古くから「タダほど高いものはない」ということはよく言われることではあるのだが、そんな格言にさらに一事例を積み重ねるような判決が、大阪地裁で出されている。 舞台は紅葉も今が見ごろであろう、京都の山深くの貴船神社。 その写真の利用許諾をめぐって起きた事件である。 大阪地判令和3年10月28日(令和2年(ワ)9699号)*1 原告:P1 被告:貴船神社 原告はプロの写真家、被告は貴船神社の祭祀を行うことなどを目的とする宗教法人だが、争いのないものとして整理された前提事実は、以下のとおりである。 ■ 原告は,平成27年ころから,貴船神社の社殿,風景,行事等を撮影した本件写真を被告に提供し,被告は,本件写真を,ウェブサイト,SNS,動画配信サイト等に使用し,被告の広報宣伝資料として利用した。 ■ 原告は,令和元年9月13日付けメールにより,被告に対し,同月末日までに,ウェブサイト等から,本件写真を