆使した世界の歴史研究の成果を伝える。 出版社在庫切れ・店頭在庫確認リンク 日経サイエンス編集部 はじめに Chapter1 先史時代の日列島 47都道府県人のゲノムが明かす 日人の起源 出村政彬(編集部)協力:大橋 順/篠田謙一/藤尾慎一郎/斎藤成也 浮かび上がる縄文人の姿と祖先 古田 彩(編集部)協力:篠田謙一/神澤秀明/佐藤

    ゲノムで解き明かす人類史|日経サイエンス
  • アズキ 日本から大陸に渡った作物

    白菜に葱,大根,人参──こうした野菜はどれも日卓に欠かせないものだが,来歴をたどれば全て原産地は海外だ。たとえば白菜の原産地は中国北部,人参の原産地はアフガニスタンやイランのあたりとされる。大陸から海を渡ってきた縄文人や渡来人と同様,野菜もまた海の彼方からこの日列島へやってきたのだ。しかしゲノム解析によって,赤飯やあんこに使われるアズキが縄文時代の日列島で作物に変化し,アジアの大陸地域へ広まった作物であることが明らかになった。この研究を行った,国立研究開発法人農業・品産業技術総合研究機構(農研機構)上級研究員の内藤健に話を聞いた。 続きは2024年2月特大号の誌面でどうぞ。 協力 内藤 健(ないとう・けん) 農研機構遺伝資源研究センター上級研究員。農業への応用の観点から,海沿いや乾燥地,寒冷地など様々な環境に適応する野生アズキ類を幅広く研究している。 サイト内の関連記事を読むゲ

    アズキ 日本から大陸に渡った作物
  • 特集:DNAが語る古代ヤポネシア

    人類学や考古学の研究に触れる時,私たちはある種の切実な好奇心をかき立てられる。私たちは何者なのか──その問いに答えようと世界中で多くの遺跡が発掘され,古代人の人骨や各種の遺物から文字に残らなかった人類の過去を解き明かす研究が行われてきた。 その結果,こんにちでは多くのことがわかってきている。アフリカを旅立った私たちの祖先は約4万年前に東アジアに到着した。日列島内の遺跡は,おおよそこの頃に日列島にも人類が到達していたことを示唆している。 日列島にはその後も何度か人類集団の流入があったようだ。もっとも有名なのは弥生時代の渡来人だろう。先住の縄文人の子孫と渡来人が混血して現在の日人集団が形成された。ただ,渡来したのが誰なのか,混血がどのように進んだのかはいまだ謎だ。 そこで,ゲノム科学と考古学を組み合わせて私たちの祖先に迫る「ヤポネシアゲノム」という研究プロジェクトが国立科学博物館や国立

    特集:DNAが語る古代ヤポネシア
  • 2023年ノーベル化学賞:量子ドットの発見と合成に貢献した3氏に

    2023年のノーベル化学賞は,「量子ドットの発見と合成」の業績で米マサチューセッツ工科大学のムンジ・バウェンディ(Moungi Bawendi)教授,米コロンビア大学のルイス・ブルース(Louis Brus)教授,旧ソビエト出身のアレクセイ・エキモフ(Alexei Ekimov)氏の3氏に贈られる。 高性能ディスプレー,安価な太陽電池,体内の物質動態を追いかける蛍光マーカーなど,今,極めて幅広い技術に応用されつつあるのが量子ドットだ。量子ドットとは,直径が数ナノメートルから数十ナノメートル(ナノは10-9,つまり10億分の1)ほどの半導体の微粒子のことだ。 物質をナノサイズに縮めると,中の電子が狭い範囲に閉じ込められ,物質の特性が大きく変わることは,量子力学が確立して間もない1930年代から理論的に予測されていた。 1980年代前半,旧ソ連の研究者エキモフ氏は,塩化銅を同じだけ添加した色ガ

    2023年ノーベル化学賞:量子ドットの発見と合成に貢献した3氏に
  • ハーバリウムに生きる 100年後の牧野標本

    植物学者,牧野富太郎(1862–1957)は生涯にわたって標の収集を続けた。自身で行った採集だけでなく,牧野が設立に関わった各地の植物愛好会からも続々と標が牧野の元へ寄せられた。東京・練馬にあった牧野の家は標で溢れかえり,枚数は40万枚に上ったという。 牧野の没後,標の大部分は東京都立大学の牧野標館(東京都八王子市)に収められている。1958年の設立当時からクーラーが完備され,夏は室温を20℃で一定に保ち,乾燥しすぎる冬は加湿も実施。そうして65年間標を守り続けてきた。標の維持管理を行うこの手の施設は「ハーバリウム」(標室)と呼ばれる。 これだけ手厚く標を管理するのは,牧野の植物標が今もなお植物学における第一線の研究材料だからだ。 日では,ハーバリウムは標を保管する「倉庫」のように思われがちで,なかなか予算がつきにくい現状がある。しかし標の価値は今測れるものではな

