太陽がすべてを与えている。地球上の生命とは太陽エネルギーが変換された現象にすぎない。 あたりまえのことだが、何度でも確認しておく必要がある。そして地球が閉鎖系である以上、地上で消費できるエネルギーの総量が限られていることも。昨年没後50年を迎えたフランスの思想家ジョルジュ・バタイユの発想の根底にあったのも、この太陽からの贈与という視点だった。 太陽はみずからを破壊して地球にエネルギーを与える。その過剰から生命が生まれる。生命は増殖を本質とし、増殖は余剰を生み出す。人間は有用性を原理として社会を営むが、有用性だけが支配する社会には希望もよろこびもない。過剰な部分を蕩尽(とうじん)することの昂揚(こうよう)が、人をいきいきとさせる。無用、浪費、違反、祝祭。現在、そうした発想があまり違和感をもたらさないのは、すでにわれわれがバタイユのいう「一般経済学」の思想圏にいることの証明かもしれない。 本書