CMOSセンサは「日立が本家本元」と聞いたとき,私は驚きました。みなさんもご存じのように,日立製作所グループ自らはCMOSセンサを手掛けていないからです。「本家本元」の定義自体あいまいなのですが,ともかく,今のCMOSセンサと明確につながる半導体を工業化したのは,日立製作所です。 日立製作所が手掛けたのは,正確にはMOSセンサです。これはパナソニックが今,レンズ交換式カメラ向けに造っているものではありません。画素中に出力増幅器を備えていません。それ故,画質に課題がありながらも,撮像管やCCDに比べて安価で小型なことを武器に,1980年代前半まで市場を席巻したといいます。 しかし,弱点は弱点のままでした。1980年代の後半には,ソニーやパナソニックなどがCCDを量産規模を拡大させて,MOSセンサをあっという間に市場の隅に追いやりました。そして日立製作所は,撮像素子事業から撤退。CCDの時代が