    ハーバリウムに生きる 100年後の牧野標本
  • 「若冲の青」を再現する|日経サイエンス

    今世紀初め,伊藤若冲の代表作『動植綵絵』の大規模な修理が行われ,その際に実施された調査によって,思いもかけない事実が明らかになった。うち1幅に,当時西欧から入ってきたばかりの世界初の人工顔料,プルシアンブルーが使われていたのだ。1766年に描かれたとみられる「群魚図」の中のルリハタの絵である。 日の絵画にプルシアンブルーが用いられたのはそれまで,平賀源内が1770年代前半に描いた油彩「西洋婦人の図」が最初だと思われていた。源内と違って西洋の技法や素材にあまり縁のない若冲が5年以上も前に使っていたことは,驚きをもって受け止められた。 今回,化学者・田中陵二氏と画家・浅野信二氏の協力を得て,若冲が用いた「青」の再現を試みた。プルシアンブルーは18世紀初め,染料・顔料業者のディースバッハが赤い顔料を作ろうとして,材料の中に,錬金術師のディッペルから借りた動物の骨や血液が混ざったアルカリを投じた

    「若冲の青」を再現する|日経サイエンス
  • 2022年ノーベル生理学・医学賞:絶滅したヒト族のゲノム解析と人類進化の解明で独のペーボ教授に|日経サイエンス

    2022年のノーベル生理学・医学賞は,絶滅したヒト族のゲノム解析と人類進化の解明における功績で,独マックス・プランク進化人類学研究所のペーボ(Svante Pääbo)教授に授与される。 我々はどこから来たのか。今から約7万年前にホモ・サピエンスの集団がアフリカを出て,世界各地に広がっていったというのが定説だ。ペーボ教授は,世界各地から出土した古代の骨に含まれるゲノム配列を解析して現代の人類のゲノムと比較。我々のゲノムに,すでに絶滅したヒト族(ホミニン)であるネアンデルタール人や,最近新たに発見したデニソワ人の遺伝子が残っていることを見いだした。このことはアフリカを出たホモ・サピエンスがネアンデルタール人やデニソワ人とともに暮らして混血していたことを意味しており,人類史研究に衝撃を与えた。 何十万年も前の昔の骨にもDNAは残っているが,その配列を読むのは難しい。DNAが細かくちぎれて変質し

    2022年ノーベル生理学・医学賞:絶滅したヒト族のゲノム解析と人類進化の解明で独のペーボ教授に|日経サイエンス
  • 2021年ノーベル物理学賞:気候変動モデルの構築と温暖化予測で真鍋淑郎氏ら2氏, 乱雑でフラストレーションがあるシステムの解明で伊パリージ氏に|日経サイエンス

    2021年10月6日 2021年ノーベル物理学賞:気候変動モデルの構築と温暖化予測で真鍋淑郎氏ら2氏, 乱雑でフラストレーションがあるシステムの解明で伊パリージ氏に 2021年のノーベル物理学賞は地球規模の気候変動モデルを構築し温暖化予測に貢献した米プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎氏とドイツのマックスプランク研究所のハッセルマン(Klaus Hasselmann)氏,複雑系における隠れた秩序を明らかにしたイタリアのローマ・ラ・サピエンツァ大学のパリージ(Giorgio Parisi)氏の3氏に授与される。 気候モデルの開発と温暖化予測への貢献 コンピューター上で地球全体の気候をシミュレーションする「気候モデル」の計算プログラムは,気候変動の問題を議論するうえで欠かせないものになっている。二酸化炭素の排出量が今のペースで続くと100年後の地球環境はどうなるのか。異常気象の発生にはどの程度

    2021年ノーベル物理学賞:気候変動モデルの構築と温暖化予測で真鍋淑郎氏ら2氏, 乱雑でフラストレーションがあるシステムの解明で伊パリージ氏に|日経サイエンス
  • 橋梁デザインを変えた革命児|日経サイエンス

    スイスの構造技術者マイヤール(Robert Maillart)は20世紀を代表する橋梁を多数設計した。マイヤールの橋は優雅で,周囲の環境とも調和している。デザインを重視する独自の設計思想が力学的にも優れた橋を生み出した。 19世紀の偉大な建造物の象徴は鉄道橋だったが,20世紀の土木技術の金字塔として歴史に名をとどめるのは高速道路橋だろう。先進国では自動車の発明と普及に伴って舗装道路や道路橋の需要が必然的に増え,道路橋の役割は大きく変わった。 自動車やトラックの通行に必要な橋は,機関車が走る橋とは根的に異なっている。高速道路橋は通常,鉄道橋に比べると小さい荷重に耐えられればよい。また,道路橋ではある程度の急カーブや急傾斜が許容されている。 20世紀初頭の橋梁設計者たちは,道路橋の需要増に対応するため,新しい建設資材を使って仕事を始めるようになった。その代表は鉄筋コンクリート,つまり鉄筋をコ

    橋梁デザインを変えた革命児|日経サイエンス
  • 2019年ノーベル化学賞:リチウムイオン電池の開発で吉野彰氏ら3氏に|日経サイエンス

    2019年のノーベル化学賞は,繰り返し充電できるリチウムイオン電池を開発し,モバイル時代を開いた旭化成の吉野彰名誉フェロー,米テキサス大学のグッドイナフ(John B. Goodenough)教授,米ニューヨーク州立大学ビンガムトン校のウィッティンガム(Stanley Whittingham)卓越教授に授与される。 リチウムイオン電池の開発史は,1970年代に遡る。石油危機が叫ばれ,産油国が原油の価格を大幅に引き上げていた時代で,米の石油会社エクソンは石油に代わるエネルギーの研究を始めていた。そのころエクソンに入社したウィッティンガム氏は,分子の層間に原子が入り込む「インターカレーション」という現象を実証。二硫化タンタルという物質に様々なイオンを入れて電気特性を調べていたところ,カリウムイオンが入り込むと電位が非常に高くなることに気づいた。 電池は正極と負極の電位差が大きいほど,得られる電

    2019年ノーベル化学賞:リチウムイオン電池の開発で吉野彰氏ら3氏に|日経サイエンス
  • アインシュタインの夢 ついえる|日経サイエンス

    「アインシュタインと散歩していたとき,彼は不意に足を止め,私のほうを向いて『君は,君が見上げているときだけ月が存在していると当に信じるのか?』と尋ねた」 ──物理学者A. パイス 2015年,欧米の3つの研究グループがそれぞれ,ある極めて困難な実験に挑んだ。それはある意味,やる前から結果がわかっていた実験であった。少なくとも量子論の理論家たちは何年も前から自信をもって結果を予想していたし,もしも予想外の実験結果が出たら現代物理学を根底から揺るがすことになっていただろう。幸いにも,実験の結果は理論の予想どおりであった。しかし,この実験結果を知って安心したのは,現代の量子論の研究者だけである。量子論を知らない人にとっては信じがたい結果であろうし,もしもアインシュタインが生きていてこの実験結果を知ったら,驚くというよりも,自分の夢が破れたことをはっきりと悟ったことだろう。 アインシュタインは,

    アインシュタインの夢 ついえる|日経サイエンス
  • 高度な言語が生まれた理由 | 日経サイエンス

    人間の言語コミュニケーションは他の動物の身振りや音によるコミュニケーションよりもはるかに構造的で複雑だが,人の言語のこのユニークさを説明できるような人間特有の生理的,神経的,あるいは遺伝的な形質を発見する試みは失敗に終わってきた。むしろ,言語はいくつかの能力からなるプラットフォームから生じ,その一部は他の動物も持っているようだ。興味深いことに,人間の言語の複雑さは文化から生まれるらしい。話し言葉が多くの世代にわたって繰り返し伝えられることで,複雑になっていく。 再録:別冊日経サイエンス242「人間らしさの起源 社会性,知性,技術の進化」 著者Christine Kenneally 科学ジャーナリスト。「The Invisible History of the Human Race」(バイキング,2014年)など2冊の著書がある。 原題名Talking through Time(SCIENT

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  • 科学はいかに生まれたか|日経サイエンス

    この世界の成り立ちを理解したい。人間は太古の昔からそんな欲求を抱いてきた。それは宗教を生み,占星術をもたらし,哲学を育んだ。その中から仮説の構築と観測による検証という科学の方法論が立ち現れた。近代科学への胎動は16世紀半ばから始まり,コペルニクス,ガリレオ,ケプラー,デカルト,ホイヘンス,ライプニッツらによって発展。17世紀にニュートンが構築した力学によって,その基礎が確立した。先人たちが知を積み上げ,影響し合いながら科学の体系を作り上げていった道程は,彼らが著した書物によって今に伝えられている。 そうした歴史的書物の世界有数のコレクションが,日にある。金沢工業大学の「工学の曙文庫」だ。アリストテレスからハイゼンベルクまで,世界の科学をつくってきた2000冊余を収蔵する。この9月,その蔵書が東京で公開される。この機に代表的な書物を改めて繙き,科学がいかに生まれたか,3人の識者に聞いた。

    科学はいかに生まれたか|日経サイエンス
  • 言語学バトル 印欧語族の起源をめぐって

    英・独・仏語にイタリア語,ポルトガル語,ロシア語,ギリシャ語,ヒンディー語などなど,世界人口の半数近くは「インド・ヨーロッパ語族」に属する言語を話している。これら各国語の共通祖先はインド・ヨーロッパ祖語という古代言語だが,この祖語はいつどこで成立したのか? 言語学者は長らく,いまから5000〜6000年前に中央アジアの草原地帯から騎馬遊牧民が各地へ広めたと考えてきた。これに対し別の仮説は,約8000年前,現在のトルコあたりから農耕民が農業とともに広めたとみる。旧来の言語学者と考古学者に加え,近年は生物学者と古代のDNA解析の専門家が参入して激しい論争を繰り広げているが,勝負はついていない。 著者Michael Balter フリーランスのサイエンスライター。Audubon,National Geographic,Scienceなど各誌に執筆。世界最大級の古代都市であるトルコのチャタルフユク

    言語学バトル 印欧語族の起源をめぐって
  • 特集:科学書に見る知の源流|日経サイエンス

    政治と社会が激動した17世紀ヨーロッパにおいて,それまで世界を認識する手段として渾然一体となっていた哲学や宗教から独立し,近代科学が誕生した。コペルニクス,ケプラー,ガリレオ,デカルトらが発展させ,ニュートンの『プリンキピア』に結実した知の系譜を,彼らが著した書物を手がかりに振り返る。 「プリンキピア」を読み解く  山口敦史(金沢工業大学) 科学はいかに生まれたか 語り:坂邦暢(明治大学)/山貴光(文筆家/ゲーム作家)/D. ドイチュ(英オックスフォード大学)

    特集:科学書に見る知の源流|日経サイエンス
  • 日本版「量子」コンピューターの選択|日経サイエンス

    11月20日,内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT) は,NTTなどと共同で,「世界最大規模の量子コンピューター」を開発し,誰でもインターネットを通じて利用できるクラウドサービスとして提供すると発表した。 量子コンピューター研究は3年前,米国の研究グループが発表した1の論文をきっかけに様相が一変した。グーグルはこのグループを引き抜いて研究を格化し,IBMほかIT大手やベンチャー企業,有力大学が研究を加速。それまで20年間にわたって数個にとどまっていた量子ビットの集積度は,今や50ビットに届く勢いだ。中国,米国,EU,オランダ,英国,スウェーデン,オーストラリアも,相次いで大型の研究開発投資を進めている。 今回の発表で,日もいよいよ量子コンピューターの開発競争に参入したと思った人も多いだろう。だが,それは事実と異なる。この「量子」コンピューターは,量子を利用した計算はして

    日本版「量子」コンピューターの選択|日経サイエンス
  • 心のなかの独り言 内言の科学|日経サイエンス

    「今日は午前中にあの仕事を片づけるぞ」と気合いを入れたり,「こんなミスをするなんてバカだなあ」と自分を叱ったり,私たちは頭のなかで声にならない独り言をつぶやくことが多い。自分に語りかけるこの独り言は「内言」と呼ばれ,行動の計画や感情の制御など重要な機能を助けていると考えられる。ただ,頭のなかのつぶやきなので,これを正確にとらえて調べるのは極めて難しい。科学的な研究はほとんど進んでいなかったが,より進んだ心理学実験手法と脳画像撮影技術などを用いた解析がようやく可能になってきた。内言の基礎となっている神経機構の一部が明らかになり,精神に関する長年の謎に光が当たっている。 再録:別冊日経サイエンス230「孤独と共感 脳科学で知る心の世界」 著者Charles Fernyhough 英ダラム大学の心理学の教授。児童発達や記憶,幻覚を研究している。ノンフィクションおよびフィクションの著作があり,近著

    心のなかの独り言 内言の科学|日経サイエンス